富士吉田市は富士のすそ野にあって、どんどん下り坂の町なのである。その下り坂を、下り始めでみつけたのが「はなや」。店の構えはいたって平凡。まるで片田舎の食堂然としている。でも一歩引き戸をあけると右手に大釜があり、奥には座敷がつづく。その深とした佇まいは清潔感にあふれている。そして大釜の奥ではうどんが生地をとんとんと刻む音。
なんとなく雰囲気に圧倒されるのは一人で何気なく入ったためであろう。品書きを見ると最初にある「湯盛りうどん」が350円であり、気軽に家族連れでも来られそうだ。
そして品書きをもう一度見直すと、どうも、「ざる」=「つめたい」と「湯盛り」=「温かい」うどんしかない模様。この品書きなど富士吉田本来の家庭的なものではなく、やや「うどんにこだわった」店であるようだ。
そしてこの店のお勧めだという「湯盛りうどん大600円」をお願いする。そしてしばし待つと言うこともなくやってきた。やや大振りの丼、そこにゆで汁とうどん、上にのるのは削り立てのカツオ節、そして青菜。小鉢には醤油辛い漬物とネギ。静かな座敷にカツオ節の香りが立つ。でもどうやって食べるのだろう。
「どうやって食べるんでしょう」
「お好みで醤油と味噌で食べてください」
ということで、まず何も入れないでうどんをすする。腰が強いというほどでもないがモッチリした食感のうどんなのである。でもこれだけではもの足りないので醤油を垂らし、ピリ辛い味噌を溶く。でもやはりうどんをすするにもの足りない、塩味が欲しい。この物足りなさは最後まで続く。これは日頃の塩分の取りすぎが原因なのだろうか? この「湯盛り」というもののよさがわからない。どうもボクには「ざる」の方が好かったのかもしれない。
まさにうどん自体を味わうための「湯盛り」であるが、ボクには上等に過ぎる。ボクが求めるのはいたって普通のうまいうどん
辛味のある味噌と、醤油で、自分好みに味付けする。ボクとしては味付けはお店にお願いしたい
はなや 山梨県富士吉田市上吉田111
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