愛知県津島市「吉川屋」中華そば450円

0

 愛知県津島市に天王川公園という桜の名所がある。その前にあるのが吉川屋という食堂。ここはあきらかに食堂なんであってラーメン屋ではない。そんな食堂を見つけて、あまりの普通さ加減に惹かれてふらふらと入ってしまった。そこにいたのはかなり肥満気味の男性店員とかなりかなりお年を召している老婦人ふたりの客。目の前の天王川公園は桜が満開、しかも土曜日なのだ。公園の駐車場は満杯、公園の土手を行く人の多いこと。しかもクルマから見ても驚くほどに美しい桜花である。
 そんな喧噪どこ吹く風、ここには静寂さが沈殿している。この静かさに老婦人の箸の音さえ聞こえるのだ。注文を聞かれてしばし絶句。思い浮かばないので中華そばをお願いする。男性店員は不機嫌なのか、それとも無口なのか愛想がすこぶる悪い。
 そして、かなり待たされて出てきた中華そばにまたまた絶句してしまった。今までいちども見た覚えのないものなのだ。やや醤油色のスープが多すぎるのだろうか具も麺も丼深く沈んでいる。そこにポカリと浮かんでいるのが赤く紅で染めた麩。やや沈んでいるのが赤い蒲鉾、豚肉、ゆで卵。その下に麺が深く深く沈んでいてまったく見えない。「面白いなコレ」、割り箸を押っ取り刀で割り、深い沼の底に差し入れる。
 出てきたのはとてもラーメンではない、ソーメンである。そして一口すすると、ななななななんとスープだろうか、これはむしろうどんのつゆの塩分濃度の強いもの。スープを飲むほどに鶏ガラ風味旨味が感じられて、やはり中華そばなんだなと思い。ソーメンのようなラーメンをスープ共々すすり込むと、これがなかなかうまい。ここに練り物が入っていてうまいなと思うのはうどん汁に近いせいだ。豚肉もいいし、わけぎでも白ネギでもないネギも初めてであるが香りがある。ゆで卵もこの味わいにマッチしているからさあ大変だ。なんだこれは? 頭が混乱する内に中華そばを一滴のスープを残すことなく食べてしまったのだ。
 津島市で出会った不思議な中華そば、これは吉川屋だけのオリジナルだろうか? それとも津島市独特の「津島ラーメン」だろうか? 謎だ!

yosikawaya061.jpg

yosikawaya062.jpg

愛知県津島市橋詰町2 天王川公園北 吉川屋 ラーメン450円


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://blog.zukan-bouz.com/mt-app/mt/mt-tb.cgi/2145

このブログ記事について

このページは、管理人が2006年8月 7日 14:41に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「八王子市裏高尾町こだわり豆工房『ふじだな』」です。

次のブログ記事は「福島県浪江町「大室屋」のラーメン」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。