夕暮れ迫る南千住というのは歴史を知る人なら鬼気迫る思いになるのではないか? なぜなら江戸城にとってここは鬼門。かの小塚原の刑場のあったところ。三ノ輪から南千住へ向かうということはすなわち刑場に向かうということなのだ。ちなみに「小塚原」というのは「骨が原」のことなのである。この仲通を抜けると、その小塚原にちなむ「コツ通」そして回向院に出る。
さて荒川線三ノ輪橋、すなわち終点で降りて、日光街道を超える。ここにいかにも繁盛していそうな焼きトン屋があって後ろ髪を引かれながら仲通を歩く。少々、時間がおそくて大方の商店は閉まっている。そんなときに右手に「酒処 居酒屋」と書かれた暖簾が下がり、引き戸を千鳥足のオヤジさんがガラッと開けて、「おっ」と声をかけると「遅かったな」と中から声がかかる。ついついつられて一緒に入ってしまいたくなる。
もんじゃ焼き、スナック、針灸マッサージ、その上に群青の夜空。ふと路地をのぞくと古めかしい酒屋がある。ここで見つけたのが蜂ブドー酒、デンキブラン、亀甲宮焼酎、ユニオンソースもあるのだ。この「ひこ屋酒店」、その昔は大きな倉庫をもって繁盛していたそうである。それを語るオバサンの懐かしそうな顔つき。
また仲通にもどると魚屋、和菓子店があるが閉店間際。結局、「ひこ屋」で亀甲宮、ユニオンソースを買っただけ、いつの間にか「コツ通」まで来てしまった。
通りを超えると常磐線南千住。そのまま無駄歩きをお仕舞いにするつもりがガード下で遭難。クルクルと景色が回るのをぐっと堪えて帰路につくのだ。後は記憶がない。
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静岡県三島での無駄歩き01