ある日思い立って、入間に来た。これは埼玉を知るための旅であり、時間があくと突発的に敢行する。そして第一の目的、『繁田醤油』を見学。いろいろ醤油蔵などみて、「この辺にお昼を食べられそうな店ありませんか?」とたずねて、『繁田醤油』の方が息を切らせて、わざわざ連れていってくれたのが『つきじ』である。
たどり着いたらそこはまったくの住宅地。新築の店に使い込んだ紺色の暖簾。白抜きで「手打 うどん つきじ」とある。この古い暖簾は新築前の店で使っていたものだろう。ここで使われている器類も古い使い込んだもので思った以上に老舗なのだろう。
店内に入ると左手に4人がけのテーブル2つ、奥に座敷があり、右手に厨房。厨房との境にカウンターがあって、ここに天ぷらの入ったバット。そこに箸が添えられて「天ぷら一つ50円」とあり、春菊、かき揚げ、ごぼう天、ナスなどがある。
メニューは「きつね」、「たぬき」もあり、もりもある。どれも魅力的だが埼玉ということでやはり「肉汁うどん」にする。この「肉汁うどん」は埼玉ならではの茹であげた温かい、また冷たいうどんの食べ方である。
出てきたものは地粉を使った薄墨色のうどんがどんぶりにこんもりとあり、右手の椀に汁、これに薬味でワカメとネギ、すりゴマがつく。面白いのは前回飯能で食べた「古久や」でもそうだが、うどんがどんぶりに入っている。きっと、このどんぶりは温かいタヌキでもかけでも使われるものだろう。
この汁に豚肉(牛肉の場合もあるのかな?)、ネギがたっぷり入っている。汁はたぶん、さば節、昆布の出汁にしょうゆ味、みりん、それに肉の旨味が加わって濃厚である。
これが「中」であり650円、ごぼう天と竹輪天を加えて750円也。
うどんはボク好みのもっちりしたもの。汁をつけないで食べても塩っ気を感じてうまい。これならどんなに大盛りでも最後まで「飽き」がこないで食べられそうだ。これにコクのある肉汁がよく合う。盛りのいい
「中」がほんの数分でなくなって、まだもの足りない。これはまさにうどんの美味のなせる思い。しかし「つきじ」のうどんはうまい。
また、残念ながら天ぷらはおいしいとは言えないが1個50円は安いな。
目立たない住宅地にこのような「うまいうどん屋」があるとは入間の味わい恐るべし、かも知れぬ?
周りはまったくの住宅地である。よそ者にはこんなところにうまい「手打ちうどん」の店があるなんてわかりっこないだろう
うどんは地粉を使い薄黒い
汁は豚肉の旨味が濃厚に出て、醤油辛くうまい
つきじ 埼玉県入間市宮前町7の12
●2006年6月14日記す
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あきる野市戸倉坂下「山味屋」の手打ちうどん