北浦和「小島飯店」の麻婆豆腐定食

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 埼玉県浦和といえば「さいたま市」になる前から得体のしれない街であると思っていた。時刻表や路全図を見るのが好きなのだが浦和だけは見ないことにしている。京浜東北線を山手線から外れて北上する。そこに登場するのが南浦和。そして路線図を見ると東西南北の「浦和」があって「中」があり、「武蔵」もある。そしてとどめがただ単に「浦和」である。これなどあっさりしすぎて立ち食いそばで「かけ」を注文するがごとくだ。訪れるよそ者には「浦和浦和浦和」で鬱陶しい、暑苦しい、としか言いようがない。この「浦和」の駅名を考えたヤツは明らかにバカだ。
 何気なく恋人同志が「浦和でデートしようね」と約束したら100年経っても会えやしない。さいたま市は間違いなく少子化を助長している。だいたい浦和を代表する繁華街、古い街並みってあるんだろうか? 例えば「●●街でお買い物しよう」なんて若い姉ちゃんが定番とするオヤジが大嫌いな場所や、黄昏時になぜか色彩をおびてくるオヤジ街、オバチャン軍団が塩大福を買いに並ぶ和菓子屋。これなど街を歩く基礎知識なのだ。
 さて肝心のうまい街の中華料理屋があった話を始めなくてはいけない。さて結局降りたのは「北浦和駅」。アルバイトでなんどか「浦和市内」を歩いているはずなのだが、まったく記憶にないのでこれが「初浦和」。ここに来た理由は抜かすとして、30分くらい駅周辺を無駄歩きした。残念ながら休日でほとんどの商店はしまり、また開いている店もなんら面白みを感じなかった。なんとなく入ったスーパーに地納豆も豆腐もなく、伊勢丹があって埼玉の地酒でもあったらいいなと思ったら今時のバカな日本酒マニアが選ぶような面白みに欠ける全国の銘酒ばかりが並ぶ。「日本酒というのは味にこだわってばかりいたらダメなんだよ、愚か者め」。ちょっとは埼玉の酒を置いたらどうなんだ。腹が立つと腹が減る。これは一種の反作用、条件反射とでも言えそうである。そんなとき目の前にあったのが「小島飯店」なのである。
 どうしてこの店に入ったかと言うと自家製の肉まん、餃子を店頭で売っている。それがなんだかうまそうだなと近寄ると、とたんに中華のいい香りが鼻に直撃。ここまで来れば入るしかないだろう。店の厨房が左手でその前がカウンター、そして左手にテーブルがある。品書きが並んでそこに「一人客はカウンターに座れ」と書いてあるのに少々むっとするが、店員さんはとても感じがいい。レバニラ炒めが食べたかったのだが「レバ野菜」しかない(後で品書きをひっくり返すとちゃんとあった)。そして最近「麻婆豆腐」を食べていないなと思い至ってお願いする。
 少々間があって出てきたのがかなりダサイ代物である。どうして麻婆豆腐の上に貝割れ菜がのっているんだと一瞬憤慨する。まさかと思うが「麻婆豆腐だけじゃビタミンが足りないわ」なんて親切心なのだろうか。そしてトロリとかかった地にくるりと巻きあがった白い物体があるのだ。どうもこれは鶏の皮を香ばしく炒めたものらしい。あとは大盛りと間違えそうなご飯、みそ汁、白菜の漬け物。みそ汁なのが「飯屋風」でいい。
 邪魔な貝割れ菜を脇にどけてレンゲでひとすくい。熱いのを我慢して食べてみる。これが巷の麻婆豆腐とはひと味違うものなのだがとてもうまい。クルクルまいた白い物体が香ばしい、そして山椒風味のぴりっと辛い味付け、そこにモツをを煮込んだときのような風味と旨味が残る。貝割れ菜があまりにも邪魔なのでさっさと片づけて、あっとは一気に食って、最後はご飯をどろどろにして平らげる。
 食っている最中に目の前を焼き上がった餃子が置かれてはテーブル席に運ばれていく。これが気になったのでお土産用の餃子を3パック、そして麻婆豆腐の支払までして1800円弱であった。定食は700円くらいだろうか? 数字に極めて無頓着なので私風に書くと「安くてうまい店」であったと明記したい。
 追記。帰り着いて夕食に焼いた餃子もとてもうまかった。そしてこんな街の中華料理店が残っているのに対して「浦和は少し偉い」と思うのだ。

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小島飯店 埼玉県さいたま市浦和区北浦和3-8-11


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このページは、管理人が2006年9月22日 10:07に書いたブログ記事です。

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