四国うどん巡り01 徳島市「うどん工房 名麺堂」

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 さてさて四国四県あるけれど、どの県でも「食堂=うどん屋」というくらいに、うどんをよく食べる。その4県の「うどん」の味わいは微妙に違っていて、意外に独立性が高い。それが今では「うどん」といえば讃岐という図式が完成しつつある。ボクはこれには強く反対したい立場なのだけれど、それでも讃岐うどんの徳島への浸食は続いているらしい。
 ちなみに「讃岐うどん=麺がシコシコ腰が強い」という概念はおかしいと言うことを明記しておく。讃岐うどんの本来の形はあの宇高連絡船の立ち食いと思った方がいい。そこに腰の強いうどんという概念を持ち込んだのはいったい誰だろう。たぶんマスコミではないか?
 讃岐うどんは元来“ある程度の腰”、そして“歯切れのよさ”が信条であったはずだ。それと比べて徳島うどんは“より歯切れのよさが光り”、“腰はやや弱い”。出汁の味は基本は煮干し、昆布。そこになんらかの+アルファはあるだろうけど、味付けに塩と醤油、味醂というのは不変だろう。

 徳島にもどるにあたって“徳島市内うどん事情”を聞いて回った。すると
「そうじゃな、そんなに目立ってうまいところはないんじゃけんど、最近は『名麺堂』という市民病院近くの店が有名らしいの」
 またもう一人は、
「お昼は毎日『名麺堂』でよ」
 驚いたことに聞いた3人ともが『名麺堂』という店を挙げたのである。

 どうやらこの『名麺堂』、徳島の地流うどんに浸食してきた讃岐うどんの一味であるらしい。
 この店は探すこともなく見つかった。鳴門で高速を降りて、国道11号線、走るともなく走っていると、道路右手に勝手に目に飛び込んできたのだ。そして正午前に1台だけ空いていた駐車場にクルマを止める。表はいたって静かである。ところが店内は思ったよりも広い上にかなりの混みようだ。左手でうどんや揚げ物を手に入れるのだが2,3人と並んでいる。でも当方三人分の席はあちらこちらにある。これはまだ昼前のためだろう。
 入った途端につゆの前にいる顔つきの硬いオバチャンの目が光る。どうやら店の“流儀のわからぬヤツラじゃ、子連れじゃしな”と認知されたようだ。このキラリ鋭い目線にこちらは子連れなので気圧される。
 それでもずうずうしく並ぶ。並んだ後ろの男性から
「この子連れトロイんちゃうか?」
 という雰囲気がわっしわっしと感じられる。後ろが怖いとはこのことだ。そう言えば徳島人というのは本来おっとりしているんじゃなかったかね。こんなトゲトゲはどこから移入してきたのだろう。
 とりあえず。オバチャンの前まで来て、鋭角的な不親切きわまりない口振りで「あつあつですか」と聞かれる。まあどうでもいいか? とは思ったが怖々と「“あつあつ”ってなんですか?」と聞くと「温めたうどんに熱いつゆ」というのが判明。“ひやあつ”というのもあって「冷たいうどんに熱い汁」。こちらは子供連れ故、当然「あつあつ」は無理に違いない。とりあえず「ひやあつ」の大1、小2にする。

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これは大。本当に大なのである。小は普通盛りと思っていい

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ここは皿に天ぷらなどをとる方式。うどんにのせるところもあるが別盛りの方がいい

 次に来るのが天ぷらや油揚げのコーナー。ここで我が重役は油揚げ、太郎は竹輪天とサツマイモ天、ボクはアナゴとげそにする。

 まずは太郎がひとすすり、その出汁のうまさに感激したようでとたんに笑顔になる。
「父ちゃんうどんもうまいよ」
 ずるずるとうどんをすする。いやああああ本当にバランスのいい出汁の味わい。基本は煮干しだろうか? なかなかこれほどの出汁は作れないだろう。もちろんシコっとして、それなのに歯切れのいいうどんはもっと素晴らしい。
 繰り返すことになるが四国のうどん出汁の基本は煮干しである。昔香川の海水浴場で、もしくは徳島市西新町そばの「だるま屋」などのうどん屋の前を通るとプーンと煮干しの匂いに包まれた。この味わいはあっさりして塩味の、そして微かに醤油風味がある、これこそ四国共通のものだろう。そこにうまいうどんがくる。子供達もこの美味に一気食いである。

 そして支払が全部で1400円ほどだった。
 内訳は
基本部分/「ひやあつ」小280円×2、大380円×1
天ぷら/アナゴ150円、げそらしきもの80円、揚げ80円、さつまいも80円、ちくわ80円
 だと思われる。これだけ天ぷらなどを取って、だいたい1人前400円前後。これを単純に東京で食べたらまずい上に1人前800円から1000円はしそうである。やはり恐るべし讃岐うどんなのである。

うどん工房 名麺堂
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このページは、管理人が2007年7月17日 08:42に書いたブログ記事です。

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