東名を西に走らせて、沼津にはなんども足を運んでいる。その沼津のほぼ隣町が三島市なのであるが一度も立ち寄っていない。この隣町に行ってみたいと思ったのは井上靖の「夏草冬濤」の洪作少年が沼津の中学に通うべく暮らした街であるし、また修善寺まで走る「伊豆箱根鉄道」の起点でもある。すなわち伊豆の玄関口は東伊豆が険しい山岳地帯が海になだれ込みふさがれていて、明らかに半島の西にあるのであって、陸路でのものが三島、海なら沼津なのだ。たぶん殷賑を極めたであろう三島の街をただただなんにも考えないで無駄歩きをする。
それでもあまりにも行き当たりばったりでは時間が幾らあっても足りない。少々調べてみようとして思い浮かべたのが三嶋大社、「のーえ節」など。でもこんなものに興味はない。また魚にミシマオコゼというのがいて、これが「三島おこぜ」なのかという渋沢栄一の文章は有名だが、街自体とは関連が薄い。あとは唐津焼きの「三嶋手」といわれるものは器の表面に細かい文様が彫り込まれていて、これが「三嶋暦」に似ているための呼び名。でもこれも街とはなんら関連がないのであるなあ。
仕方なく街歩きの前に市役所に立ち寄る。ところがここにはなんの情報もないのだ。地図と言えば明らかに観光的なもの。街を訪れる人間に用意されている地域の情報と言ったら観光的なものだけでいい、というのが日本の地方公共団体の考えた方なのはもう散々思い知らされているが、ここ三島などその最たるもの。市内の街並みにどんな特徴があるのか「色町」なのか「庶民のマーケット」であるのか、はたまた老舗の多い古くからの繁華街なのか、無駄なモニュメントや建物を立てるくらいなら街の詳しい地図を作って欲しいものだ。また市役所職員でもっと地域に詳しいヤツはおらんのだろうか?
と、ここまで書いてきて思ったことは「町歩き」「街歩き」が趣味だという人は少ないのだろうな、ということ。「三島に来たら三嶋大社」で、街にはなんの興味もないという大バカ野郎たち。また「街に残る古い店や、昭和の名残など、まったく無駄だ」と考えて排除したいヤカラも多すぎるのだろう。だから長崎新幹線(これを作りたいと思う奴らは人にも自然にも優しくないバカ野郎だ)などの街殺しの大型公共事業を愚かにも考えてしまうのだろう。
いかん閑話休題。
ともかく何も考えないで三島の街を「青い稲妻号」で無駄走りするのだ。
三島市役所は簡素で無駄使いをしていないもの。これはともかくも市として合格
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