大学1年生の夏休み、ボクの実家に幼なじみが大集結。そろそろ大人の階段を上り始めたはずなのに、その会話というのが「山口百恵と桜田淳子はどっちが可愛い」というものだった。友人のKFは「桜田淳子では●●がかけない」なんて卑猥なことを言うし、対するTなど「山口百恵は足が太い」と、当時の18、19歳は本当に子供っぽかったものである。ちなみにボクはその当時から流行に着いていけない異端児であって、いちばん好きな芸能人が梶芽衣子だったので会話の外にいた。この山口百恵と桜田淳子がその当時を代表するアイドルであって、このつまらない会話は実に熱をおびたものだったので今でも覚えているのだ。
それから幾年月、人気も下降気味の桜田淳子が秋田音頭を歌っている光景をテレビで見たのである。このとき彼のアイドルが秋田県出身であることを知り。それ以来、思わぬ時にぜんぜん好みでもないアイドル、桜田淳子の秋田音頭が頭に浮かんでくるようになったのだ。
その秋田音頭の歌詞が「秋田名物八森ハタハタ、男鹿で男鹿ブリコ、能代春慶、桧山納豆、大館曲げわっぱ」というもの。
この「ハタハタ」「ブリコ」はともに標準和名のハタハタの身と卵巣を分けて唄ったものか? とにかく秋田名物の第一番はハタハタというのがわかる。あとは工芸品で、桧山納豆だけが農産物加工品。しかし納豆が秋田名物の代表とはね、と秋田県の土俗性に打たれる気もする。
さて、その桧山納豆であるが、先週、有楽町交通会館でもいちばん暗いイメージの秋田物産館で見つけた。とうぜん頭の中には秋田音頭が流れてきており、目の前にあるのが桧山納豆なのだから「地納豆愛好家」としては買わざる終えない。
見た目は見事な藁苞1本。中を開けると藁に直に納豆がくるまれている。タレ、からしなどはなく、生醤油で食べることになる。
このやや黒褐色に近い色合いの豆が納豆菌の粘りで強固にくっつきあっている。これを我が家自家製の納豆専用太箸で練りつける。ねるほどに箸はより重くなり、納豆特有の匂いが立ってくる。練りながら、少しずつ生醤油をたらし込むとやや箸が軽くなり、糸が泡ぶく状に変化してきて、この辺りが食べ頃である。
すすり込んだ大豆は硬からず柔らかからずほどよい甘味があり、納豆菌の匂い(風味)が強い。製造するに納豆菌を振りまいているのは現代風であるが、その菌の増殖を藁で包むことでより倍加させているのだろう。旨味が強く、納豆菌の作り出す複雑な味わいが楽しめる。これがどれほどの量作られているのかわからないが「地納豆」としては名品であることは間違いない。
14代目西村庄右衛門 秋田県能代市桧山字桧山町19-1
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八王子魚市場内『まつえ食堂』のにょろにょろ定食700円くらいかな? 後の記事 »
埼玉県入間市「手打ちうどん さわだ」