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ボクはとてもものぐさである。思っていてもなかなか実行できない。大好きな外房九十九里に出るには最先端の館山にはぐるっと内房をたどる。九十九里には東金を抜ける。勝浦、大原へは大多喜越えをする。そして鴨川の白間津などへは久留里超えとなる。

さて、外房の山中にある、このなんだかこぢんまりして、懐かしい雰囲気の久留里を通るたびに目に飛び込んでくると言うか、目にひっついてくるのがこの店。久留里街道から南に下る道の三叉路の角近くにある。

この店の外観は遙か20年以上前から同じ。異常ともいえるほどに汚い。ボロボロだ。でもボロボロ感にどこかしら惹かれるところが大いにあり、一度のれんをくぐってみたいとなんと20年以上思い続けてきた。我ながらなんとものぐさなことよ......。

 

そして先日、千葉県立中央博物館に行く必要があり、その前に小櫃の農協の直売所に行く。そこから足を伸ばして久留里まで。

お昼ご飯をこの外見ボロボロの店で取った。


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入った途端に名物カレーうどんの文字。カレーライスもあるし、魅惑のカツ丼もある。が、ここでは素直に名物をお願いする。「カレー天ぷらうどん」である。

カレーうどんなのに匙(スプーンじゃないね)がついている。これでカレーをすくったら、これが実にうまい。家庭の味なんていう表現があるが、それに近いのに、絶対に家庭ではできないであろう味である。うどん自体もいい味だ。

久留里は外房に抜ける通過点でしかなかったものが、これから大いに変わりそう。今度はカツカレーにするかな!

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 徳島のうどんと、最近つとに有名な讃岐うどんはまったく別物だ。
 実を言うと、例えば本来の香川のうどんは、徳島うどんとかわらない。
 例えば今はなき宇高連絡船のうどん、高松駅のうどん、このあたりはなんら徳島のうどんと変わらないのだ。
 むしろ近年持てはやされている、腰の強さを重視した讃岐うどんの方が異質。
 異質だけど、うまいために急速に広がっている。
 まさか貞光に讃岐うどんの店が出来るなんて、まさに驚嘆すべきことだ。
 貞光と言っても最近つるぎ町の一部となった小さな町。
 考えてみると、つるぎ町の人口がなんと一万人強。
 なんだ一万人いるじゃないかと思われるかも知れない。
 あにはからんや、この一万人は旧貞光町、半田町、一宇村が合併したもの。
 もっと厳密にいうと、ボクがいうところの貞光には旧貞光町の太田、端山なども含まれていない。
 ちいさなちいさな町としての貞光だ。

 さて『のぶ』のある大須賀というところは、現在でこそバイパスができ、道の駅、警察署、住宅が建ち並ぶなど、それなりに賑やかだが、その昔竹藪だったところだ。
 吉野川に沿い、それはそれは美しいモウソウチクの竹林となっていた。
 そして、近くには焼き場、竹林の南側は「しま」と呼ばれる田園地帯。
 竹林も、しまも幼なじみのツルノとよく走り回り、魚や昆虫を追いかけ回したところだ。

 その道の駅の裏側、曲がりくねった奥に『のぶ』がある。
 外観は「うどん屋」ではなく倉庫にしか見えない。
 ここを紹介してくれたのが幼なじみのツチタニなのであるけど、
「あそこのうどんがいちばんうまいんじゃ」
 とは、まさに思える店構えだ。

 入ると、最近徳島でもよくみられる、丼をとり、麺を入れてもらい、汁を注ぎ、天ぷらなどをのせる形式だ。
 これをセルフうどんというらしい。
 まずはかけうどんに、卵の天ぷらをのせる。
 半熟の卵を揚げてあるのだけど、これはあまりうまいものではない。

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 むしろだしの利いた汁がうまい。
 うどんに適度の腰があり、旨味を感じる。
 やはり、うどん自体にうまさがないと、ダメなんだな、なんてまさにうまいうどんを食いながら思う。
 卵の天ぷらはじゃまだ。
 値段はこれで300円台だったと思う。
 もの足りなかったので、ぶっかけを食べたら、絶品だった。

