神田多町『鳥正』の神田コロッケ

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 神田多町(たちょう)はその昔、やっちゃ場のあった場所。多くの野菜商、食料を扱う店が軒を連ねていたのだ。そんな多町には今でも古き東京の名残がある。そのひとつが『鳥正』なのだ。ちなみに屋号には「鳥」、鶏肉の「鶏」ではないので間違えてはいけない。と言いながら、最近、鶏肉屋・もしくは鶏肉専門店の屋号で使われるのは「鳥」であるのに気づいたのだ。まぬけだ! またこの店の品書きは総てカタカナ、そのにレジ袋の屋号には「鳥ショウ」の文字も見える。このカタカナ使いがモダンであった頃の名残かも知れない。

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 いつも「鳥正」に立ち寄るときには神保町から靖国通りを東に歩き、神田多町の路地を神田駅に向かう。なぜかこのあたりは夜になると暗くて都心にあってどこか取り残されたようなところである。木造建築も残っているし、「サカエヤ・ミルクホール」、行司の二十二代木村庄之助が始めた「庄之助最中」の灯りが闇にポツンと浮かんでいる。そして歩くことしばし、左手に木枠の引き戸が見えて灯りがこうこうともれてくる。そこが「鳥正」なのだ。

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 店の右手では揚げ物を揚げているし、左手にはコロッケや鶏肉を買いに来たお客さんが順番を待っている。そんな一般客にまじって真っ白な割烹着を身につけた料理人が鶏肉を取りにくる。ここは鶏肉専門店として見事な鶏肉、また砂肝や肝が置いてある。ときには刺身用の正肉、砂肝、レバーがあり、これもまたうまいのだ。
 店に入ると揚げ物をしている正面のタイルに品書きが見える。ハムカツ120円、トンカツ300円などもあるが中心となるのは何と言っても鶏肉を使ったもの。上トリカツ250円、並200円、ササミカツ170円なんてあり、メンチコロッケ160円もコロッケ120円も鶏肉が入っている。コロッケは注文を受けてから揚げる。この時間が長〜く感じるのはなぜだろう。そして揚げたてを経木に包んでくれる。そのいい香りが中央線でも注目されること必然なのだ。ちょっと恥ずかしいけど我慢我慢。
 さて、持ち帰った「鳥ショウ」の神田コロッケ、大急ぎで経木を開こう。そしてなにもつけないでかぶりつく。ホックリしたジャガイモの味に鶏のミンチからジワリと鶏肉の脂が染み出す。塩加減もほどよく、まあお父さんはビールといきますか。

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多町や神田周辺のことは「西平の神田探偵団」を見るべし
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このページは、管理人が2006年8月 8日 10:44に書いたブログ記事です。

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