「きのこそば」はじめました

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湯気で曇ってしまったが、この日は8種類のキノコが使われている

 世の中には困った夫婦がいて、その最たるものが八王子総合卸売センター『さくら』にいる。
 普通、夫婦ふたりいたら、どちらかが軌条を外しがちで、どちらかが修正するのが当たり前。

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 でもこの夫婦だけは違っている。
 外したら、より大きくそれようと努力する。
 普通、中華そばなどを出す、中華料理屋といったら保守的なものだ。
 数十年相も変わらぬ、まことにガンコで一徹なもの。
 そこになにも発展はなく、当然、新しい魅力を生み出す可能性は皆無だろう。

 さて、この『さくら』には、その夫婦の努力の甲斐あって、まことに美味な物が目白押しだ。
 “ざる中華”、“とろみそば”、“味噌たんめん”、“さくらそば”、そしてレバニラ炒めなどもほんまに独特でうまい。

 そんな夫婦がこっそり賄いとして食べていたのが、「きのこそば」なのである。
 だいたいお客よりもうまいものを賄いで食べるというのが、料理人のやりがちなことなのだが、やはりやはり、今回もそれなのだ。
 その賄いを食べてビックリ、ちょっと怒りを感じて、
「これは夫婦だけで食べてはイカン、イカン(笠智衆風に読んでくれ)」
 それで店のメニューとあいなった。

 この“きのこそば”がうますぎる。
 先週の土日のこと。
 仲のいい夫婦が方や“ざる中華”、方や“きのこそば”を注文した。
 夫の“きのこそば”が先に来て、
「おい、ちょっと食べていいよ」
 それで妻の方が少し食べてみて、丼を手放せなくなった。
「あんたザルを食べてよ」
 なんて結局、夫婦分かれしそうなケンカを始める始末。
 そのときのケンカの後は壁に小さく血痕がのこっていて、今でもまざまざしい。

 明らかにメタボリックなマサさんも犠牲者のひとりだ。
 いっぱい食べても、もの足りなかったので2杯も食べた。
「これじゃ痩せないな」
 当たり前だ。

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まささんの横向きのショットはちょっと危険な雰囲気がするぞ

 ボクだって一日、いっぱいで我慢しているのだ。
「いっぱいで我慢しろー」

 しかし、まことに『さくら』夫婦は人騒がせな人類なのだ。
 あ、いかん、“きのこそば”の実態を説明していなかった。
 手打ち太麺に鶏ガラスープ、カツオ節だしのベース。
 ここにキノコたっぷり、野菜たっぷりの醤油味のあんがのるのだ。
 中華料理の店で、あまり季節を感じることもないと思うが、秋をたっぷり堪能できる。
 だめだ、解説していると食べた記憶が蘇る。
 また今日も食べてしまいそうだ。

八王子の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
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このページは、管理人が2008年9月25日 07:54に書いたブログ記事です。

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