神保町サボール2まで来て見上げると曇り空ではあるが、雨は降りそうにない。「大雲堂」でも覗こうかなと思ったが、予期せぬ出費が恐いので慌ただしく地下に下りる。そして半蔵門線で押上に向かう。いつものことながら隅田川の地下をくぐるのは不気味だ。こんなときに地震に見舞われたらどうなるんだろう。押上から京成電車に乗り込みたどり着いたのが立石である。葛飾区は江戸川を挟んで対岸は地がと言う土地柄、その市川は永井荷風の終焉の地でもある。また葛飾柴又は当然、「男はつらいよ」の世界が広がる。でも柴又の帝釈天よりも遙かに行ってみたかったのが立石である。愛読書『下町酒場巡礼』の『うちだ』、そして立石仲見世は都内でももっとも魅力的な商店街であるという。
ホームに下りると前を歩くのは明らかに海外からの女性。またその横に不思議なファッションのお婆さんが階段をやっとこさのぼっていく。登り切ると駅は思ったよりも古く、そのまま改札口を出て、人の流れに従い右の階段を下りる。おりる鼻からカンカンカンと踏切の音、駅の階段を下りるといきなり喧噪が襲ってくる。
階段を下りて右に曲がる。この流れにそって歩く人のなんと多いことか。またすぐそこで売り声が響いてくる。立ち話を道の真ん中でしているお婆さんと自転車の女性。その自転車の前後に子供が乗っている。その女性の美しさに驚く。まだ逢魔が時には早いぞ。流れを止められて頭上を見上げると「立石仲見世」の文字。入り口の左右にうまそうな惣菜屋。片方は漬物が多く、かたや煮物が多い。その隣の立ち食いそばも使い込まれた紺暖簾を垂らして、思わず入ってみたい店構え。そしていきなり「うちだ」に出くわしたのだ。「うちだ」ではなく「宇ち多」なんだろうか? もしくは「宇ち田」、どうでもいいのだが、『下町酒場巡礼』に3時開店。5時には売り切れるものが出る、ほどの人気店とある。それを思い出していきなり入る。ここで梅割3杯、モツ煮込みなどなど。
「うちだ」で飲む内にカメラの電池切れとなる。ほろ酔い気分で仲見世に出るが電池を売っている店はない。仕方なく、仲見世を出てイトーヨーカドーに入る。こぢんまりしたスーパーではあるがレジには行列が出来ている。でも下町らしい品物はまったく見あたらないのはつまらないぞ。
イトーヨーカドーから仲見世に向かう中間に有るのが立ち食いの「栄壽司」である。思わず暖簾をくぐって軽く寿司をつまむ。大振りの握りが安く、そしてあなどれぬほどにうまい。
仲見世に戻り歩くに、魅力的な店が多すぎる。餃子、キムチの専門店、人形焼きの店がある。「喫茶軽食、和洋菓子 松廼屋」という喫茶店? が不思議である。赤飯からパフェ、あんみつやソフトクリームまであって、これもついつい足を取られそうな店だ。仲見世出口に手焼きせんべいの店。そして広い通りが奥戸街道である。
街道を西に向かう。古い造りのそば屋、製麺所もある。道路を渡り、路地に入る。この路地の「米穀山崎商店」というのがいい。
揚げ物、惣菜を売る肉屋の「鳥善」。「黒須豆腐店」の店先にあったのが「丸永納豆」。当然、2個買う。豆腐も買いたいが気温は明らかに30度を超えて蒸し暑い。正面に「仲見世」の入り口を見て、そのまま奥戸街道に抜けようかと思いながら、また路地に入る。自転車が行き来できるほどの三角地帯に屋根にグチャグチャっとキウイをからめた家。ここまでになるにはかなりの月日が経っている。その奥に続く路地がとても懐かしい思いに駆られる。
路地を曲がりに曲がり、また奥戸街道に出て中川を目差す。中川にかかる橋が見えてきてちょっと感じのいい酒屋を発見。ここで松戸の「Nihon Citron」を発見。ついでに面白い絵柄のワンカップも買って両手がふさがってしまう。店を出てレシートを見て「美濃屋」という屋号であるのを知る。また奥戸街道の反対側にも酒屋があって、なんだか飲み助の多そうな町だな、と思う。
入ってみても気づかなかったが古い木造建築であったのだ
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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葛飾立石 第二弾を読んでくれ!
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神田明神前「天野屋」の芝崎納豆・納豆茶漬け