定期的に催す「築地土曜会」。場内巡りはともかく、その後、もっとも活躍するのが、つきじろうさん。その驚異的な“築地うまいもの知識”で徐々にボクから人気を奪っていくのがわかる(もともと人気なんてない)。そのつきじろうさんの名を動詞的に今回「つきじろうする」というのを作ってみた。
定義はとにかく朝昼晩複数回食べること。
例えば朝食を2回、3回、4回、5回。たぶん6回まで食べると「つきじろう級」であって、それは九尾のキツネとか、柔道十一段とか儒教の世界で聖人とかいう到達できない領域。と言うことでせめてボクが「つきじろうする」のは朝ご飯を2回、もしくは朝4時起きなので3回食べるということ。
この朝(12月8日)ボクは、場内関連棟のあまりの混雑にドトールコーヒー(生まれて初めて入った)でカプチーノ一杯しか口にしていない。それから場内を回り、11時過ぎに「たけの」で宴会。この時点で刺身、煮魚、天ぷら、ポテトサラダを食べたが、炭水化物は皆無。
それで可愛い女性もいることだし、「お茶しよう(この言葉古いのかな。オヤジはこんなことが気に掛かる)」となった。このときボクは純粋にコーヒーでも、という気であったのだが、つきじろうさんが案内してくれたのは、そんな軽い店ではない。
築地場内というと鮮魚乾物お茶、河岸玉子(卵焼き)、調理器具など古くからの店があり、最近やたらに増殖してきたのが「築地」を冠したくて出店してきた新興組。ひょっとしたら、そんなニューブランドに行くのかな? と思っていたら、場外の中心部。乾物屋、珍味屋などが密集するもっとも火災震災に弱いあたりを目差す。そこで鮟鱇さん馴染みの乾物屋『寿屋商店』を覗き、その前の階段をトントンとあがる。(注/鮟鱇さんが市場上級者である証拠が、この乾物屋に馴染んでいるのをみてわかる。恐るべし)
そして辿り着いたのが、見事に「1970年代風」の喫茶店である。店の名前が「4SEASON」というのはなんと直球であることか? この店名自体にも70年代風が見て取れる。
考えてみると万博のあった頃からの10年間はまだ生き方、暮らし型に真面目さがにじみ出ていた。
店内に入ると、そこは場外の騒々しさからは別世界、ゆったりとした空間が広がっていた。ここでますます、つきじろう凄いと恐れおののくのだ。いつの間にか合流していた尻高鰤さんも加わって席に着く。(注/「いつの間にか」という言葉は尻高鰤さんのためにある。例えば可愛らしい女性が参加したり、一緒に飲むという機会があると、尻高鰤さんは「いつの間にか」そこにいる。そして可愛い女性の隣に座り、ボクを尻目に楽しそうに会話していたりする。悔しいなー)
ボクは最初から「つきじろうする」つもりだったので、つきじろうさんに品書きの説明を受ける。お勧めはカレースパ、「私は焼きスパにします」と言う。
ええ? カレーとスパゲッティは合わないだろう。このあたりがボクが凡人たる所以である。それでボクが焼きスパ、つきじろうさんがカレースパとなる。
「そうですか、初めてならカレースパの方がいいんですけど」
そんなやりとりとは関係なく尻高鰤さんは気取ったマフラーを巻き、やや座席に斜めがけ、固形物には目もくれず、スーパードライを飲んでいる。まあおつまみに来たピーナッツを分けてくれたから赦せるけど、なんだかカッコつけで嫌だなー。その上、古草さんやキヌバリさん(勝手に名前つけてご免なさい)とも盛んに会話が弾んでいる。
ちょっとこの場面では影が薄いのだけど、鮟鱇さんは明らかに呆れていたはずだ。
ほどなくカレースパがやってきた。この「ほどなく」というのが優れた喫茶店の証拠。店の定番メニューで長々待たせるのは最低の店だ。
まさにそれはカレースパである。やや固ゆでらしいスパゲティに、ややチョコレート色めいたルーがかかる。そこまではいいのだけど、その頂点にボクの琴線を揺さぶるものが乗っているのだ。それはゆで卵。自慢じゃないけど、オムライスだって、カレーだって、お弁当だって、そばだって、なんでも、なんでもいいのだけど、ゆで卵があると思わず、「ヘニョー」といかれてしまうのだ。まさかゆで卵くれ、とは言えず、よこからちょっと試食。「これはうまい!」、うまいねー。カレーとスパゲッティというわかりやすい組み合わせだが両者の混在具合が見事。それになにより、この店のカレーがいいのだ。
横から見るとゆがんだホームベースにしか見えない、つきじろうさんの顔が神々しく見えてきた。それに、この人、食べ物を“食べる”、“取り分ける”ときの動作が上品である。
「どうですか、うまいでしょう?」
そのオバサンとオジサンを足して半分に割ったような声も、確かに説得力があって、この人にならついていけそうだ、と思わせる魔力がある。
やがて来た焼きスパは、細麺固ゆでのスパゲティを焼きそば風にしたもの。これもうまいことはうまいが、カレースパの方が上だ。
ここまできて考えた。ひょっとすると、つきじろうさんは、店の品書き総てを食べているのではないか? 間違いなくそうに違いない。ボクのように30年通った天丼屋で並以外食べていない、というぐうたらな性格からすると「つきじろうする」ことの偉大さが見えてきた。
つきじろうの「春は築地で朝ごはん」
http://tsukijigo.cocolog-nifty.com/blog/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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茨城県土浦市『ほたて』のてんぷら定食とあら汁、そしておじいさんの絵
今朝、フォーシーズンでカレースパを食べてきました。
スパイスがスレートに効いているのが印象的でした。
勿論、それだけの薄っぺらい味ではなく、何やら隠して
いるようですが・・・
一緒に行った田向さんはコーヒーのみ。
なんか、ものすごくひどいことをものすごく遠慮なく
書かれているような気がするんですけど〜。
この記事で唯一、正確なのは「可愛い女性もいることだし」
という一言だけ・・・ということにしておきましょうか、ハイ。
それから、ゆでたまごとポテトサラダが欲しいときは
素直に言って下さい!!
先日はありがとうございました。
キヌバリなんてステキな名前ありがとうございます。
チャガラじゃなくてよかったです・・・・笑
カレースパ、焼きスパ、本当においしかった。
カレースパは挑戦してみようとおもっとります♪
あ、ボケた。
挑戦って、自分で作ってみようって魂胆です。
つきじろうさん、ボクは思ったことをそのまま書く人ですね。もうしわけない。でも「つきじろうする」は面白いですね。その内、平日に築地にいくこともありますので、アドバイスしてください。
それと鮟鱇さん、“田向”さんって?
最後にキヌバリさん、あなたも古草さんも魅力的ですよ。
カレースパを作るなら細めのスパに、問題はカレールーですね。
完全に寝不足の、ぼうずコンニャクでした。