豆腐図鑑の最近のブログ記事

komokomoooo0000.jpg


 農文協の『聞き書 岐阜の食事』を見ていて、たびたび登場するのが「こもどうふ」。これは決して地域的な食材ではなく、例えば日本料理の基本にもある。ただし頻繁に食べるものではなく、冠婚葬祭など様々な場面で食べると言うことでは、岐阜県を代表する食品だろう。

 また「菰豆腐」とか「すぼ豆腐」とかいったものは、例えば巻き簾や藁などを使って自作できる。これも日本料理の基本中の基本だが、市販品がスーパーに並んでいるのは特筆すべきことだ。


komokomono888.jpg


 さて料理法は「たまりしょうゆと砂糖で煮る」、「たまりしょうゆと砂糖、だしで煮る」とある。後者で作ってみた。「菰豆腐」を切って、煮るだけで所要時間6分。あとは鍋止め。

 これが鄙びた味で、実にうまい。飯がすすむ。

白山食品 岐阜県郡上市白鳥町

miyaharu.jpg


 近所のスーパー(八王子市)でどことなくキッチュなので買った豆腐。これが実にまろやかでうまい。パッケージもいい。これいつも売っているといいな。

 

宮春

http://www.tofu-miyaharu.com

iinoootoufu.jpg


地方の知名度のない、普通の豆腐くらい手に入れにくいものはない。

実を言うと、そんな普通の豆腐にこそ銘品があるのである。

今回は知り合いのご実家ということで送って頂いたもの。

あくまでも普通の豆腐なのだけど、大豆のうま味があって、まことにうまい。

近年流行りの「大豆そのままの味」なんてものではなく、昔ながらの優れた豆腐店の豆腐。

夏の夕べに、こんな豆腐で冷や酒をやり、ヒグラシがカカカカカカと鳴く。

まことに申し分のないときなのである。

 

井野豆腐店 兵庫県明石市大明石町1-13 - 30



脇町横倉というのはまことに山深い。
脇町は古くより吉野川の左岸に栄えた町。
うだつの上がる町として有名だが、その市街地からかなり香川県よりに入って横倉の地はあるようだ。

ここでいつ頃から豆腐が作られるようになったのかは、わからないが今回のものは比較的古くから見られる真四角のもので、へそがある。
味わいは素朴、かつほどよい大豆の旨味があって、硬いところが私好み。
切らないで箸で崩しながら頬張ってうまい。
しかも後味が軽い。

酒の肴にも最適な鄙の豆腐。
徳島県の山間部の豆腐なれど逸品なのである。

中山律子 徳島県美馬市脇町字横倉254の2

uzusio0708.jpg
●クリックすると拡大

 まずはブランド名に拍手を送りたい。うまい! としか言いようがない。でも反対にパッケージは面白いけど、うまそうには見えない。鳴門キョーエイ(徳島でマルナカと勢力を二分するスーパー)の店内で、一瞬、このうるさいパッケージに手に取ることを躊躇させられた。でも手が伸びてよかったなーー。この平凡ななんの工夫もないパック入りの豆腐が非常にうまい。

 今流行の「甘味」を前面に押し出した豆腐ではなく、大豆の旨味が生きている。しかも食べていてとても後味がいい、旨さの余韻が心地よい。これなら毎日食べても飽きないだろう。豆腐でご飯を食べるのが大好きなボクにとって朝ご飯にあると幸せな豆腐だ。東京のスーパーにも出して欲しい。

 豆腐の形態から徳島の地のものではない。ホームページを見ると京都で修業した創業者が始めたと言うこと。だから豆腐の基本的な味わいは京風ということか。ととと、もうひとつ気がついたのが、創業が平成3年(元号は嫌いだ)ということは太子屋というのはまだ若々しい会社ということになる。しかも大阪を含めて支店が10以上もある。東京に「うず潮とうふ」を見るのも間近かも知れない。

徳島県鳴門市撫養町小桑島字前浜244-1
http://www.tv-naruto.ne.jp/taishiya/index.html

sinsei0705111.jpg

 神保町界隈に親しんで30年以上となる。まあその変ぼうぶりは見た目以上のものがあるのだ。とにかく個人商店が消滅し、チェーン店ばかりになってしまっている。その昔には路地裏には子供が遊び、どこかしら下町に似た雰囲気があった。でも今や、たぶん戦前からの町っ子はいなくなってしまって、ここに暮らすひともわずかだろう。
 そんな神保町に豆腐屋が残るなんて奇跡に近い。
 神保町の水道橋寄りの一角。やや寂しい街角には高齢者センター、愛全公園、周恩来の碑(これなんだろう)、意外に古いビルや個人商店が残る。そこにあるのが『新星食品』である。まあビルが所狭しと建ち、無機質に変ぼうする神保町にあってまるで取り残されたように残る二階屋の古めかしい建物。

sinsei0705222.jpg

 ここで豆腐を買うのは初めてではない。でも、ここで豆腐を買いもとめたのが何十年前のことなのか思い出せないくらい昔々のことだ。それで初めて豆腐を買うかの如く豆腐160円2丁を求める。東京の古い豆腐屋らしく絹ごし豆腐がないのがとてもいいのである。
 この豆腐、まあ味わいは平凡なのだが、神保町に唯一残るものであると思うと感慨深い。

