駅弁はあんまり好きじゃない。
例えば一人旅で新幹線に乗る。
見知らぬ人が隣に座ると、なんとなく弁当なんて食べる気にならなくなる。
だから鉄道を利用するときには「立ち食いそば、うどん」をもっぱら食べる。
でも売っている駅弁を見るのは好きだし、たまにお土産に買う。
今回は東京駅から名古屋までの新幹線。
絶対に駅弁を買い求める状況ではない。
でも新幹線の改札口を出て、すぐのところに面白い駅弁を見つけて、ついつい魔が差したように買い求めた。
なんとも贅沢な900円なりだ。
その駅弁名は「品川名物 貝づくし」というもの。
品川と貝というのは現代ではとんと結びつかない。
戦前ならば、可能性はあるが、しかしそのときですら有名な産地でもない。
とにかく「品川=貝」というのは解せないな。
例えば明治期、大正期、たぶん戦前くらいまで(人によっては高度成長期以前)、とくに江戸時代、品川はカニや貝などで有名であったことがある。
潮干狩りの図というか浮世絵などもあったはず。
残念ながら今では見る影もない。
ちなみに現在でも京浜運河などではアサリ、ホンビノスなどの貝はとれる。
とれるけど、この水質をみるにとても食べる気にはなれない。
じゃあジェイアール東海パセッンジャーズという会社はどうやって、もっともらしく「品川名物 貝づくし」なんて名の弁当を作ったのか?
それが知りたくてわざわざ買い求めたのだ。
「ハマグリ、イタヤガイ、シジミ、アサリ」
裏面の原材料にある貝の種類はこれだけ。
4種で標準和名での記載はアサリだけ。
あとは種はわからない。
包みをあけて、まずは貝を調べてみる。
まず間違いなくイタヤガイは輸入品である。
たぶんアメリカイタヤかシナイタヤ。
ハマグリも輸入品としか思えない。
たぶんミスハマグリ(ベトナム産)、もしくはシナハマグリ(中国産)。
アサリとシジミも怪しい怪しい。
中身で見る限り「品川」なんてどこにもない。
このようになんでも地名をかませればいいというのは「変」じゃないだろうか?
法律にはふれないけど「だまし」に近い。
こんなことが許されるのも水産物の標準和名や輸入国、養殖、天然の表示義務が加工品にはないからだ。
そこをジェイアール東海パセッンジャーズという会社は利用しているように思える。
さて食べてみると、なかなかおいしい。
けっして出色のうまさではないが、1000円前後の弁当では合格点すれすれだろう。
弁当を作る会社に求めたいのは、もっと原材料に対する表示をしっかりやること。
弁当名をつけるとき、最低限の誠実さを持ってつけることだな。
ジェイアール東海パセッンジャーズはこの弁当に関する限り、ダメじゃないかな?
ジェイアール東海パセッンジャーズ
http://www.jr-cp.co.jp/
http://www.jr-cp.co.jp/products/index.php
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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築地場外『きつねや』の肉豆腐
たしかに、きちんと表示して欲しいという思いと、外食産業で正確に表示されると、あまりに外国産が多くて買うのを躊躇してしまう気がします。
しかし、あまり海外にもいきませんが、同じ人間として外人さんはその国のものを食べているわけですし…
矛盾することが多いです。
おいしかったというところで、食べてみたいなぁという気持ちが一番素直なところです。
そうですね。
外食産業の努力も認めたい。
でもなぜ「品川」なのか。東京駅で売っているのかを問いたい。
これならせめて三番瀬のアサリを加えるとか、船橋のホンビノスを加えるのとか、木更津とかのシオフキ、海苔とかを加えて欲しいな。
世の中「嘘」はダメだと言うことですね。