これ以上望めない理想の市場食堂を石巻で見つけた。
たぶん現在の概念では、ここまでやれば「市場食堂」としては充分だろう、というもの。
実を言うと、観光客が「うまい魚がくいたい」というのを満たすものではなく、「市場で働く人が空腹を満たして、加うるに魚がたらふく食える」という食堂だ。
また市場食堂には親切で優しい、従業の方がいらっしゃると、これまた理想的なのだけど、『斎太郎食堂』の場合、その点でも申し分がない。
さて品書きをつらつら挙げるに、トンカツにラーメン、焼き飯にカレー、この基本的なもの、どれをとっても味がいい。
例えばカレーライスだが、平凡だけどうまい。ボクが石巻の市場で働いていたら、ときどきカレーもいいだろうと思うに違いない。
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ご飯に混ざる、赤いものが、なると巻きなのである。なると巻きの赤の度合いに注目
またチャーハンというよりも焼き飯というものがあって、このようなその場で料理して出すものがとてもうまい。見た目は醤油を使っているためか、やや茶系に染まる。そこに卵、焼き豚(チャーシュー)、ネギにグリーンピースが乗っている。そして特筆すべきがなるとを刻んだものが彩りと使っている。この赤いなるとが派手やかで、どこかしら演歌風。考えてみると宮城県といったら演歌が似合う。もっともっと深く考えて見ると宮城県は東北の入り口なのであり、そのせいか看板や料理、食材などの色使いが派手である。北国に映える色づかいというのか、なると巻き(練り製品の)まで赤と白が逆転して派手やかで、その無理矢理明るくしているところに東北ならではのうら悲しさを感じる。
石巻なんだから、その日に揚がった魚が食べたいというのは、残念ながら出来ない模様だ。ここはあくまで市場の食堂であって、まずは市場人の腹を満たすのが先決だ。
魚系の定食が紙の札に並ぶ。
刺身ではカツオ、イカ、ミンククジラ、サンマ。どれも地魚というよりは石巻に大量に揚がるもので、当然、冷凍だけ。
それでも定価は800円前後であって、いいものを使っているためか、ご飯もつけ合わせもたっぷりしているためか、豪勢に感じられる。当然満足度が高い。
ボクはカレーライス、焼き飯、銀かま定食(ギンダラ)、クジラ刺身定食をいただいた。
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宮城県鮎川はクジラの町だ。その隣町とも言えそうなのが石巻市。
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「銀かま定食」には冷凍ものながらカツオの刺身がついている
これが総て、味よし、盛りよし、また満足度は高し、であった。
気になったのは、単品でお願いした豆腐の味が素晴らしかったことだ。
石巻にはうまい豆腐屋があるらしい。
石巻魚市場『斎太郎食堂』での食事は天佑丸冷凍冷蔵尾形清雄さんにご馳走していただきました。
まことに感謝のしようがありません。ありがとうございました。
斎太郎食堂 石巻魚市場内
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
http://www.zukan-bouz.com/
●本ページは宮城県の漁港巡りの旅の続きです。
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築地場内「小田保」で魚三昧の朝ごはん