2006年7月28日アーカイブ

 いつも前を通るたびに入ってみたいと思う店ってあるだろう。そのひとつが飯田橋の『まさみ』であった。そしてやっと食事時に前を通りかかり暖簾をくぐる。しかし年をとっても初めての店に入るのは緊張する。と入った途端に「いらっしゃい」と可愛らしい女性のここちよい声。これを聞いて気分がほっとする。
 思った以上に店内は狭い。正面に4、5人座れそうなカウンター、左手にテーブルが4つ置かれている。カウンターの右手が厨房である。厨房からのやりとりから家族でやっていますという雰囲気が伝わってくる。
 梅雨が明けたか? と疑いたくなるほど青い青い空が広がり、炎暑となっている。ほんの十数分歩いただけなのに、ポロシャツから汗が染み出してくるほどである。思わず、ビールを飲みたくなるが、ぐっと我慢。たっぷりと仕事が待ち受けているのだ。

 品書きを見ると野菜炒めなどの中華が中心となっていて、これに加えてしらすおろしや冷や奴がある。またカツ丼があるが豚カツ定食はない。考えた末に初めてなので本日の定食(600円)にしてご飯は大盛り、ついでに冷や奴。全部で820円也で、腹ぺことはいえ少し贅沢だ。
 待つほどもなく、やってきたものにビックリ。まずご飯を大盛りにしたのが大失敗。この店、どうやら並でもかなりの「盛り」であるようだ。そしてナスと挽肉を炒めたものもたっぷり皿から盛り上がって見える。いきなり並んだ定食にムクムクと闘争心が湧いてくる。
 まずみそ汁をひとすすり、やや塩辛いみそ汁が炎熱地獄を歩いて、びっしょりと汗をかいた身に染みる。そこにナスを挽肉のあんにからめてムハっと口に持っていく。「おー、うまい」。なかなか地味な店構えに反比例して、うまい・うまーい。それをたっぷりご飯にのせてワシワシと口にかき込む。「あ!」心地よく、これが食道を下っていく、下っていく、そして収縮した胃にどんどん吸い込まれていく。幸せいっぱいな気分で、また汗がどばっと噴いてくるが、これはオヤジだから仕方ないのだ。合いの手の冷や奴、キュウリもいいな。そしてナスがあらかたなくなって最後は生卵で超大盛りご飯の制覇をなしとげることができた。ほっと一息ついて、お腹のあたりから名状しがたい満足感が浮き上がってくる。いい昼飯だ。

 神保町から西神田もしくは九段下からグランドパレスを経て飯田橋というのはお気に入りの無駄歩きコース。もうこの店の前も何十回(百回以上かな)も通っているはず、そのつど気になって20年近い年月になる。猛暑のなか、日本橋川を渡りながら「うまそうな店だと思ったら、とにかくすぐに入って食ってみるべし」と肝に銘じたのだ。

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まさみ 東京都千代田区飯田橋2丁目3-1

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