なんだか丸井が迷路のように感じられる。とにかく出口出口。千代田線から出てきて、いつの間にか丸井に入ってしまっていた。そうして「せっかく北千住まできてどうしてこんなつまらないところにいるんだ」と出口を探すのだ。
どうにかこうにか飛び出して、たどり着いたのが旧日光街道、そして大衆酒場の『大はし』である。何度か来て、そのたびに店が開いていない。これで3度目、やっと入店できた。ここで楽しい時間を過ごして、少し周辺を歩く。
懐かしい日本建築の洋品店、また今回初めて鼈甲店があるのを発見。『星子』という店だが、これは星子さんという女性が経営しているのだろうか、もしくは苗字かな? そして第二の目的『槍かけだんご かどや』はやっぱり夕方のせいだろう閉店している。
そのまま路地に迷い込む。と、途端に苦手な犬に出くわす。「ジョン大人しくするんだ」と言って災難を回避する。このワンワン、面白いことに玄関につながれていて、引き戸の奥にエサ入れが見える。
逢魔が時、ふと見上げると梅雨の分厚い雲が切れて青空が見えている。ふと風を感じて目線を落とすと黄色い帽子の子供が素早く駆け抜ける。あまりの素早さに妖気さえ感じるのだが気のせいだろう。
米屋の角を曲がろうとして、店内をのぞくとぬいぐるみがいっぱい置かれている。その上、店の前の自動販売機にまで無数のぬいぐるみ。米の袋以外にも洗剤やラップもあって、考えてみると多摩地区ではこの手の店が絶滅状態にある。そして私好みのあきたこまちのお姉さん。
路地を進んで白いクルマの上に白黒の猫がいる。ボクのことが気になっているのは耳の動きでわかる。「ちょっと顔こっちに向けろよ」とカメラを向けるが「知らんぷり」している振りをしている。それを見ていた近所のオバサンが、「この猫、カメラに写るの好きなのよ」だって、そんなバカな。
そして四つ角に来て、ここにあるのが『増英かまぼこ店』。店の脇でおでんを売っていて、近所のオバサンや子供がよく立ち食いしている。それで「おでんありませんか」と問うと
「夕方にはいつも売り切れるんだよ」
残念なので薩摩揚げを買う。その先に生花店、そして廃屋とも言えそうな建物、「ユニークな店」のカンバン。その先をか細い老人が足を引きずりながら右に曲がり消える。そんな情景を撮影していてまた『増英かまぼこ店』を振り返ると確かに「おでんおわり」という木の札があり、「まいどありがとう」「またあした」と頭を下げているのが埴輪なのだ。
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飲み屋めぐりのついでに北千住を無駄歩き その2