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 明治橋の飯田食堂に加えて『のぶ』が出来たことで、我が故郷にも外食の喜びが増したように思える。

うどん屋のぶ 徳島県美馬郡つるぎ町貞光字大須賀
つるぎ町
http://www.town.tokushima-tsurugi.lg.jp/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/

 ボクの故郷は徳島県美馬郡貞光町、だった。
 今では半田町、一宇村と合併して「つるぎ町」となる。
 貞光というのは不思議な町で農業も林業もほとんどなく、商店街と住宅地が大方を占める。
 明治期の隣村太田と昭和の端山村との合併によって町となるまでは小さな小さな集落であった。
“二層うだつ”の上がる街として実際に来てみると立派なのだけど「知名度はほぼゼロの町」である。
 超がつくほど田舎なのだけど豪壮な建物が多く、その昔、エンタシスの柱を備える見事な洋館まであったそうだ。
 江戸時代、明治時代の繁栄は、いったいどこから来たのだろう。
 それは端山、一宇でのタバコ栽培の集散地としてなのだ。

 貞光町は町内を流れる貞光川の扇状地にある。
 貞光の市街地を抜けて川を遡ると、ほどなく端山になる。
 端山はタバコの栽培、林業などでこれまた栄えたところだ。
 その昔、勉学を志す若者を集める私塾などもあったという。
 個人的には中学、高校と我が集落当たりには少ないアユを追いかけたり、上流にしかいない、あめご(アマゴ)を手づかみする川遊びの場所でもあった。

 どちらにしても町に住んでいる限り、少し遠出する場所だった。
 それが今ではクルマで15分ほどで端山の中心集落につき、その山際にある「剣山木綿麻温泉」に行き当たる。
 宿泊施設のない、小さな温泉なのであるけど、清潔で露天風呂にはいると深山幽谷に包まれて爽快である。
 ちなみに入浴料はたったの400円なり、子供老人は200円というのだからたまらない。
 公衆浴場と変わらない値段ではないか?

 さて、風呂上がりに、子供は売店で「柚ジュース」を飲む。
 ボクは「うどん350円」というのに惹かれて扇風機の前でやっと汗が引いたというのに熱いのをいっぱい。
 うどんの他に素麺や蕎麦もある。
 夏にうどんでは暑苦しいと思う向きには素麺などお勧め。
 つるぎ町は素麺で有名な半田町と合併していることを明記しておく。

 刻んだ油揚げ、赤い蒲鉾、澄んだ汁というのが徳島うどんの特徴なのだけれど、少し待たされてやってきたのは、“まさに”それであった。

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 麺が細すぎるのが残念なのだけど、汁の味がいい。
 薄口醤油に塩、よく煮出した煮干しの香り。
 具の油揚げがなんともうどんに合うのだ。
 またなくてはならないのが赤い蒲鉾。
 この完璧に近い“徳島うどん”ぶりに感激一入。

「剣山木綿麻温泉」は温泉好きにも、うどん好きにも大いにお勧めできる。

剣山木綿麻温泉
http://www.town.tokushima-tsurugi.lg.jp/yuumaspa.html

 名古屋はまことに暑かった。
 柳橋市場の道路がモワモワして見えるのは、明らかに蒸発した水分が飽和状態になっているからだろう。
 このときまだ午前6時前である。
 名古屋到着が5時半過ぎ。
 いろいろ見るべきものを見終わった午前10時には心も体もヘトヘトになっていた。
 でも、実はこれからが大変だった。
 名古屋にせっかくきたのだから、とにかく街をできるだけ歩いてみようと思ったのがいけなかったのだ。