新星食品株式会社 東京都千代田区神田神保町2丁目20

musasiya07011.jpg

 北千住を無駄歩きした。そんな町歩きをしていて店を見るだけで、「ここは間違いなく良い店だ」と思えるときがあるが、ここもまさにそんな店。いかにもうまそうな豆腐屋があって、初めての店なので1丁だけ買って、そして後悔した。
 それでなんどか豆腐を買ってしまっているのだが、ハズレがない。まことに大豆の風味、甘味があってうまい。
 他にもうまそうながんもどきや豆腐のメンチカツ、お総菜なども売っている。こんどはもっといろいろ買ってこよう。

musasiya07012.jpg

トウフショップ むさしや
http://www.senjyu-tofu.com/

marudai07018.jpg

 岩手銀河プラザで買ったもの。あまりに旅に出られない寂しい日々を地納豆を買うことで購ってしまっている。
 パッケージには雪国の「わらし」、そこに丸大のマークとなかなか地納豆として情緒がある。
 中身の方も岩手産の大豆の味わいが生きていて、とてもうまい。

岩手県盛岡市愛宕町2-42

TOTIGIYA0612.jpg

 千葉県館山市那古は那古観音を中心に細長い商店街が続いている。やや寂れてしまっているが、なんだか懐かしいところである。そこから127号線に抜けようとして目に飛び込んできたのが『栃木屋豆腐店』である。豆腐屋であることは店の腰まである白いタイルでわかるだけ。あとはよくみると「おとうふ」の幟が見える。店先にオバサンが豆腐を買い求めるべく立っている。思わずUターンする。
 狭い入り口をはいるとおじいさんが店番をしている。ここには絹ごし豆腐はなく、木綿の1種のみ。それをがさがさと新聞紙にくるんでくれる。その味わいは平凡だけれど、この海辺の町で海風に晒された『とちぎや』で「おとうふ」を買って帰るというのも一興である。

TOTIGIYA0613.jpg

栃木屋豆腐店 千葉県館山市那古1145

itino06110.jpg

 川越は都心からも近く、しかも小江戸などとして観光客にも人気がある。ただし恵まれていると言っても、同じくらいの都市は多いわけで、「恵まれている」だけじゃなく「観光都市として努力している」街なのだろう? そして観光という面から鑑みると、当然古きよき街並みが最大の目玉で、とうぜんその努力は連休初日に歩いていても、そこここに感じられた。また商店街が元気に営業していなくてはいけない。つまりシャッター通りでは、ダメだということ。その点でも川越の街は楽しいのだ。そしてそこにプラスするのが「うまいもん」である。
 私が旅をするに必ず押さえる「うまいもん」の要は豆腐である。うまい豆腐屋があれば、その街は間違いなく文化的にも、また観光的にも上質である。と、川越で見つけたのだ「うまい豆腐」。これが半端なうまさではない。関東でも随一のうまさかもしれない。

 川越に喜多院という古刹がある。その古刹の脇道を通り、大通りに出る手前に古めかしい豆腐屋を見つけた。それが「市野豆腐店」である。最初入ったら男性がひとり店番をしていて、「豆腐もって帰れますかね」と聞くと、帰宅までの時間を聞き、買うのは帰りにするように言ってくれる。「氷は用意しますけどね」とのこと。
 そしてさんざん歩き回って、もういちど店に入ると、こんどは女性がひとり。値段表を見て「ごま入り飛龍頭」(700円)と「もめん豆腐」(たぶん140円)2丁を購入した。そしてそのとき「辛子いりますか?」と聞かれたのだ。

「川越では豆腐に辛子なんでしょうか?」
「そうですね。辛子をつけますね。よそはわかりませんが、冷たい豆腐には辛子なんです」
「驚きましたね。埼玉では辛子をつかうんですね」
「いえいえ、川越だけかも知れません」
 当然、辛子もいただいた。

 帰宅して、風呂上がり、半丁食べた冷や奴。これが絶品、うまい。大豆から出てきたのだろうか甘味があり、トロっと口の中でつぶれたときに旨味が浮き、広がる。これはすごい豆腐である。京都でもこれほどの豆腐は少ないだろう。しかも値段からして特別に造った高すぎるもの(近年やたらに高くて御託の多い不愉快な豆腐が多くてこまる)ではなく普段着の豆腐。これが100円代で手にはいるなんて川越人の幸せなことよ。うらやましいな。
 なにもつけないで一口、しょうゆをつけて一口、そして辛子をつけて一口。個人的には「市野豆腐店」のものならしょうゆだけでいい。でもショウガがあってもいいのだが、辛子をつけてうまいとは思わなかった。
 よく考えてみると、たとえば江戸時代に豆腐をしょうがで食べるなんて難しいのではないか? ショウガは秋に種ショウガをうめて、初夏に新ショウガを取り、秋には根ショウガを収穫する。それを乾かして貯蔵してもかなり高いものではなかったか? これからすると粉に出来る辛子は使いやすい。これは調べてみなくては。

itino06111.jpg

川越のれん會
http://www.koedo-noren.com/month-shop/

このアーカイブについて

このページには、過去に書かれたブログ記事のうち豆腐図鑑カテゴリに属しているものが含まれています。

前のカテゴリは謎のローカル食品です。

次のカテゴリは郷土料理・郷土食品です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。