諏訪周辺に行ったのに、アップルランドではなく「いちやまマート」で買い物をぎょうさんやってもうた。この「いちやまマート」のいいところはその支店のある地域の食文化を大切にしているところかも。大手スーパーも見習ってほしいね。
さて、熊本産ながらここで馬刺しを買う。私、馬刺し好きで熊本でも大いに食べたし、売場にあったら必ず買う。
諏訪周辺に行ったのに、アップルランドではなく「いちやまマート」で買い物をぎょうさんやってもうた。この「いちやまマート」のいいところはその支店のある地域の食文化を大切にしているところかも。大手スーパーも見習ってほしいね。
さて、熊本産ながらここで馬刺しを買う。私、馬刺し好きで熊本でも大いに食べたし、売場にあったら必ず買う。
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色を見てもらうために、酢醤油はかけていない。
八王子市北野にある八王子総合卸売センター『土谷食品』のオイチャン、土谷袈裟治さんは、もうかなりいい年をしている割に、未だ非行少年のようないたずらっぽい笑い方をする。そして実際に非行に走るのだからジジイのくせに凄い。
『土谷食品』は夏はトコロテン、冬は主にちくわぶを作っているが、コンニャクなどもいろいろ工夫をこらして新製品作りに励む。
そんなとき八王子総合卸売センターを歩いていたら、
「ぼうずコンニャクさん、これ見て、青海苔(あおのり ヒトエグサ)を入れてみたんだけど」
固まったばかりのトコロテンを見せてくれる。
これがうまそうで、ひょっとしたら売ってくれるのかな、と思ったら、
「まだダメだよ。試作品なんだから」
なんて言うんだな。
それでも無理矢理、パック詰めしてもらって、値段は内緒なんだけど非常に安く買ってきた。
これが絶品と言うよりも、素晴らしい。
我が家の子供達など「父ちゃん、これ、うますぎない」なんて聞くのだ。
ひょっとしたこの夏の大ヒット商品が目の前で生まれたのかも知れない。
しかしうまいね。この青海苔の香り、そして素醤油の爽やかさ。
オイチャン、また明日買いに来るからね。
八王子の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html
八王子綜合卸売センターにある惣菜冷凍食品塩干を売る『清水保商店』で見つけたもの。そのパッケージが面白くて、この手の誘惑には非常に弱いのでついつい買ってしまったというもの。
面白いのはこの島田髷の「白玉奴、赤玉奴、両姉さん」の絵。この絵を描いた人ただものではない。かなり才能ある! これで吹き出しのネームが面白ければ言うことないのだけれど、これが食べ方の説明というのが尻つぼみだ。
この吹き出しが
「ああら、白玉姉さん、どこへ」
「新橋まで。赤玉姉さんはどちらへ」
なんて永井荷風の「腕くらべ」のようだったらいいんだけどな。
とここまでは中身とはなんら関わりのない話。でもこの中身がまたなかなか美味なのである。卵豆腐というと味も素っ気もない、平凡で嫌われない程度の無個性なものが多いのだが、これはなかなか味わいに深みがある。残念ながら卵の持つ風味が薄いのは、まあ結局工業製品なのだから仕方がなく、それでもがんばって味に深みを持たせたところがいい。これなら大振りの卵豆腐として食卓にごろんと転がして起きたい。
ふじや食品
http://www.fuziya-food.co.jp/
八王子の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html
浅草から千束に抜けて、南千住までの無駄歩きは、賑やかな浅草から北上するにしたがって人影まばらになってきて、観光客は消えて、日常的な商店街の風景に変わる。ここから千束に抜けるとソープランド街となるのだが、竜泉へとまっすぐ進むと、いたって在り来たりな下町の住宅地になる。