 名古屋市で気になったのが公設市場というもの。
 公設市場は地方公共団体が小売店を集めて開設することのできるもので、名古屋には11カ所ある。
 ネットでも位置や規模は公開しているものの、市場とは名ばかりでただのスーパーマーケット化しているものもあるようだ。
 それで名古屋市に電話して、いちばん市場めいているのを挙げてもらったのが大須にある中公設市場だった。
 この公設市場はなかなか楽しいし、優れていた。
 なによりもなかに入っている魚屋の無造作に並べている魚貝類が素晴らしい。
 そして、ここで市場めし。

 一角に麺屋さんがあり、カウンターがあって、食事もできる。
 名前が「松月」という。
 カウンターに座って、「つめたいのありますか?」ときくと。
「ありますよ。“ざるそば”とか“かけ”とか」
 そして品書きを見るのだけど「冷やし」らしいものは確かに「ざるそば」しかないのだ。
 そしてそして「ころ」というのがある。
「“ころ”ってなんですか」
「ああ、これが冷たいうどん、“かけ”でもええけど、これは卵が入っとる。冷たいうどんにつゆのかかったヤツだね。ウチの“ころ”には昔から卵が入ってる」
 卵入りは嫌いなのだけど、この店の基本の「ころ」なのだとしたら素直にしたがいたい。
 カウンターに腰掛けたときは、ボクが唯一の客であった。
 そのすぐ後に近所のオバチャンがきて、サラリーマン風がふたりくる。
 また麺だけを買いに来る人も後を絶たない。

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 待つほどもなくやって来たのが、黒い丼に真っ白なやや太めうどん。
 中央に黄色っぽい卵の黄身とネギ(わけぎ)とおろししょうががのっている。
 うどんをひっくり返し、卵をつぶすと下から醤油黒いつゆが浮き上がってきた。
 ひとたぐりすすると、ぬめっとしたうどんで噛むとしっかり腰がある。
 どちらかというと讃岐うどん風ではなく、モチモチ系。
 比較的ボクの苦手なものなのだけど、汁がやたらにうまい。
 そして、この汁には、どうやら、このような表面ぬめ系うどんでなければならないように思えてくる。
 しかし、汁とうどんの醤油辛さ加減が抜群だ。
 とろりとした卵の黄身も適度に存在感があっていい。
 大汗をかいて、少々ばて気味だったのが醤油辛い味に癒されていく。
 またこのいっぱいの「ころ」、食べ終えて、まだ食べ飽きぬうまさがあるのだ。

 さて、公設市場を見て回り、まだ旅は続くので買い物もしないで、グルリと建物の周りを歩いてみる。
 建物は今時のスーパーそのもの。
 中に入っているのが、総て個人商店対面販売というのが公設市場らしいところ。
 ちょうど『松月』の店のところにくると外側にも入り口があって、暖簾がかかっていた。
 こちら側から入ると、ただのうどん屋さんというわけである。

松月 愛知県名古屋市中区大須3-10-26 中公設市場内

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 まずは宮城県、岩手県の方に地震お見舞い申し上げる。
 このような天災を見るにつけても、「無駄な高速道路を造るよりも、もっとやることがあるだろう」と思うこの頃だ。
 自民党と行政は変だぞ!

 閑話休題。
 石巻魚市場内にある『斎太郎食堂』がよかったのだ。
“築地朝ご飯のプロ”つきじろうさんにもお教えしたいくらいによかった。
 そこに並んでいたのが様々な缶詰やこの「いわしうどん」。
 気になって見ているとヘンリーブロスの江嶋社長が買い求め、分けて頂いた。
 江嶋社長には感謝。

 乾麺にマイワシのすり身が入っている。
 原材料には「小麦粉、鰯落とし身、食塩」と書かれているだけだから、他に考えようがない。
 とするとマイワシの味わい、匂いがどのように味わいに出るのか? 不安を感じる。

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 こんな不安はゆであがり、一本食べてみて吹き飛んだ。
 笊(ざる)に盛り上げた感じは、そば粉の度合いが低いそばのよう。
 でも食べてみるとしっかり腰のあるうどんであって、微かにマイワシの風味がしてくる。
 麺に旨味が感じられるのがいいし、とにかくうどんとしてうまい。

