宮城県白石市といえば伊達政宗の股肱の家臣片倉小十郎景綱の城下町として有名なところ。伊達政宗といえば必ず登場するのが片倉景綱なので、どうしてもその印象が強い。そしてここに「温かい麺」とかいて「うーめん」と呼ぶ短い乾麺がある。素麺の産地が近く、ほとんど欠かしたことのない生活を送っている。そのせいかこの温麺を食べたことはほとんどなかった。それを市場で見つけて比較的手頃な値段であったので買ってきてみた。
そこで「温麺」の基礎知識。素麺や稲庭うどんなどは生地を作り、それを手で伸ばしていく。これが手延べなのであるが、このときに食用油を使うのだ。それがために伸ばした麺が互いにくっつかない。それを温麺では使っていないのだ。当然、長く伸ばすのは難しいわけで、この長さになっているようだ。
油を使っていないので3分前後茹でて、素麺のようになんども手でもみ洗いしなくてもよい。また、この温麺は冷やして食べるよりも暖かな汁にして食べた方がうまいのだが、これはどうも温麺に素麺ほどの腰がないためであるようだ。
この温麺の暖かな汁は確かに穏やかにうまい。残念ながら冷やして食べるには素麺に一歩も二歩も譲るが、この暖かな汁は冬の夜などにうってつけだろう。
2006年8月20日アーカイブ
これはソバの実を脱穀してかなり長時間茹でて、そして天日乾燥したもの。徳島では「そばごめ」、長野では「そばまい」と言う。これは製粉以前のそばの古い形の食べ方。徳島ではこれを下ゆでして酒塩味で根菜類などと澄まし仕立てにする。ボクが子供の時から食べてきた「そば米雑炊」である。
使い方は簡単
1/やや多めのお湯で10前後茹でる。
2/ゆでたものを水洗いして、水切り。
3/別にかつお節だしか煮干し出しで温めると出来上がり。
かつお節出しは水に昆布を漬け置き、火をつける沸き上がってきたら昆布を取りだし、鰹削り節を入れて漉したもの。これに塩酒で味つけ。下ゆでしたゴボウ、ニンジン、油揚げ、そして「そば米」を入れて一煮立ちさせる。野菜は他に三つ葉、レンコン、ジャガイモなどを使ってもいい。また鶏肉などを入れても当たり前だがうまい。
徳島の山岳部ではもっとも日常的な食べ物。「そば米雑炊」を食べると間違いなく懐かしさがこみ上げてくる。
●徳島県では米屋などで普通に売っている
倉科製粉 長野県大町市大国町2248
http://www.sobakoya.com/
沼津生まれ、沼津育ちの飯塚さんは「沼津の味の案内人」のひとり。その飯塚さんお勧めの店が今回の「多津家」なのだ。
沼津魚市場と道一つ隔てたところには問屋さん、市場の事務所、そして無数の魚屋、乾物屋、肉屋が密集している。そこは観光客が押し寄せる寿司屋、飲食店も多いのだが、地元の人や市場関係者しか行かない穴場的な店も当然だがあるのだ。その一軒が中華の「多津家」である。非常に細い路地の奥にあり、とても観光客では見つけられないだろう。ただ、市場周辺を歩いている地元の方に聞くと間違いなく教えてくれる店。
薄暗い路地を入ってたどり着く「多津家」はいたって普通の中華料理店である。そこでは市場関係者が炒飯や野菜炒めなどで新聞を読みながら朝飯を食べている。市場に隣接するので焼き魚などがあるのがこの店の特徴かも知れない。
この店で飯塚さんおすすめなのが「半ちゃんラーメン」である。これは神保町の「伊狭」、「ラーメンさぶちゃん」でもお馴染みのもの。そして出てきたものがラーメンが「伊狭」の味に似ているのだ。飯塚さんは学生時代をお茶の水で送っている。てっきり、この味わいに「伊狭」でも思い出しているのかと思ったら、「半ちゃんラーメン」は「多津家」で初めて食べたのだという。
典型的なしょうゆラーメンが「チャーシュー、メンマ、なると」の具が揃うことであるとしたら、それに近いもの。「なると」が珍しいことに「赤い蒲鉾」に取って代わっている。でもスープは鶏ガラに少々煮干しか、海産物の旨味が加わっているものでまさに浅草「来々軒」や初期のラーメンと同様のもの。まあ、取り立ててうまくもないが、この平凡さゆえに「また食べたくなる」というのも神保町「伊狭」と似ている。
飯塚さんの海の世界
http://www.numazu.to/sea/
八王子綜合卸売センター「大商ミート」は豚肉の専門店である。鶏肉も牛肉もあるにはあるが、なんといってもケースの中は豚だらけ。ロース、肩ロース、すね肉にバラ肉、そして豚トロホホ肉。超お買い得な豚こままで目移りすること必至である。今回は久しぶりに「豚の頬肉」である「豚トロホホ肉」を買うことにした。頬とはいうがどうも豚の頭部の側面についている肉であるという。
そんな店頭での店長との会話。
「これ(豚トロホホ肉)いつぐらいから売り出したのかな」
「そうだね。ちょっと前までは、これを小さく切って豚こまに混ぜてたのよね。豚肉屋はこれが売れるようになって助かったの」
「でも、これが豚こまに入っていたなんて、昔のこまの方がうまかったわけだね」
「そうかな。豚こまは買い時はあるよな。いろんな部分が入るから」
こんな立ち話をして、その「豚トロホホ肉」を買って帰って、ちょうどその夜、テレビ東京の「アドマチック天国」という番組を見ていたら「ブタトロ」という名で旭川の焼き肉屋が登場していた。なんと豚の頬から後ろにかけての肉を「ブタトロ」として使い始めたのは5,6年前のことなのである。
その「豚トロホホ肉」はあまり手を加えないで塩コショウで焼いて食べるのがいちばん。出来る限り焼きたてを、間髪入れずに食べる。当然、焼き方であるお父さんは、余れば食べられるが、ときとして一切れも食べられないときもある。
我が家で食べる豚肉のほとんどは「大商ミート」のもの。その入荷の状況によって店長が勝手にあれこれ考えてくれて、それを素直にもって帰るのだ。どうも肉屋とじっくりつき合って、言われるままに購入するのがもっとも賢い買い方であるのがわかってきた。
「今日は肩ロースにしな」とか「ロースこの辺切ってあげようか」と声をかけられたときの豚肉の軟らかくて芳醇なうまさは例えようもない。しかも「大商ミート」の豚肉は激安なのである。
八王子の市場のことはこちらから
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html