埼玉に興味を持ち始めたのは3年前にペヘレイという魚を見に大里村(現熊谷市)を訪ねて以来である。残念なことに長年東京都に住みながら、「まったくお隣の埼玉のことを知らないのだ」、とクルマで走っていても痛感した。大里村に行くにもまったく埼玉の地名、また町の位置などが頭に入っていない。
映画や鋳物で有名な川口市、歴史的にも有名な「忍」行田市は、どのへんだっただろう。また高麗、高麗川、高梁、など朝鮮由来としか思いようのない地名がある。その上、埼玉は多摩地区と同じ武蔵野なのである。
そして埼玉にとにもかくにも「行ってみる」というのを始めて目に付いたのが、「うどん専門店」である。どうしてうどん専門店がこんなに多いのか? 埼玉出身者に尋ねてみると「気がつかなかったが、そう言えば子供の頃からうどんは散々食べていたな。別に店に食いに行くことはなかったけど」。そしてこの食べ方がなかなか面白い。うどんは冷たくししてザルなどにとり、これを豚肉を入れたしょうゆ味の温かい汁につけて食べる。この汁には季節季節の野菜がたっぷり入っていて、これを昼や夕食に食べたという。婚礼の席を締めくくるのも、うどんであるというのは興味深い。「晴れ」の行事にも、「け(日常)」にも埼玉ではうどんなのだ。
また、調べてみると埼玉は米の裏作に小麦を作る二毛作地帯。平野部の多い埼玉では豊富に小麦が収穫されていた。当然、うどんのみならず蒸し饅頭や、焼きまんじゅうという小麦粉食をとてもよく見かけるのだ。とくにみたらし団子のような甘い味噌あんをかけた小麦粉でつくった団子など、群馬県、埼玉県でしかお目にかかれぬものである。
さて、淡水動物と歴史に、うどんも加えて今年も埼玉に通ってみるのだ。
●3月4日記す
埼玉県飯能市で売られていた「飯能まんじゅう」。切り干し大根ニンジンにシイタケなどの炒め煮が入っている。このように様々な饅頭が埼玉の各地で売られている
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