2006年8月16日アーカイブ

 神戸の「オリバーソース」の創業は1923年だとある。これは関西で日本初のスターソースが生まれてから30年近く後、決して早い創業とは言えそうにない。ただ、この会社が歴史に名を残すのはトンカツソースを開発したことにある。トンカツソース(濃度のあるソース)は、ウスターソースがイギリスからの輸入ものを模索し作ったのと違い、まったく新しい発想のソースである。
 そんな「オリバーソース」の「どろソース」を初めて知ったのは、確か15年以上前。我が故郷から上京する途中、必ず京都か大阪に立ち寄るのだけれど、その大阪難波で買い求めたと記憶する。そのときは珍しいラベルだというだけで、「どろソース」という存在はまったく知らなかった。
 そして帰宅してさっそく使って驚くとともに、以後、我が家での常備調味料となってしまっている。だいたい西日本ではウスターソースの使用頻度が高く、ときに何にでもかけてしまう。我が子供の頃には天ぷらにかけるのは当たり前だったし、お祭りの屋台で売るタコの天ぷらには、あらかじめソースがかかっていた。このソースの匂いにアセチレンガスの光が懐かしいな。まあ、まあ、それは置いておくとして、我が家で普段使っているのは「イチミツボシ 加賀屋」のお好み焼きソースである。これがかなりの甘口。本来お好み焼きに使うものをフライなどに使っているので、それに加えてボク用にブルドッグのウスターソースが並ぶ。でもこれは味わい的に好みのものではなく、それでも家族が勝手に買ってくるもので言うなればイヤイヤ使っているのである。ここに登場するのがオリバーの「どろソース」である。ブルドッグに、少し「どろ」を加えるととたんに味が良くなる。またときには「どろソース」だけというのも刺激的。
 さて「どろソース」とはなんぞや、という話が後になってしまった。これはウスターソースを造るときに熟成期間が必要となる。そのときに熟成タンクの底にたまった「泥」のような部分。ここには野菜から出る旨味も、スパイスも高濃度で溜まっている。その味わいはスパイスの刺激が強く辛い、酸味旨味も強く濃い。
 我が家でフライを食べるときには、まずブルドッグで食べて、「どろソース」で締めるのを常としている。またせん切りキャベツやサラダには「どろソース」というのが私流。これにレモンで口中すっきり感があって、肥満気味のオヤジには満腹感を助長してくれるからうれしい。
 ついでに最後につけ加えるとオリバーの「どろソース」は関東でもっとも手に入れやすいもの。他社にも「どろソース」もしくは同様のソースがある。あれこれ試してみたいのだが、なかなか近所で見つからない。ああ、こんなことを考えていると関西にソースを買いに行きたくなる。

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オリバーソース
http://www.oliversauce.com/

 福島県の国道沿いのスーパーで見つけたもの。非常に廉価なもので、明らかに白河市周辺でのみ見られる「地納豆」と思われる。それが証拠に非常に簡単な文字配列、色合いの田舎臭いパッケージで、これは他の地域からきたものには好感が持てる。
 これはボクが勝手にやっていることだが地方に旅すると必ず「地納豆」を探す。そして「地納豆」があるという町や村は、たぶん見所のあるところだと思う。すなわち「地納豆」はその町の文化度の指標である(これは西日本を除く)。
 タレ辛子つきで味わいは値段からしても平凡なもの。でもしっかり納豆の味わいが感じられて、一日だけ我が家の朝食の主役となった。

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伊東食品 福島県白河市表郷金山百目木19
http://itousyokuhin.co.jp/top.htm

 ソースと言えば関西、もしくは西日本というイメージであるが東京にもソースのメーカーは多いのだ。その中でユニオンソースは日本橋「たいめいけん」の1階で見つけたもの。ただし「たいめいけん」のテーブルに置いてあるのは瓶が丸く、市販しているのは真四角なのだ。この真四角のを京橋の「明治屋」で見つけて、「丸い瓶はないんですか」と聞いた覚えがあるが、結局「たいめいけん」の丸い瓶は見つからない。
 まあ、それでも同じメーカーなのでユニオンソースを見つけるととにかく買うことにしている。ボクはとにかくウスターソースが大好きである。
 18世紀にインドから持ち帰った香辛料を使ってイギリスで作られたウスターソース。我が国では明治半ばまでイギリスからの輸入品しかなく高価なものであった。それが明治の後半にはやっと国産品が登場してくる。これが日本が誇る「洋食」の普及とあいまって、日本各地にたくさんのソースメーカーが誕生したようだ。その点、ユニオンソースの1949年創業はけっして古いものではない。でも文京区根津という土地柄と、「たいめいけん」で慣れ親しんでいる味わいなのでなんだかレトロな感じがする。
 このユニオンソースの味の特徴は酸味にある。この酸味がちな味わいのお陰で味わいが軽く、キャベツなどにかけるととてもうまい。またライスカレーにかけるならぜひともユニオンソースが欲しい。なぜだろう、このソースがやたらにライスカレーの味を高めてくれる。
 これは余談だが、このソースに見返りのペンギンが描かれている。このため長い間、「ペンギンソース」というのだと勝手に考えていた。その由来はホームページを見るべし。

union.jpg

ユニオンソース
http://www.unionsauce.co.jp/

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