2008年6月アーカイブ

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 一仕事終えた築地場内、どこで朝ご飯を食べようか、迷いに迷った。
 連れは「うまい魚が食べたい」という。でも「かとう」は満席、「高はし」は値段的に無理。
 行きくれて、困ってしまい。「こういうときには“つきじろう”」だと思ってケータイ。
 実を言うと現在6時前、つきじろうさんと通じてから「そうだ今日は土曜日で、まだ早朝だった」と反省する。
「起きてました?」、「大丈夫起きてます」。こんなやりとりの後に、つきじろうさんが「魚のうまい店」としてすすめてくれたのが、なんと「小田保」なのだ。
 この店ののれんにはしっかりと「とんかつ」の文字。
 過去に入ったことがあるはずだけど、記憶に残っていない。
 しかも「おいしい魚が食べたい」とお願いしたはずだ。

 おそるおそるお隣の寿司屋の行列をかき分けて店内に入る。
 壁の品書きを見ると、ロッケやとんかつが主に思えるけど、確かに「あじたたき」「あじ酢」や「まぐろぶつ」があるではないか。
 ということで「あじのたたき、まぐろぶつ、ごはんとみそ汁」を注文する。

 まずはご飯とみそ汁がきて、そこに「まぐろぶつ」。
 この「まぐろぶつ」がすごい。赤身なのだけど、口に放り込んだら旨味が強い。しかも甘味があるのは脂が均質にまわっているためだろう。
 白いごはんのうまさに感激し、みそ汁の新鮮さに感激していたら、「あじたたき」がやってきた。
 マアジはたたいているのではなくごく細く切っている。
 ここに白ネギとミョウガ。
 白ネギというのが東京風でいい。

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 このマアジの脂ののりが素晴らしい。
 連れが「島根定置のマアジと比べると落ちますね」なんて言うが、これはこれでうまいのである。
 支払ったのが1450円なのだけど、2000円以上の価値がある。

 しかし返す返すも“つきじろう情報”は正確無比。
 魚の豊富な地方から上京してきた連れが、やたらに「小田保」の料理に感激していた。
 場内を案内したボクの鼻も高々なのだけど、すべてつきじろうさんのお陰です。
 つけ加うるに早朝から起こしてしまって「すまん、すまん」。

朝は築地で朝ごはん
http://tsukijigo.cocolog-nifty.com/blog/

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 これ以上望めない理想の市場食堂を石巻で見つけた。
 たぶん現在の概念では、ここまでやれば「市場食堂」としては充分だろう、というもの。
 実を言うと、観光客が「うまい魚がくいたい」というのを満たすものではなく、「市場で働く人が空腹を満たして、加うるに魚がたらふく食える」という食堂だ。
 また市場食堂には親切で優しい、従業の方がいらっしゃると、これまた理想的なのだけど、『斎太郎食堂』の場合、その点でも申し分がない。

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 さて品書きをつらつら挙げるに、トンカツにラーメン、焼き飯にカレー、この基本的なもの、どれをとっても味がいい。
 例えばカレーライスだが、平凡だけどうまい。ボクが石巻の市場で働いていたら、ときどきカレーもいいだろうと思うに違いない。

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上はミニカレーライス

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ご飯に混ざる、赤いものが、なると巻きなのである。なると巻きの赤の度合いに注目

 またチャーハンというよりも焼き飯というものがあって、このようなその場で料理して出すものがとてもうまい。見た目は醤油を使っているためか、やや茶系に染まる。そこに卵、焼き豚(チャーシュー)、ネギにグリーンピースが乗っている。そして特筆すべきがなるとを刻んだものが彩りと使っている。この赤いなるとが派手やかで、どこかしら演歌風。考えてみると宮城県といったら演歌が似合う。もっともっと深く考えて見ると宮城県は東北の入り口なのであり、そのせいか看板や料理、食材などの色使いが派手である。北国に映える色づかいというのか、なると巻き(練り製品の)まで赤と白が逆転して派手やかで、その無理矢理明るくしているところに東北ならではのうら悲しさを感じる。

 石巻なんだから、その日に揚がった魚が食べたいというのは、残念ながら出来ない模様だ。ここはあくまで市場の食堂であって、まずは市場人の腹を満たすのが先決だ。
 魚系の定食が紙の札に並ぶ。
 刺身ではカツオ、イカ、ミンククジラ、サンマ。どれも地魚というよりは石巻に大量に揚がるもので、当然、冷凍だけ。
 それでも定価は800円前後であって、いいものを使っているためか、ご飯もつけ合わせもたっぷりしているためか、豪勢に感じられる。当然満足度が高い。
 ボクはカレーライス、焼き飯、銀かま定食(ギンダラ)、クジラ刺身定食をいただいた。

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宮城県鮎川はクジラの町だ。その隣町とも言えそうなのが石巻市。

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「銀かま定食」には冷凍ものながらカツオの刺身がついている

 これが総て、味よし、盛りよし、また満足度は高し、であった。
 気になったのは、単品でお願いした豆腐の味が素晴らしかったことだ。
 石巻にはうまい豆腐屋があるらしい。

 石巻魚市場『斎太郎食堂』での食事は天佑丸冷凍冷蔵尾形清雄さんにご馳走していただきました。
 まことに感謝のしようがありません。ありがとうございました。

斎太郎食堂 石巻魚市場内
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
http://www.zukan-bouz.com/
●本ページは宮城県の漁港巡りの旅の続きです。
http://uma-i.seesaa.net/article/100845276.html

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 まずは宮城県、岩手県の方に地震お見舞い申し上げる。
 このような天災を見るにつけても、「無駄な高速道路を造るよりも、もっとやることがあるだろう」と思うこの頃だ。
 自民党と行政は変だぞ!

 閑話休題。
 石巻魚市場内にある『斎太郎食堂』がよかったのだ。
“築地朝ご飯のプロ”つきじろうさんにもお教えしたいくらいによかった。
 そこに並んでいたのが様々な缶詰やこの「いわしうどん」。
 気になって見ているとヘンリーブロスの江嶋社長が買い求め、分けて頂いた。
 江嶋社長には感謝。

 乾麺にマイワシのすり身が入っている。
 原材料には「小麦粉、鰯落とし身、食塩」と書かれているだけだから、他に考えようがない。
 とするとマイワシの味わい、匂いがどのように味わいに出るのか? 不安を感じる。

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 こんな不安はゆであがり、一本食べてみて吹き飛んだ。
 笊(ざる)に盛り上げた感じは、そば粉の度合いが低いそばのよう。
 でも食べてみるとしっかり腰のあるうどんであって、微かにマイワシの風味がしてくる。
 麺に旨味が感じられるのがいいし、とにかくうどんとしてうまい。

 うどんというと炭水化物の塊で腹を満たすが栄養価は副食物に頼らざる終えない。
 そこに不飽和脂肪酸やカルシウム、タンパク質などが豊富なマイワシが入るというのは願ってもない。
 これは間違いなく石巻の名品である。

麺舗かのまたや 宮城県石巻市穀町6の19

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