2006年9月27日アーカイブ

 まず最初にお断り。「ふりかけ」というものが水産加工品なのか、それともインスタントなもしくは手軽なB級食品なのか少々迷ってしまった。それで「ふりかけ」のは高菜漬けや卵なども使われること、また「お茶漬け」との共通点が多い点、また瓶詰め、袋入りが多いことからしてB級食品に含めることとした。
 また「瀬戸風味」を発売している三島食品には「楠苑」という加工食品、とくに「ふりかけ」に関する資料館まであるという。それによると加工食品としての「ふりかけ」の歴史は浅く熊本の「御飯の友」が大正初期を嚆矢としている。そして丸美屋の「是はうまい」が大正14年、広島もやや遅れるが昭和「露営の友」を昭和9年に発売している。

 さて三島食品の「瀬戸風味」のこと。八王子の食品商社である総市商事部にはこのような加工食品に詳しい人材が多い。その古狸に勧められたもの。彼、古狸君は加工食品を扱って40年になるというが、それほど昔からある定番商品であると言う。
 これを持って市場を歩くと、意外に反響があるので驚いた。数名のぼうずコンニャク同年輩とおぼしきオヤジが「これ懐かしいな。子供の頃から(実際に何年頃かわからないらしい)あったんだよね。昔の母親の手抜きってヤツ」とか「これのりたまより好きだ」という寿司屋まで千差万別。
 発売もとの三島食品は創業は1949年と新しいが「ふりかけ」では老舗であるという。
 さて、さっそく残りご飯を解凍してサラリパラリと振りかけて、ぐぁっしいいと一気に食ってみる。香ばしいかつお節、海苔の風味、これはうまい。そして食卓に置いておくと1瓶が4日くらいでなくなっている。これは子供達にも好評であるということだ。
 さて、この瀬戸風味、ぼうずコンニャクの子供時代は見ていない。でも地元広島では有名なんだろう。

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三島食品
http://www.mishima.co.jp/

 農文協の「聞き書 千葉の食事」にどうしても理解できない食べ物がのっていて、長年気になっていた。それがある日、「永六輔の土曜ワイドラジオ東京」を聞いていたら、タレントのラッキー池田が千葉県市原市にその「とうぞ」を探しに出かけていた。そして実際に市販されているというのだ。
 市原はクルマでよく通るところ。市街地らしい場所も見つけられないでいる。これでは無駄歩きのしようがないのだ。それで外房への山越えでは通り過ぎるだけの町となっている。

 あるというのはわかったものの業者の名前は聞き逃してしまった。しかたなく市原市役所に電話で問い合わせ、「赤石味噌麹店で造っているのだ」と判明。そして「赤石味噌麹店」に「とうぞ」を売る、「房の駅」というお土産屋を教えてもらう。

 そんな「とうぞ」探しをしているとき、我が仕事場にその市原で生まれたという戦前生まれのオヤジと言うよりおじいちゃんの警備員の方がいて「とうぞ」を知っているというので、わざわざ聞きに行ってみた。すると「とうぞ」とはどうも味噌を造るときの煮汁に、また煮た大豆を加え、そこに麹も加えて、切り干し大根を細かく切り込んで塩味をつけたものであるという。これをご飯にかけて食べるのだが「子供心にいや〜な食い物だった」という。
 確かに味噌豆を煮た汁はいい匂いがして、造るたびに捨てるのがもったいないなとは思っていた。でも飲んでうまいものだと思えない。それに塩味、煮た大豆、麹を入れて、しかも切り干し大根。どこをどう想像しても「うまい要素」はないではないか。それでも食材マニアの血が騒ぐ。エイヤ! っと「赤石味噌麹店」に思い切って宅配してもらった。

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 そして届いた「とうぞ」なのだが、思ったよりもドロリとした、ひしお状のもの。中には大豆、麹はあるものの、面白いなと感じていた切り干し大根が入っていない。ひとすくい食べてみるとやや塩辛くて味噌豆そのものの味わいに麹の風味とほんの微かな甘味、そしてドロリとした食感。覚悟していたほどにはまずくはない。むしろ味噌豆が大好きなので、うまいとさえ思える。これをご飯にかけて食べて「なかなかいけるじゃないか」と思っていると家族は味見程度になめただけで見向きもしない。
 どうもこれは大人の男、すなわちオヤジにしかわからうまさであるようだ。ここに切り干し大根が入っていたらもっと良かったんではないだろうか。

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 さて、市原で手に入れた「とうぞ」であるがどうも千葉県山間部、内陸部にはてんてんと存在し、昔から造られていたようだ。そして本来は味噌造りの副産物といったもの。味噌豆をゆで上げるときの「ゆで汁」まで利用するとは千葉県人は賢い。

赤石味噌麹店 千葉県市原市南岩崎32

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