かれこれ30年以上前になるが、東京に出てきて初めて立ち食いそばを食べたのは渋谷の井の頭線下(このあたり昔はパチンコ屋、スタンドカレー、立ち食いそばなどがあって汚いけど活気があった)である。このとき食べた天ぷらうどんには驚いた。つゆが真っ黒なのだ。しかも味がまだるっこいというか、しっかりしない。このまだるっこいつゆの味はかつお節やさば節をたっぷり使ってとるからで、関西の昆布を主とする味とは大違いなのだ。その東京風つゆの立ち食いでも、うまいまずいがあるのは当然であるが、そのピンだと思うのが「満松庵」である。
JRお茶の聖橋口を出てすぐ右手にある。聖橋から出て真っ正面にある高いビルはまことに甚だしくお茶の水の景観を台無しにした代物。このような建物を作るヤツは愚か者でしかない。その不愉快な高層ビルから丸善を左に見て右側は中央線線路を真下にした崖っぷちに建っている。ほとんどが二階家。今は一生懸命表面を取り繕いこぎれいな店舗に見せる努力をしているがちょっと引いてみると建物は古く、どこか高度成長期の面影が残る。中にあって、古いまま素顔で出ているのが満松庵である。
間口150センチほど、駅からと道路側から入ることができる。入るとお握りを売る売店。このお握りはあんまりうまくもないのにすぐになくなる。そして左手に二階に上がるがある。その階段のある場所が狭くなりやっと通って、そのいちばん奥に調理場。そしてその前、狭っくるしい場所の両側の壁に棚のような作りつけの奥行きのないテーブルが渡している。
入って左の階段に真下の狭苦しい場所がある。ボクは最近このような薄暗く狭苦しいところにいると落ち着く。当然、4人も入ると奥の厨房にそばを注文するのも受け取るのも困難を極める。またセルフの水、そのコップがワンカップの再利用というのも考えてみるとすごいよな。
そう言えば若い頃、飾らない性格の女の子とつき合っていて、連れて行ったことがあるが、以後一度も会っていない。どうしてだろう。
閑話休題。
ここ「満松庵」の汁は見事に醤油色、しょうゆ味、そして醤油辛い。これなど今時の立ち食いのように中途半端などっちつかずのものが愚かしく思えてくる代物だ。また、この醤油のグルタミンの中に濃厚なイノシンの旨味、そして香からしっかり、さば節を使っているのは明白である。うどん、そばにしても、ほどよい味わいが感じられるもので合格。
東京風立ち食いそばの神髄は「満松庵」ありだと思っているのだがいかがなものか?
東京で初めて食べた「立ち食い」は天ぷらうどん。立ち食い客のほとんどは天ぷらそば、うどんを注文する。満松庵の天ぷらうどんは310円
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
葛飾区立石無駄歩き 02 後の記事 »
中野区新井薬師駅商店街「新井豆腐店」
この「満松庵」。私、昔から大好きでしてねぇ。ちょっとした昼休み、たとえば20分ほどだとしても弁当屋ではなくここに駆け込み、ツルツルっとやってまた帰っていったものでした。ここのつゆは決して上品とはいえませんが、手抜きをしていない。しっかりとした「世界」を持ってるように感じられるのですよ!だからでしょうか、密かなリピーターが多いのは。。潰れて欲しくない立ち食い蕎麦屋さんですね
近くで働く某医師さん、あなたは味覚が優れている。
いまどきの変によくできた店よりも、この店の方がうまい。
これは間違いないことです。
ただ、最近の報道を見ていると、
「お医者さん、お身体を大切に」と申し上げたい。