神保町すずらん通り「ス井ート ポーヅ」の餃子中皿定食

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 この店には学生の時にはあまり縁がなく初めてはいったのは大学卒業を前にした頃である。それでも25年以上前になる。お茶の水・神保町で昼ご飯を食べるというと店は決まっていて、その基準はただただ値段であった。
 お茶の水駅から駿河台を下ってきて明大を通り過ぎて斜め右手の通りにはいる。そして住友銀行をすぎて靖国通りを渡ると神保町の古本屋街となる。この横断歩道を渡ったところに画材屋がありとても目を引く人物像が飾ってあった。そのバストアップの絵が今では思い出せない。そこからすずらん通りに抜けるのだが、三省堂は当時は確か3階建ての古めかしい建物で中にはいると迷路のようであった。

 そのすずらん通りに「ス井ート ポーヅ」が開店したのはいつの頃なのだろう。神保町界隈で生まれた友に聞くと「戦前、中国から引き上げてきて、たぶん戦後すぐからここにあったんじゃないかな」と言う。昭和30年代くらいまでは白山通りを隔てた、さくら通りには東洋キネマがあり(この建物はバブル期までは確かに残っていたのだ)、今で言うところの新宿のような賑わいが神保町界隈にあったようだ。そこに満州から引き上げてきて餃子(ポーヅ)の店を開店した。これも調べてみると面白そうだ。

 1970年代後半、すずらん通りに出ると、そこはまさに古色をおびた古本屋、楽器店、画材屋、紙屋などが並んでいた。そこを白山通りに向かい左手にひっそりとあるのが「ス井ート ポーヅ」なのだ。記憶からしても店はまったく当時と変わらない。でも昔はサッシではなく、木のガラス扉だったろうか。
 ここでは苦い経験がある。友人に「ここは神保町でも有名な店だから卒業前に入ろうよ」と誘われた。そして優柔不断に注文して出てきたのが今で言う「餃子定食」。それはなかなかうまいものではあったが、値段が貧乏極まりない卒業前の身には応えたのだ。
 それが仕事で神保町に通うようになると、年に4,5回は食べに行くようになる。ここには餃子小皿8個483円(税込みだから細かい)、中皿12個724円、大皿16個966円というのがあり大方の客はこれを定食にするかビールを飲む。ほかに水餃子10個840円、店の由来になった天津包子5個787円もある。残念ながらここで注文するのはいつも中皿定食ばかり。これで1007円だから今でも決して安くない。
 さて、この店の餃子の形は変わっている。見たところ春巻きの巻きの不完全なもの、その底が平たく焦げ目がついている。といった風情。でもこの皮の味わいは明らかに小麦粉の甘味を感じるもので、うまいのか、うまくないのか、いつも答えが出ない。そして具は白菜なのだろうか豚の挽肉に混ぜ込んであり、ほんの少しだけニラが入っている。これを醤油と酢、そして練り辛子をつけて食べる。ボクとしてはなんだかもの足りない味わいなのだが、店はいつも満席に近く、我が神保町仲間にも通う人多しなのだ。
 ここに赤みそ仕立てのワカメにみそ汁、ご飯、キャベツの細かく切った漬け物がつく。このみそ汁も漬物もぜんぜんうまいものではなく、次回からは定食ではなく餃子ライスでいいのではと思いながら、また忘れて定食を注文しそうだ。

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ス井ート ポーヅ 千代田区神田神保町1の13


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このページは、管理人が2006年8月 7日 11:41に書いたブログ記事です。

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