 うどんというと炭水化物の塊で腹を満たすが栄養価は副食物に頼らざる終えない。
 そこに不飽和脂肪酸やカルシウム、タンパク質などが豊富なマイワシが入るというのは願ってもない。
 これは間違いなく石巻の名品である。

麺舗かのまたや 宮城県石巻市穀町6の19

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 山口県萩と言ったら日本を代表する観光地。そのむかし若い娘が行くところと言えば「萩・津和野」と決まり文句の如く決まっていたものだ。そんな観光地だからさぞやうまいもんがありそうだが、なかなか浮かんでこない。浮かんでこないままに萩港前の「萩しーまーと」に行ったら、マフグ料理をはじめうまいもんがわんさかあって、うれしい悲鳴を上げたのだけど、どうやらこの素晴らしい美味は萩を特徴づけるものではないらしい。道の駅「萩しーまーと」の駅長さんや、今回萩を案内してくれた篠原さん、出店者などの努力のたわもの。
 その篠原さんが、早朝、コンビニお握りでもあるまいしと連れて行ってくれたのが、『どんどん』というセルフサービスのうどん店である。

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 外観をみたらまさしく古都萩にふさわしいもの。落ち着きがあって、まことに好ましい。
 篠原さん曰く、
「最近朝ご飯というとここです」
 とのこと。
 その篠原さんが出色の舌を持っているのを知るのは後々のことで、この時点では「萩でうどんとはいかに」と疑心暗鬼であった。
 篠原さんがご馳走してくれたのが、肉うどんとおむすびのセット。

 テーブルまで運んで、西日本ならではの青ネギを放り込み、空腹に一口すすると、まろやかではあるがしっかりとかつお節の香りがあって、旨味も醤油の辛さも適度なうまい汁なのである。
 うどんはもちもちした食感のもので、僕の好みではないが、それ以上に丼の中の総合的な味わいに感動する。
 つゆのまったりした甘味は山陰の特徴ではないだろうか? このあたりも萩という地域性を感じられていい。食べているときには気づかなかったのだけど、山口県ならではの、わかめむすびというのがあって、これを食べなかったことに後悔すること大である。

 さて、篠原さんならずとも萩の朝ご飯を『どんどん』で食べる人は多いようだ。まだ朝早いのに客足は絶えない。

スナダフーズ
http://www.s-dondon.co.jp/
萩しーまーと
http://www.s-dondon.co.jp/

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 炎天下の神田駅前、四国に帰郷の折りに見た「はなまるうどん」というのがここにもある。間違いなくチェーン店だとは思ったが、こんなに全国的な店だとは思わなかった。これをネットで調べてみると、なんと吉野屋の経営ではないか? ようするに讃岐うどんをチェーン店化したもの、と見える。

 神田駅前店は間口が小さく、いきなり地階におりなくてはならない。駅前とはいえ決して条件がいいとはいえないだろう。それなのに午後3時、地階に下りると10人ほどの客がうどんをすすっていた。繁盛しているようだ。

 店舗に下りると、細長いL字型のカウンターがある。そこでまずはうどんを受け取り、好みの天ぷらを選ぶというのは四国などにあるセルフの店と同じ。猛暑日なので「冷やしぶっかけ」を選んで天ぷら2つ。店員の態度はやっとこさマニュアル通りにやっているといったぎこちないもの。全然食べ物を扱うプロとはなっていない。オヤジとしてはこのあたりで既に【一げんなり】する。もっと食べ物を扱っているのだという姿勢を教えるべし。

