さて最初に取り上げるのは粉末の調味料というのだろうか、「炒飯(やきめし)の素」。東京都北区の『あみ印食品工業』製。パッケージの投網を投げたようなマークが面白いし、「即席」という文字にも今時情緒を感じる。最近、下町(本来の意味合いではない)に無性に引かれているので「北区」というのもいい。
これを買った八百屋さんに聞くと「もうずいぶん前からあるわね。なかなか人気があって、すぐなくなるのよ」という。
それで今度は市場の食品問屋で「炒飯の素」を探してみる。あったあった。当然、こちらは箱入り。
「ねえ、これって古くからあるものかな」
問屋の最古参のタヌキオヤジに聞いてみる。
「そうだな。オレが仕事始めてから35年だけどそのときからあったな。でもね最近はいろんなところが『炒飯の素』出してるだろ。今、持っていくのは八百屋さんとか肉屋さんが多いね」
また、それを聞いていたやや若い娘、26歳が
「ウチの母親はね。朝からこれで焼きめし。ウチって貧乏だったのかな」
「まあ、そうだろうな」
そんなことはどうでもいいのだけど、聞いてみるとみんなが知っていて、それなりに思い出深いものらしい。これは四国になかったのかな。ちょっと疑問。
使い方は、ご飯を油で炒めて、「炒飯の素」を振り掛けるとあっという間においしい炒飯(やきめし)が出来るという便利なもの。さっそく試してみたら、いい味なんである。当然、ハムや玉ねぎを入れるんだけど、肉っけはなくてもいい。また中華の炒飯のように卵を使ってもうまいのである。
さて、市場のもっとも年期の入ったご婦人に聞くと、
「あんたね。さっきから『チャーハンの素』って言ってるけど、これは『炒飯』と書いて『チャーハン』じゃなく、てー、『やきめし」と読むのよ」
と未確認情報をくれた。それでパッケージを改めて見ると確かに「ヤキメシ」の文字。でも「焼き飯」とはなんであるのか? チャーハンとは別物なのか? ここに新たな疑問が生まれたのだ。
この『あみ印食品』の「炒飯の素」のことで詳しい方、いたら歴史など知りたいものだ。『あみ印食品』のホームページはそっけなくて発売年などがわからない。
炒飯の素 6食分 128円
あみ印食品工業
http://www.amibrand.co.jp/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
築地「ゆで太郎」 後の記事 »
日本橋室町『六文そば』