一正の「牛すじ煮込み」

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 惣菜塩干物を売る仲卸をのぞくのが大好きなのだ。気が知れた店ならどんどん箱を開けて掘り出し物を探していく、そこで「変なもの」を発見したときのうれしさは例えようがない。「変」と言っても「一興に値する」とか「興味深い」、「思わず買ってしまう」と表現を置き換えてもらうともっとわかりやすいかな。そんな日々に八王子綜合卸売センター「フレッシュフード福泉」で見つけたのが不思議なパッケージに入っていた「牛すじ煮込み」なのだ。
 このパッケージが面白い。煮豆や佃煮が入っている袋なのだがぽっこりメタボリック症候群のオヤジのように前が膨らんでいる。そこに見えるのは醤油味の煮込みである。コンニャク、里芋、大根に牛すじ。

「福泉」の店頭で見ているとボクと同世代から上の商店主がどんどん仕入れていく。
 そのひとりをつかまえて聞いてみると
「なんだか文字にひかれるのよ。『牛すじ』てのがいい」
 絶対に売れるよ、と言い残して一箱持って帰る。
 確かにボク以上の年齢のお父さんにはたまらん響きなのだ「牛すじ煮込み」というのが。そしてこのまま鍋で簡単に温められるというのも魅力的だ。だいたい最近、お父さんが遅く帰ってきても誰も相手にしてくれない。酒の肴だって自分で用意するのが「当たり前よ」と言われているのだ。そんなときにコイツは偉い。「一正」も偉い。

 いかん、味わいを書くのを忘れていた。汁はやや甘口で濃厚な醤油味。真冬などしみじみ心も体も温めてくれそうだ。そして何より牛すじがコリコリとうまい。
 寂しいお父さんには絶対に必須アイテムである。

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一正蒲鉾 新潟県新潟市津島屋7丁目77番地
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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このページは、管理人が2006年10月 9日 13:53に書いたブログ記事です。

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