 さて、讃岐うどんの基本にふれる。「讃岐うどん」という絶対的な形は存在しない。「讃岐うどんのメッカ」香川県西部の製麺所、もしくは「うどん屋」は意外に千差万別である。そんななか定番的な形を見つけたのは所謂「よそ者」だろう。
 その定番となるものはうどんというのは打ったら茹でる。茹でて玉にするのだけど、この状態が「ゆでうどん」という日本全国どこにでもある基本形。
 普通はこれを温めて、汁をかける。一般に食料品などに売られている、うどんは打って、茹でてから時間が経っているため、「温める」作業が必要なのだ。でも製麺所、手打ちうどんの店では、そのまま食べてもいいくらいに新鮮であり、「温めなくてもいい」。だから冷たい茹でうどんに温かい汁というのもありだし、新鮮でも熱いうどんが食べたいなら「熱いのに熱い汁」をかけてもいい。これが「冷や熱」と「熱熱」だろう。打ち立て、茹でたてなら「茹でて水にさらした、冷たいのに冷たい汁」すなわち「冷や冷や」、「ぶっかけ」というのもある。『はなまるうどん』の場合基本的には「冷や冷や」はない。これは店舗が限られているようだ。

 さて、うどんを語ると長くなるので『はなまるうどん』の「ぶっかけ」に戻すと、これが少々つまらないものだ。基本的に「よそ者」が作る「合格点」のうどん。
 そう言えば「はなまる」とはなんぞや一般言語なんだろうか? この言葉のつくテレビ番組もあったように記憶する。「花丸」というのはひょっとして「よくできました」の「○」でそれに「お花をつけたもの」か? 本当にそうなら気持ちが悪いな。ヘンコツオヤジにはとてもついていけない言語感覚だ。ようするに「花○」のつけられる程度の幼児的うどんという意味にとれる。実際、『はなまるうどん』のうどんは「花○」という幼児的な合格点の味である。オヤジの【二げんなり】だなこれも。
 例えばうどんは「もちもち感と腰だ」というと一般的な良識に裏打ちされたもの。その「もちもち感」にもいいのと悪いのとあるという微妙な部分や、小麦の香りは存在しない。汁も煮干しを使っているのかカツオ節を使っているのかわからないほどに洗練されている。これでは不満となるところがあるわけないだろ、というのが見えてくる。はっきりいってこの「優等生的で突出しない」ところが嫌いだ。例えば平均化された味わいというのか、「ここまででいい」という姿勢。これオヤジの【三げんなり】。
 しかし、ボクが嫌いだからといって、この店、ダメな店というわけではない。都会人は「花○」的なものが大好きらしい。また「ヘルシー」とか「スローフード」とか意味もわからず、なんでも受け入れてしまう「深く考えない」姿勢がある。その上、本当の香川などの味ではないにしても、天ぷら用にテーブルにはソースがある、並んだ天ぷらもうまいし、うどんとしては65点の及第点、このチェーン店は受けるだろう。
 最近神田駅周辺にはチェーン店ばかりが目立つ。個人の飯屋には受難の時代とも言えよう。今でも神田駅前には旨い安いの個人営業の飯屋はある。でも時間が無くて、致し方なく駅前で早飯となると、この店を選ぶ可能性、ボクにもありだ、残念ではあるが!

はなまるうどん
http://www.hanamaruudon.com/

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「典型的な讃岐うどんを食べてみたい」と、四国入りする前にネットや本などでいろいろ調べた。すると意外に見えてこないのが「基本的な讃岐うどん」というもの。強い腰を売り物にする店、またそれほど腰が強いとは言えないもの。また「ぶっかけ」、「ひやひや」、「ひやあつ」、「あつあつ」などの讃岐うどん用語も決して県内共通ではなさそうだ。

