八王子総合卸売協同組合の丸秘うまいものの決定版かも知れないのが『コリアンフーズ』のビビンバである。これはナムルを作りあまったら朝ご飯用に作るもの。当然まかないである。
コリアンフーズの前には多摩地区一安い肉屋が並ぶ。当然、土曜日のは混雑するのだ。
コリアンフーズが出来たのはそれほど古いことではない。まだ5,6年といったところだろう。キムチや韓国食材を売る店であったのだが最初は手探り、試行錯誤の繰り返しであったようだ。在日韓国人の朴さんにとっても、だんなさんの成さんにとってもテレビなどでたびたび取り上げられる激安市場、八王子総合卸売協同組合での生き残りは大変だったのだ。
そのキムチの味わいは年々他を圧倒するものとなっているし、イカの塩辛や、焼き肉のタレなどは八王子のでも人知れずファンを増やしている。
と、こんなことを書いてきて、さてボクにとってはこの店で最大のお気に入りなのはなんだろう? と考えると、なぜかキムチでもカクテキでもなく、焼き肉のタレでもない。ましてやナムルでもない。
それは朴さん夫婦の食べる朝ご飯なのだ。これは石の鍋は使わないものの韓国の家庭の味であるビビンバ。これが朝食としては絶品なのだ。
うまいビビンバの作り方の秘訣はとりあえずゴマ油はたっぷり。これでご飯をお焦げにする。
材料のナムル、コチジャン、ゴマ油は自家製のものだが、ご飯はあの「サトウのご飯」。これは市場でも小さな区画であるコリアンフーズでは致し方ないもの。たぶん韓国でも家庭料理としてのビビンバはこんなものだろうのが身近な八王子で食べられるということである。こんなざっかけないものなのに、まさにこのビビンバが絶品というかうまいのだ。
お腹空いたなと「コリアンフーズ」でのたまえば奥さんの朴さんが「サトウのご飯」を買いに走る。そしてガスコンロにいきなりたっぷりのゴマ油。煙が立つほどに脂が暖まったらご飯を入れる。そこにナムル。今回のはもやし、ニラ、ゼンマイなのだが、これをご飯にのせて、そのままふたをする。ジュージュー言うのを知らんぷり。そのままふたをして焼き、香りが立ってきたらお焦げをひっくり返す。ここに大量のコチジャン。これを混ぜ合わせ、またフタをする。そして香ばしくなったら出来上がり。仕上がりに胡麻をふる。
出来上がりはそれほどうまそうには思えない。でもこれがやめられない味わいなのだ。
冷えたコーン茶とぴりっと辛いビビンバ。夏に疲れ果てたボクにはかけがえのない覚醒効果のある食べ物だ。
八王子の市場にことなら
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