山梨中央市場でこまった。広い敷地に食堂などが見つからないのだ。それで水産棟からもう一度市場を周り、またまた探して探して青果市場の西に何軒かの食堂があつまった建物を見つけることができた。
その建物には3軒の食堂がある。そして建物の前で思案する。どれに入ればいいのか、店の中が見えないのだ。市場の食堂というのはほとんどが常連さん相手で、外部からお客がくるなんて思ってもいないのだろう。食堂に入ったとたんに、よそ者はボクだけで「白ら〜っ」とするのがちょっと恐い。
意を決して角にあるその名も「山中食堂」に入る。でもやはり中で食事をとっているのは明らかに市場関係者ばかりなのである。こんなところ観光地沼津とは大違い。メニューを見ると中華ともそば屋ともつかないメニューが並んでいる。定食にしようかな? と思ったが、決め手がない。考えあぐねて無難にラーメンにしてしまった。これが450円。
出てきたのは真っ黒なしょうゆラーメンである。そのしょうゆの濃度は濃くて鼈甲色を思わせる。チャーシュー、メンマ、なると、板海苔がのっていて麺は普通の細くて微かに縮れたもの、所謂、戦前からある典型的「支那そば(支那はラーメンの歴史を語る上で避けて通れない言葉である。ここではまったく侮蔑的な意味合いを持たない)」だ。
この色合いは「どこかで見たもの」、そう八王子ラーメンの色なのだ。違うのは「表面に透明な油の層がない」、「刻み玉ねぎがのっていない」というところ。そしてそのスープなのだがコクがあるのだが、旨味が少ない。大量の醤油のアミノ酸が鶏ガラなどからでる旨味を殺しているのだろう。これは冬の寒い時期なら好ましいものかも知れない。ラーメン全体の味わいからすると決して悪くない。ラーメン通ではないボクなんてときどき食べたくなるものだ。
この醤油色スープのラーメンはひょっとすると山梨ラーメンの特徴なのかも知れない。それならそれで面白いのではないだろうか?
山中食堂 山梨県甲府市国母6丁目4-1
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