これ八王子祭(毎年暑さに疲労困憊する)で疲れ果てて、夕べに豆腐でも食べたいな、と思いあまって八王子そごうの地下で買ったものだ。太郎が買っているそばから「うまい豆腐がいい」というのでなんと300円を超える大枚をはたいてしまった。はたしてこの豆腐に300円以上の価値があるか?
ないのではないかと思う。なぜならば120円前後の神山豆腐店、峰尾豆腐店、日野の三河屋と比べてどうか? ぜんぜん傑出していないのだ。どうもこのように最初から高い材料を使い、凄いものを造ってやろうともくろむ人には庶民的な味わいの豆腐ではいいものが作れない。この値段で例えばこれも嫌いと言えば嫌いなタイプの三和豆友(「男前豆腐」、こちらの方が安い)と比べても味わいは劣るのではないか?
確かに大豆の旨味を感じるし、甘味もあるだろう。でも味わいはいかにも平凡である。個人的にこの味わいで出せる限度額は200円以下である。ただし、この高い値段で儲けようとしているのではなく「国産大豆農家を助けたい」ということなら支払ってもいいかな300円以上を。
またアメリカ産の大豆を使ってもうまい豆腐を造る店はあると思うので、個人的には「材料を誇る」ヤカラは嫌いだ。だいたい客から「どうしてこんなにうまいんでしょう?」と聞かれて初めて「うちでは国産の大豆を材料としています」と答えるくらいがすがすがしいな。格好いい!
ただし、この値段には八王子そごうというデパートの上乗せがあるのだろうか? もしくは商売上の戦略かもしれない。面白いのは大阪のデパートでは「ただ高い」なんて商品は許されない。むしろデパートの方が安いということもある。ところが関東では未だにデパートでは高くてもいいと思っているようだ。
最後にボクには微妙な味わいの違いはわからない。だいたいわからなくていいと思っている。ほんの微々たる違いには往々にして当人の美意識や思い入れなど無駄なものが上乗せされる。でも120円と300円以上の差は大きすぎる。大失敗であった。
蛇足で「スーパーイシカワ」石川栄二さんの名言を
「どっちの料理ショーだけはゆるせないな。いっぱい金かけて、日本中飛び回って、なにが料理だっての。こっちはいろいろ考えて仕入れして、出来るだけうまいもんを安く売るのに毎日苦しんでるだろ。あんなのおかしい」
ちなみに「スーパーイシカワ」は八王子でももっとも安くうまい刺身を売る魚屋である。
豆匠たかち「一丁庵」
http://www.icchoan.co.jp/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
1962年発売、東海漬物「きゅうりのキューちゃん」 後の記事 »
飯能市「てんぷら小川」