この浅草と千束、竜泉の切れ目アタリにあるのが「竹松商店」である。通りかかるといつも買い物をする主婦で賑わっている。生の鶏肉の品揃えも豊富だが、その買い物客のほとんどは店頭に置かれている鶏肉のお総菜目当てだと思われる。
このお総菜を一度買ってみたかったのである。焼きとり、ローストチキン、ケースの中には魅力的なものがいっぱいある。みなそれぞれに魅力的でうまそうなので、全部買いたくなる。それでも無駄歩きの途中だし、せめて2種類くらいにしておきたい。
仕方なく、「お勧めはなんでしょうか?」と聞くと「ウチの名物は“なか焼き”です」というので、素直にたっぷり買い込んできたのだ。
この「竹松商店」名物の“なか焼き”が面白い味わいだ。どちらかというと穏やかな醤油味で、身がふっくらと柔らかい。こまったのはスパイシーではなく、そんなに特別うまみがあると思えない鶏肉の味わいなのだが、食べていて、食べ飽きないのである。「いくらでも食べられる」という表現がぴったり合う。
もしかして、この穏やかなタレの味わいは、昭和の、例えば30年代の味わいかも知れない。食べていてとても懐かしい。
またこの店の生肉のショーケースに鶏皮、レバー、砂肝、ハツなんかがバットにのせられている。これなどボクは見ているだけでワクワクする。こんど鶏皮200、レバー300、ハツ200、砂肝200、それに手羽もとに、鶏こま切れに、端から端まで全種類買ってしまうつもりだ。
竹松食品株式会社 3874-5252 東京都台東区浅草3丁目38-3
沼津魚市場の関連棟に納豆や惣菜を売る店があり、そこを通り過ぎようとしていたらウチの母ちゃん(妻である)から
「父ちゃん(とうちゃん)、変なものがある」
そんな一声があって立ち止まったら、確かにそこにあったものは変なものであった。
話はかなり遠く離れるが若い頃に
「ボクは子供が出来たら『父ちゃん(とうちゃん)』と呼ばれたい」
そんな話をしたことがある。すると聞いていた仕事の先輩格にあたる人が
「それはおかしいだろ。下品だろ」
と言ったのだ。
仕事では凄い人だと思っていたのが人格的にまったく疑問符のつく人になった。ボクは人間は総てに対してリベラルでありたい。言葉に対してもである。ボクなど子供の頃、父親のことは「父ちゃん」なのだ。だからボクの息子や娘、総勢5人に対しても「父ちゃん」と呼べと言っている。(工藤孝浩さんちもそうであった。工藤さんの素晴らしい業績もそうだが「父ちゃん」同士として親近感を覚える)それを下品とは無知蒙昧、アホだろうとこの人を見る目が数百段さがってしまった。この方、普段から東京生まれ、東京育ちを端々に出していたが半分冗談であると理解していた。まさかそんなものマジで振りかざすとはね、愚かなり。だいたい今の東京での言葉は本来の江戸の言葉ではない。所謂山の手、旗本やご家人の使っていた方言を薩摩藩などが適当に使いやすく当たり障りのないものに作り替えた味も素っ気もないものだ。そんなものに価値観を見いだしておきながら、ときどき江戸の庶民の土着的な「御御御付け(おみおつけ)」、「おむすび」なんて言葉を使う。なにしろ言葉は多様でなければいけない。四国の人はどもまでも四国人の痕跡を残せ、また九州でも東北でもそうだ。
いかんいかん閑話休題。
見るからに真っ黒でまん丸くて「それはなんだろう」という代物。まじまじと見ていたらそこに仕入れ(市場だから食料品店。もしくは魚屋の店主)に来ていた人が、
「これは昔からあるもので沼津じゃ珍しくはないね」
と、店主を呼んでくれた。そこで「柿田川納豆」とともに買ったのだ。
だいたい静岡の食べ物でイルカの「たれ」、静岡おでんなど真っ黒なものは多いのだ。だいたい「黒はんぺん」なんてものもある。
そして帰宅して食べたのだが
「これはお菓子じゃないの」
というのは子供達の感想。見つけた家人さえ
「半分でいいかな」
なんて言うのだ。
でもボクはこの甘〜くて“カフッカフッ”な食感になぜか惹かれるのだ。そして今緑茶の友として食べている。言うなれば茶菓子ですな。それがなんだかいける。
これって静岡ならではの味なんだろうか?