 7月12日に徳島県に帰郷。翌13日は金比羅詣でということにする。その朝、家でご飯というのをやめて、いきなり香川でうどん朝食をとることに決めた。ここで難しいのが「うどん屋」の選択である。
 朝、9時過ぎには開店している。ある程度、「讃岐うどん界」で名が知れたところ、という条件で探す。
 徳島県美馬郡つるぎ町からいちばん近い有名店というと琴南にある「谷川米穀店」である。ここは香川でも一位二位を争う有名店、しかもクルマで30分足らずで行ける。「ここだ!」と思ったら開店は11時からということで断念。後は琴平善通寺周辺を探して「うどん屋」ではなく製麺所とある「宮川製麺所」に決めてしまった。決め手は単にうどん屋らしくない店の名前である。
 我が家から善通寺までは四国山地をトンネル越えして一時間足らず、まずは市役所に行き、うどん地図なるものをいただく。さすがに市内にはたくさんのうどん屋が散らばっている。ここで目移りして少々心が揺らぐ。しかし考えてみれば早朝からやっているという確証は「宮川製麺所」だけにしかない。市役所から「宮川製麺所」までは10分とかからない。ぜんぜん迷いもせずに到着したら、住宅街の端っこ、広い駐車場があって「宮川製麺所」とい文字がある。
 まだ9時すぎのためかクルマは2、3台しかとまっていない。そこから指呼の間に「宮川製麺所」のなんのケレンもない普通の建物がある。モルタル建築の上に「さぬき手打ちうどん 宮川製麺所」となければ、普通の“家”だ。

 何気ない建物で、すーっと店内まで入ると、否応なく目に飛び込んでくるのが正面の巨大な羽釜。その奥ではうどんを打っている様子。目がついつい奥に泳いでしまって、しかも子連れでまごついていたら、店を切り盛りする女性から「まず丼を持ってください」と声がかかる。この一言がとっても優しい感じだった。店内にいる客は10人足らずということか、朝9時過ぎとしては多いのではないか。

 まずは丼を手にする。さて、「宮川製麺所」のいちばん奥に、うどんを打つ場所、巨大な羽釜、手前にステンレスのシンクがあって、シンクの横にうどん玉ののってせいろ。この時点でこの店の流れがわかってくる。客がうどんを食べるのは入って右側の壁面の白い部屋である。

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 うどんを作るのは客自身。店内右奥から時計と反対方向に回りながら、丼を持つ、うどん玉を丼に入れ、うどんを湯がく鍋の前までくる。この鍋で温め、鍋から熱いつゆをかけると「あつあつ」。温めないで、丼にいれたうどん玉に熱いつゆをかけると「ひやあつ」ということになる。
 中学生の太郎がいちばん先頭だった。
「お子さんなら、温めん方がええでしょ」
 太郎は、温める鍋を利用しないで、冷えたうどん玉の入った丼にお鍋から直接だし汁をかける。そして入り口に近い場所、いろいろ並ぶなかから天ぷらをのせる。これで「ひやあつ」が完成する。

 うどんにのせるのは、「天ぷら(薩摩揚げ)」、「えび天(エビのすり身の入った赤い薩摩揚げに似た香川県特有の練り製品)」、竹輪の天ぷら、イワシの天ぷら、コロッケ、三角油揚げなど。太郎はサツマイモの天ぷらがないのを、しきりに残念がりながら竹輪の天ぷらをのせる。姫はコロッケ、父は病み上がりなのでなにも乗せなかった。そしてボクは悩みに悩んで、「えび天」とイワシの天ぷらをのせる。

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 これを店内というのか、ただ単に長い机の置かれた白い空間に持っていく。初めて食べる香川での讃岐うどんにワクワクする。初めてというのには語弊がある。香川は故郷から上京するときの通り道。寄り道は大好きだから高松市内ではよくうどんを食べた。それに彼の宇高連絡船、高松駅港内の立ち食いうどん。意外に「讃岐うどんを食べるぞ」なんて構えないで何度も香川のうどんを食べている。でも、「わざわざ食べに来た」というのは新鮮だ。

