名古屋市の『松月』で「ころ」といううどんを食べる

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 名古屋はまことに暑かった。
 柳橋市場の道路がモワモワして見えるのは、明らかに蒸発した水分が飽和状態になっているからだろう。
 このときまだ午前6時前である。
 名古屋到着が5時半過ぎ。
 いろいろ見るべきものを見終わった午前10時には心も体もヘトヘトになっていた。
 でも、実はこれからが大変だった。
 名古屋にせっかくきたのだから、とにかく街をできるだけ歩いてみようと思ったのがいけなかったのだ。

 名古屋市で気になったのが公設市場というもの。
 公設市場は地方公共団体が小売店を集めて開設することのできるもので、名古屋には11カ所ある。
 ネットでも位置や規模は公開しているものの、市場とは名ばかりでただのスーパーマーケット化しているものもあるようだ。
 それで名古屋市に電話して、いちばん市場めいているのを挙げてもらったのが大須にある中公設市場だった。
 この公設市場はなかなか楽しいし、優れていた。
 なによりもなかに入っている魚屋の無造作に並べている魚貝類が素晴らしい。
 そして、ここで市場めし。

 一角に麺屋さんがあり、カウンターがあって、食事もできる。
 名前が「松月」という。
 カウンターに座って、「つめたいのありますか?」ときくと。
「ありますよ。“ざるそば”とか“かけ”とか」
 そして品書きを見るのだけど「冷やし」らしいものは確かに「ざるそば」しかないのだ。
 そしてそして「ころ」というのがある。
「“ころ”ってなんですか」
「ああ、これが冷たいうどん、“かけ”でもええけど、これは卵が入っとる。冷たいうどんにつゆのかかったヤツだね。ウチの“ころ”には昔から卵が入ってる」
 卵入りは嫌いなのだけど、この店の基本の「ころ」なのだとしたら素直にしたがいたい。
 カウンターに腰掛けたときは、ボクが唯一の客であった。
 そのすぐ後に近所のオバチャンがきて、サラリーマン風がふたりくる。
 また麺だけを買いに来る人も後を絶たない。

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●クリックすると拡大

 待つほどもなくやって来たのが、黒い丼に真っ白なやや太めうどん。
 中央に黄色っぽい卵の黄身とネギ(わけぎ)とおろししょうががのっている。
 うどんをひっくり返し、卵をつぶすと下から醤油黒いつゆが浮き上がってきた。
 ひとたぐりすすると、ぬめっとしたうどんで噛むとしっかり腰がある。
 どちらかというと讃岐うどん風ではなく、モチモチ系。
 比較的ボクの苦手なものなのだけど、汁がやたらにうまい。
 そして、この汁には、どうやら、このような表面ぬめ系うどんでなければならないように思えてくる。
 しかし、汁とうどんの醤油辛さ加減が抜群だ。
 とろりとした卵の黄身も適度に存在感があっていい。
 大汗をかいて、少々ばて気味だったのが醤油辛い味に癒されていく。
 またこのいっぱいの「ころ」、食べ終えて、まだ食べ飽きぬうまさがあるのだ。

 さて、公設市場を見て回り、まだ旅は続くので買い物もしないで、グルリと建物の周りを歩いてみる。
 建物は今時のスーパーそのもの。
 中に入っているのが、総て個人商店対面販売というのが公設市場らしいところ。
 ちょうど『松月』の店のところにくると外側にも入り口があって、暖簾がかかっていた。
 こちら側から入ると、ただのうどん屋さんというわけである。

松月 愛知県名古屋市中区大須3-10-26 中公設市場内


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このページは、管理人が2008年7月17日 06:53に書いたブログ記事です。

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