伊藤食品 静岡県沼津市平沼554-2
山形は日本にあって夏の最高気温を記録した地なのである。それだからこそ冷やしラーメンはもとより伝統食でもさっぱり系の逸品が多いのである。そのさっぱり系では「だしっ」と青菜(せいさい)も代表的な食べ物だろう。
青菜(せいさい)は明らかに高菜の一種であろうか、広島菜と同様に青味を活かして漬物になる。この名物「青菜漬け」をニンジン、昆布、唐辛子と合わせて醤油味で仕上げたのが「蔵王菜こんぶ」なのである。
これが我が家の定番的な惣菜となっている理由は納豆を思わせる手軽なパッケージによるところ大である。60グラムずつ小分けになっている。これを朝の慌ただしいときなど子供達も1パックとり納豆と合わせてご飯にかけてかき込んで、これまた慌ただしく飛び出していく。青菜のビタミンも昆布の食物繊維もカルシウムもあっというまにとれて、時間まで省けるのだからまことに重宝極まりない。
我が家では必ず納豆と合わせて食べる
三和漬物食品 山形県東置賜郡高畠町大字福沢1464
http://homepage2.nifty.com/nappaya/
惣菜塩干物を売る仲卸をのぞくのが大好きなのだ。気が知れた店ならどんどん箱を開けて掘り出し物を探していく、そこで「変なもの」を発見したときのうれしさは例えようがない。「変」と言っても「一興に値する」とか「興味深い」、「思わず買ってしまう」と表現を置き換えてもらうともっとわかりやすいかな。そんな日々に八王子綜合卸売センター「フレッシュフード福泉」で見つけたのが不思議なパッケージに入っていた「牛すじ煮込み」なのだ。
このパッケージが面白い。煮豆や佃煮が入っている袋なのだがぽっこりメタボリック症候群のオヤジのように前が膨らんでいる。そこに見えるのは醤油味の煮込みである。コンニャク、里芋、大根に牛すじ。
「福泉」の店頭で見ているとボクと同世代から上の商店主がどんどん仕入れていく。
そのひとりをつかまえて聞いてみると
「なんだか文字にひかれるのよ。『牛すじ』てのがいい」
絶対に売れるよ、と言い残して一箱持って帰る。
確かにボク以上の年齢のお父さんにはたまらん響きなのだ「牛すじ煮込み」というのが。そしてこのまま鍋で簡単に温められるというのも魅力的だ。だいたい最近、お父さんが遅く帰ってきても誰も相手にしてくれない。酒の肴だって自分で用意するのが「当たり前よ」と言われているのだ。そんなときにコイツは偉い。「一正」も偉い。
いかん、味わいを書くのを忘れていた。汁はやや甘口で濃厚な醤油味。真冬などしみじみ心も体も温めてくれそうだ。そして何より牛すじがコリコリとうまい。
寂しいお父さんには絶対に必須アイテムである。
一正蒲鉾 新潟県新潟市津島屋7丁目77番地
http://www.ichimasa.co.jp/
飯能祭のときに見つけた小さなてんぷら屋さんである。飯能大通りは昔、定期的に近隣から産物が持ち寄られて市の立ったところ。古き良き家並みが残っているのだが、飯能夏祭りの日で、それはたくさんの騒がしい露店の奥に隠れている。そんな一角にまだ真新しい、とてもこぎれいな店があり、そのガラス窓の向こうに、ご夫婦で天ぷらを揚げているのを見つけた。そのにこやかに、てんぷらを揚げている女性の優しそうな雰囲気がとてもいい。
店内をのぞいてもテーブルも座席もないので持ち帰り専門であるようだ。
ついふらふらっと店内におじゃま虫。姫と一緒にあろうことか、ここでてんぷらを食べさせてもらう。これがいい味なんである。てんぷらの衣自体にも味つけがされているらしく、まずいただいたイカてんが、それだけ食べてもうまい。衣のさくっとしたのとイカの適度な柔らかさ、「ここに生ビールがあったら最高なのに!」と改めて買ってきてしまいそうになる。このイカてんをあっという間に平らげてもうひとつ。
「なにかお勧めなのありますか?」
ワクワクしながら聞くと、お二人はにこやかにあれやこれや考えて、
「かき揚げかな。これはねイカ、サクラエビに玉ねぎといろんな野菜が入っているんだ。まあこれだけ入ってるのは珍しいと思うよ」
さっそく、かき揚げをむしゃむしゃ。姫はチョコバナナに夢中で「くれ」とは言わない。多種類の具のせいだろうか? 味わいにふくらみがある。その全体をまとめているのが玉ねぎであるようだ。
さて、真夏ではなく、また祭の日ではなく、クルマで来ているときのお土産は「小川」でかき揚げと決めてお店を後にした。
ボクは町の良さは、風景の一部となりきっている個人経営の小売店が並んでいることだと思っている。この「てんぷら 小川」などご夫婦共々、飯能の街並みになくてはならないものであると、よそ者のボクでも思う。こんなことを同じように思っている小学生や中学生は多いのではないだろうか。ボクの幼い日にそんな思いで通り過ぎていた店は、今でも瞼の裏に焼き付いている。
それとこれは「飯能の豆腐は真四角なのだ」の続きなのだが、この大通りの一角に「問屋」という昔は食料品の市場を運営していた豆腐屋さんがある。そこが小川さんなのであるが、この「てんぷら 小川」さんが「問屋」からの分家、また真四角な豆腐を作っている「とんき食品」も分家なのだ。この「問屋」さんが市場を運営していたときというのはどのようなものだったのだろう。例えば個人経営の市場は各地にあり、例えば八王子綜合卸売センター、八王子総合卸売協同組合なども「公設」ではない。「公設」ほどの規模はなく、小さな地域の流通の要としての市場ってどんなものなんだろう?