 讃岐うどんだけではなく、関西圏では打ったうどんを一度湯がく。湯がいたら冷水にさらして、一玉ずつまとめてせいろに並べる。これを各食料品店、スーパーなどに卸すというのが製麺所の仕事。それを製造現場で食べさせるように変化したのが「宮川製麺所」ということになる。
 この、うどん玉は、本来は温めてから、そこに熱いつゆをかける。これを関東では「かけ」というのだが、香川では「あつあつ(熱々)」と呼ばれる。玉を温めないで、冷たいところに熱いつゆをかけると「ひやあつ(冷熱)」。この日は午前中だというのに蒸し暑く、「ひやあつ」がちょうどよかった。
 うどんは思ったよりも腰がなく、むしろ歯切れがいい。うどんの価値は腰ではなく、この歯切れ感にこそある。これがわかっていないんだな、最近の「讃岐うどんオタク」は。うどんを口に含んで表面がぬるぬるせず、舌触りが爽やかなのも素晴らしい。ここにかかるつゆは明らかに煮干しでとったものだ。しかも出汁の取り方がうまいのだろう、煮干しの臭みはまったく感じられない。塩分濃度も、醤油と塩の割合も程良い。このつゆも特筆すべきものだ。関東などからくるとこれだけで驚きを感じるだろう。
 子供達も夢中になって食べている。食べながらも、値段が気になる。「高いのかな」という心配ではなく、「いったいいつ、どうやって代金を支払うのだろう」というのが不安なのだ。しかももういっぱい食べたくなってきた。そこで丼を持って、もういちど厨房(?)の方に行く。

「丼は流しにおいてください」
 その通りにして
「もういっぱい食べたいんですけど」
「それなら、もう少ししたら、新しいうどんが茹で上がりますから、ぶっかけで食べてみてください」
「代金はどうやって払うんですか」
「後で何食べたか言うたらええんです」

 少しテーブルで待っていたら、「茹で上がりました」と声がかかる。
 実を言うと「宮川製麺所」のお楽しみはこれからだった。
 茹で上がったうどんを大きな手網のようなものですくい上げ、水をいっぱい張ったシンクに入れる。水をかけ流しながら、うどんを手で軽く振り洗い。ここで、うどんがきゅっと縮まるように見える。これを一玉一玉、せいろに移していく。その一玉を受けて、ネギ、生姜をのせ、冷たいつゆをかけ回す。これが「ぶっかけ」である。

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 ここで初めて讃岐うどんの腰の強さと、小麦が持つ風味を堪能する。これは明らかにうどんそのものの旨味であり、困ったことにネギも生姜も余計だったことに気づく。これこそが「うどんを食う」という神髄に他ならない。

 讃岐うどんの醍醐味を満喫。オバサンたちに正直に食べたものを申告する。うどんは6つ、天ぷら各種。これで支払はいかに? というと1300円出しておつりがもどってきた。驚いて「うどん1ぱい幾らですか?」と問うと、「120円です」と返ってきた。ビックリしたなー、もー。

 この「宮川製麺所」の感動は、東京に帰り着いてからも、なんども繰り返し思い出される。こんな店がボクの周辺にあったら「どんなに幸せだろうなー」。

宮川製麺所 香川県善通寺市中村町1-1-20

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 これこそ「徳島うどん」だ、というのが我が故郷貞光に残る。徳島県美馬郡つるぎ町貞光には江戸時代から続くうだつの上がる街並みがある。これは古くは徳島の物流を担ってきた吉野川から霊山剣山に向かう街道にあたる。そのうだつの上がる街並みを二分するのが飯田食堂のある明治橋であり、ここが商店街の中央にあたる。
 ここに昔ながらのうだつの上がる、本瓦ぶきの食堂が残っているというのも奇跡だ? また今やジワジワと侵略しつつある讃岐うどんの攻勢に正統な「徳島うどん」が残るというのも奇跡だろう。

「徳島うどん」の特徴は何度も書いてきたが基本的に煮干しの出汁、腰はあるけれどもやや控えめなうどん、具は赤板(赤い蒲鉾)と刻んだ油揚げ、刻んだわけぎというもの。それがずばりそのまま一点の狂いも進化も後退もなく飯田食堂で楽しめる。

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「飯田食堂」のうどんというのは一ぱいではもの足りない。ついつい二、三ばいと食べてしまう、そんなあっさりしたものだ。しかも出汁はしっかり旨味があり、塩分濃度も適度、なんの臭みもない。最後まで飲み干して後味がいい。その上、今回、飯田食堂で感心したのがうどんである。町内の森野という製麺所で作られているというが、適度な腰、適度な歯切れの良さがあって絶品である。ひょっとしたらボクにとって日本一のうどんかも知れない、と言う思いが日に日につのる。

