2009年3月アーカイブ

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 滋賀県近江八幡周辺で作られる「赤いコンニャク」を初めて見たのは京都だった。
 確か市内のデパート食品売場。
 今考えてみると、市内のあっちこっちに赤いコンニャクが売られていて、これが京都のものではないというのもいつの間にか知っていたのだ。

 珍しさから、買い込んだものの普通のコンニャクとかわることのない味わい。
 拍子抜けするほどに普通のコンニャクだったのだ。
 でも「赤」というのは強い色で、逆に普通のコンニャクの濃いネズミ色というのがむやみに目立たない。
 料理のなかで沈み込んでしまう、見た目、姿を隠してしまっているコンニャクが、赤くなると主役になりえる、というのを今回証明してみたい。

 さて、近江八幡の赤いコンニャクを買ったのが大阪の木津市場。
 もどした国産ゼンマイを買ったら、その反対側の豆腐などを売る店にこれがあったのだ。
 ゼンマイとコンニャクとなったら、後用意する物は少ない。
 青味(緑)のドジョウインゲン、油揚げ。
 コンニャクはゆでこぼし、適宜に切っておく。
 鍋に胡麻油、そこに材料をどんと放り込んで炒め煮にする。
 味醂、少量の砂糖、少量の酢、醤油。
 炒め煮ほど簡単な料理はない。

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 さて出来上がった我が家の定番的な惣菜。
 なかでも一際目を引くのが赤いコンニャクだ。
 ここでは間違いなくコンニャクが主役。
 炒め煮を作ったときは一合ほどご飯を余計に炊かねばならぬ、ならぬのだ。

赤こんにゃくどっとこむ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
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ぼうずコンニャクです。
年4回行っている築地案内・築地買い物案内を開催します。
築地で魚を見る。
築地を見学する。
買い物をする。
そのあと中央区の厨房施設に移動して魚のお勉強会、昼食、懇談会、買った魚の処理をします。
参加には施設利用費用など1000円前後必要になります。
魚の種類や旬、また築地に興味のある方はどしどし参加してください。
築地土曜会は朝7時半より、お魚懇談会は朝10時過ぎから午後までやっています。
開催日は4月4日です。
参加に当たっての注意事項、参加表明などは掲示板にて。

築地土曜会の連絡などは掲示板へ
http://csi.or.tv/tsukiji/kb/rb.cgi
参加申し込みフォーム
http://csi.or.tv/mail/doyoukai.html

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 山陰本線はれっきとした幹線鉄道である。
 京都駅から山口県下関まで、というのだから凄まじく長く、国内でも屈指の鉄路だろう。
 島根県に通うようになって、何度もこの長大な山陰本線に乗っている。
 乗ってみなけりゃわからない島根県の実情というのがある。
 例えば山陰本線は幹線鉄道なのに単線なのだ。
 例えば長大な鉄路を有しているのに1時間に1本しか便がない。
 そして例えば、朝夕でも2両編成、深夜(そんなに遅い時間ではない)ともなると1両編成が当たり前。
 夜遅く乗ったら、途中から乗客がボク一人なんてことだってあった。
 そのときの寂しさと言ったら、カンパネルラと別れたジョバンニのようではないか。
 たくさん乗っていた乗客を消去してしまったのは誰だろう。
 それは都心にみっともない巨大ビルを建てている脳天気野郎や、小沢一郎を代表とする汚染された政治家、汚染された行政者、汚染された企業、人間味の欠片もない金(かね)本位バカだろう。
 早く人間性を取り戻して欲しいものだな、この国の人たちよ。
 と、自分も含めて戒める。

 閑話休題。
 駅弁に話を戻したい。 
 島根県浜田市から『島根県』津和野町に行くには、山陰本線で島根県益田駅まで行き、そこで山口線に乗り換えることになる。
 車で行くと、1時間半くらいだろう、これが鉄路だと2時間以上かかる。
 なぜなのだろう?
 それは山陰本線が一時間に1本なら、山口線の本数はもっと少ないからだ。

 益田駅で半時間ほどの待ち合わせ。
 駅前通の酒屋で日本酒を買い、それでも駅で退屈な時間を過ごす。
 あまりに暇なので、駅売店をのぞき見つけたのが「さざえ弁当」だ。
 長楕円形に帯状のラベル、そこに「益田名物」、「寄ってみんさい 来てみんさい 歌の聖の人麻呂と 画聖雪舟に 日本海の旬の味」とある。
 弁当を食べ終わってしまっても「さざえ弁当」と「益田名物」以外、この細かなコピーまでは読んでいない。
 このコピーは帰宅して画像から読みとったもの。
 面白いコピーだが、長すぎて行楽気分にはないボクには意味をなさない。
 ボクなら「人麻呂・雪舟縁の地 益田名物」だけにする。
 ゆったり旅気分の人用に長いコピーを小さく印刷すればいい。
 ちなみに「さざえ弁当」の大きさはよろしいな。

 包装も簡便でキッチュなものなのに値段は900円もする。
 材料がサザエなんだから当たり前だけど、駅売店の隅に置いてあったので高いと感じた。
 これが思わぬ拾いものだった。
 食べたら900円が安いとさえ思った。