神田多町(たちょう)はその昔、やっちゃ場のあった場所。多くの野菜商、食料を扱う店が軒を連ねていたのだ。そんな多町には今でも古き東京の名残がある。そのひとつが『鳥正』なのだ。ちなみに屋号には「鳥」、鶏肉の「鶏」ではないので間違えてはいけない。と言いながら、最近、鶏肉屋・もしくは鶏肉専門店の屋号で使われるのは「鳥」であるのに気づいたのだ。まぬけだ! またこの店の品書きは総てカタカナ、そのにレジ袋の屋号には「鳥ショウ」の文字も見える。このカタカナ使いがモダンであった頃の名残かも知れない。
いつも「鳥正」に立ち寄るときには神保町から靖国通りを東に歩き、神田多町の路地を神田駅に向かう。なぜかこのあたりは夜になると暗くて都心にあってどこか取り残されたようなところである。木造建築も残っているし、「サカエヤ・ミルクホール」、行司の二十二代木村庄之助が始めた「庄之助最中」の灯りが闇にポツンと浮かんでいる。そして歩くことしばし、左手に木枠の引き戸が見えて灯りがこうこうともれてくる。そこが「鳥正」なのだ。
店の右手では揚げ物を揚げているし、左手にはコロッケや鶏肉を買いに来たお客さんが順番を待っている。そんな一般客にまじって真っ白な割烹着を身につけた料理人が鶏肉を取りにくる。ここは鶏肉専門店として見事な鶏肉、また砂肝や肝が置いてある。ときには刺身用の正肉、砂肝、レバーがあり、これもまたうまいのだ。
店に入ると揚げ物をしている正面のタイルに品書きが見える。ハムカツ120円、トンカツ300円などもあるが中心となるのは何と言っても鶏肉を使ったもの。上トリカツ250円、並200円、ササミカツ170円なんてあり、メンチコロッケ160円もコロッケ120円も鶏肉が入っている。コロッケは注文を受けてから揚げる。この時間が長〜く感じるのはなぜだろう。そして揚げたてを経木に包んでくれる。そのいい香りが中央線でも注目されること必然なのだ。ちょっと恥ずかしいけど我慢我慢。
さて、持ち帰った「鳥ショウ」の神田コロッケ、大急ぎで経木を開こう。そしてなにもつけないでかぶりつく。ホックリしたジャガイモの味に鶏のミンチからジワリと鶏肉の脂が染み出す。塩加減もほどよく、まあお父さんはビールといきますか。
多町や神田周辺のことは「西平の神田探偵団」を見るべし
http://nishihei.com/
横須賀市林というのは横須賀の東岸から西岸に抜けたところである。三浦半島は山が多く山と山の間に点々と街がある。その点のひとつが林、武山あたりなのだ。
その林のど真ん中の三叉路にあるのが「三留畜産」という肉屋。高価な葉山牛を売る店なんだろうけど、そんな贅沢なもんは当然のごとく買えるわけがない。ここで買うのがコロッケ53円やメンチカツ53円だ。またロースカツやハムカツなどもビックリするほど安い。
ビックリするほど安い上にビックリするほどうまい。この店に来るたびに林で暮らす人たちが羨ましく思える。ということで三浦半島に来たらボクがお土産とするのは「三留畜産」のコロッケなのだ。だれもこれが53円しかしないなんて思うはずがない。
三留畜産武山店 横須賀市林1-21-2