 うだつの上がる貞光でうどんを食べるに、つきものなのが「すし」である。面白いことに子供の頃、ただ単に「すし」といえば、ちらしずしであった。家庭であればここに、きつねずし、巻きずし、姿ずしなどが加わる。このうどんとともに食べたすしも絶品であった。

 久しぶりの故郷で昔ながらのうどんとすし、懐かしいと思うとともに、後何年この味わいが楽しめるのだろう、と考えると薄ら寒さを感じてしまう。「飯田食堂」よ永遠に。

飯田食堂 徳島県美馬郡つるぎ町貞光字町24-1

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 四国4県のうどんはそれぞれ微妙に違うと書いてきた。そこでまずは徳島うどんとはなにか? を明確にしたい。出汁は煮干し主体で塩、ほんの少しの醤油、みりんの味つけ。麺はシコっと歯切れがよく腰はほどほど。具は原則的には刻んだ油揚げ、赤板(赤かまぼこ)、青ネギ。これを大阪では「きざみ」というが徳島では単に「うどん」である。大阪との違いは大阪のつゆは徳島より甘いということか。

 ついでにここで少々徳島中央卸売市場の食堂事情を書いておきたい。市場は北に青果、南に水産の棟があり、中央に関連の店舗が並び、食堂もここに数軒ある。見たところ5,6軒はあるようである。ここで困るのは「どこに入るかである」。なかに絶対的人気店があるならそれを基本とするのもいいのだが、まずはそれがない。市場で働く人たち、また仲卸で聞いても「どっこもうもうはないね。まずいわけでもないし、どの店も同じじゃ、そうじゃけんどこに入っても変わらんでよ」というあんばいとなる。そうやら徳島中央卸売市場内の飲食店はどれもやや古びて汚く、まずいわけではないが、うまくもない、というものらしい。

 それで入店した『みゆき食堂』だが、うどん、ラーメンなどよりもケースに並んだおかずを選ぶ人の方が圧倒的に多い。そしてこれがまた安くてうまそうである。よくよく見ると基本的なラーメンやうどん、玉子丼などが総て400円以下なのである。だからここでカツやエビチリ、酢の物や煮物を食べてもきっと500円玉と少しという値段で済むだろう。この定食系の魅力にかなり押されながらあくまで「うどん」を押し通す。
 徳島だから「うどん」を注文したら必ず「すし」もつける。この「うどんすしコンビ」というのは徳島ならではに違いない。食堂などでうどんがあってすしがないなんて考えられない。

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 すしは作り置きだから、注文した途端に目の前に来る。東京ではこの手のすしは先ず見ないだろう。それが関西では同じような「すし」が食堂の定番メニューとして必ず存在する。そして徳島の「すし」なのだがときに「ばらずし」とも言われるもので、シイタケ、蒲鉾もしくはちっか(竹輪)の刻んだの、錦糸卵と大正金時の煮豆が基本具材である。ここに竹の子やニンジン、絹さやなどが季節季節に参加してくる。味はやや甘めで軽い。ここに遅れてうどんが来る。

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『みゆき食堂』のうどんには定番の具以外にカツオ節とワカメが加わっている。まずは汁をひとすすり。出汁の味わいはややもの足りないが徳島うどんの典型的なもの。これを味わうと「徳島に帰ったな」という感慨が湧く。そしてうどんだけども、残念ながら麺の味がまずいのである。小麦粉の風味がなくやや柔らかい。そしてそして味わうにやっぱりワカメがじゃまであるな。どうにもワカメというのは存在感が強すぎる。
 これが四国にたどり着いての第一番の徳島うどんなのだけど、まあボテボテながらヒットかな。うどんはともかく、すしはいい味だったのだから。

徳島中央卸売市場 徳島県徳島市北沖州4の1の38
http://www.city.tokushima.tokushima.jp/chuo_ichiba/index.html

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