 午前11時過ぎ、停車中のディーゼルカーに乗り込む。
 益田の地酒「宗味」ワンカップ片手に、ディーゼルカーの大きな揺れを気にしながら、2駅超えてから蓋をとる。

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 長楕円形の三分の二がさざえ飯でうまっている。
 上に煮たサザエがあるので、ご飯を煮汁で炊いているのだろう。
 おかずは竹輪、野菜天(薩摩揚げ)、玉子焼きに椎茸。
 もうひとつ、今度は丸のままのサザエが一個。
 漬物は大根二種でタクワンと桜漬け(桜色の漬物)。
 サザエを何個使っているのか判然としないが、明らかに原価率が高そうに思える。
 安いときだったらサザエは二個で200円ほど、高いときなら300円はするだろう。
 練り製品の質もよく、なかなかこれは良くできた弁当と言わざるを得ない。

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 さて左手にワンカップを持って、何がうれしいかというと、さざえ飯が、酒の肴として食べられることだろう。
 ボクは駅弁にはお茶ではなく、ワンカップというのが大好きなのだ。
 ご飯に適度な旨味と醤油の香り、ときどきサザエにあたるとほんのり甘みを感じる。
 煮サザエはうまいのだけど個人的には無用だ。
 でも普通の人なら、感激するだろう。
 ボクはずぼらなので、ワンカップをわざわざ車窓に置き、左手にサザエの貝殻を持ち、爪楊枝を右手に持つのが煩わしい。
 さて、ボクが幕の内弁当を愛好するのは酒を飲みながら食べられるからだ。
 その意味では「さざえ飯」も飯自体が酒の魚となるので、とてもありがたい。

 山口線は山の中を縫うが如く走る。
 日は傾き、車窓からの眺めがいやに深として寂しい。
 「さざえ飯」でワンカップを一本。
 食べ終わって二本目を飲む。
 
2008年7月25日
デリカ丸久 島根県益田市あけぼの西15-5
宗味
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、サザエへ
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 昨年からなんど伯備線に乗っただろう。
 1度、2度、これが3度目かな。
 昼間走る伯備線の車窓から見える景色にはだれだって、感激するだろう。
 その山里の、そして山の斜面の、川の流れのなんと美しきことよ。
 対照的に、夜はなんとも寂しく、誰もいなくなった銀河鉄道を思わせる。
 特急やくもの不思議な、左右前後の揺れ、ククウウク、ククウウク、クウククという不気味な音。
 この揺れもインドコテリウムの鳴き声ののごとき雑音も夜の方が大きい。

 今回は午後一番の特急やくも、なんだか旅情を感じて、思わずホームで駅弁を買う。
 残念だったのが、伯備線ホームには大関しかワンカップのないことだ。
 JR西日本さんよ、できたら地酒のワンカップおいてくれないかね。
 大関じゃ、せっかく湧いてきた旅情が急激にしぼんでしまう。
 結局スーパードライを一缶。

 伯備線は倉敷、備中高梁をすぎて、急激に山間のなかに入っていく。
 左に川が見えるのだけど、なんともきれいだ。
 備中高梁といえば、赤穂浪士の大石内蔵助が城の開城を担当したところだったはず。
 いや違うな、豊臣秀吉(このときは羽柴秀吉)が水攻めをやったところだった。
 この戦を切り抜けて、秀吉は天王山へ大返しをやったんだ。

 備中高梁をすぎて「味折小町」をあける。
 そう言えば、これは伯備線ホームでたった一個だけ残っていた幕の内なのだ。
 駅弁売りのオバサンに「幕の内ありますか」というと「祭寿司だけなんです。でも、ちょっと待ってくださいね」、といってもう一人いた駅弁売りのオジサンのところに走り、これこそ伯備線ホームに最後に残った幕の内弁当が買えたのだ。
 紙の蓋をとったとたんに典型的な幕の内が出てきた。
 多種多彩なおかず(肴)に木型で型押ししたご飯。
 白いご飯に黒ごまという幕の内の基本形がここにある。
 赤魚粕漬け、高野豆腐煮、鶏肉南蛮漬け、卵焼き、肉団子に牛肉しぐれ煮、海老天ぷら、菜の花チキンくらげ和え、なす天ぷら、小松菜お浸し、きんぴらごぼう、椎茸煮、人参煮、ほたてチリソース和え、鶏肉そぼろあん、大根漬け、そら豆塩ゆで、ポテトフライ、大根生酢、梅干し、枝豆塩ゆで、と並んで900円は安いのではないか。

 さてどうして幕の内はこれほどおかずが多彩なのか、というと、おかずが酒の肴でもあるからだ。
 だからおかずの3分の2ほどで酒を飲み、残りでご飯を食べる。
 それなのに缶ビールとは情けない。
 この幕の内なかなか味がいい。
 おかずもご飯も合格点。

 こんなときに限って酒がないのだ。
 吉田健一なら思わず、電車から飛び出しただろう。
 山口瞳なら、ボクどうようにひとり情けない思いにかられたに違いない。
 幕の内は酒を飲むためにあるのであって、ビールを飲むためのものではないのだ。

 さてさて岡山から伯備線に乗り込むなら、改札を通る前に近くのデパートなどでうまい日本酒を買い、伯備線ホームで、決して祭寿司ではなく、幕の内を買うのが最上の選択である。

 ぼんやり外を眺めながら、なんとなく物思いに耽っていたら、右手に大山が見えてきた。
 そして山間部から平野部になり、なんだか急に景色が明るくなったのである。
 米子は近い。
 米子まで来たら、松江まではもう一息なのだ。

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