2006年9月20日アーカイブ

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 今、ボクが致し方なく家族と離れて暮らすことになる。たった一人っきり、じゃあどこに住みたいかというと南千住都電荒川線三ノ輪橋近辺もそのひとつなのである。ここで寂しく悲しい時を送りたい、しみじみ人生を嘆きたい。そして、ボクと同じように寂しい美しい人がいる、なんてことはないだろうが、とにかく一人暮らしするなら南千住がいちばんいい。

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 ボクの三ノ輪無駄歩きは荒川線荒川一中前から始まる。ここから北に向かって1本目の通りに東京でももっとも賑やかで魅力的な商店街があるのだ。この商店街、今の名前を「ジョイフル三ノ輪」と言う。でも川本三郎さんの本を読んでいるとその昔は「南千住銀座」と呼ばれていたらしい。ボクとしては昔の名前の方が断然いいと思う。

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 さて、商店街を西から東に向かう。すぐの所に薬屋がある。ボクは子供の頃から薬屋をのぞくのが大好きだった。白衣、薬を調合するガラス張りの部屋。そのまま進んで左右にシャッターが目立つのは時刻が遅いせいである。
 左手にみそ屋、その先にしまっているが「専門の店 わたなべ 洋傘・ショール・スカーフ」という古びたカンバンがある。右手に惣菜を売る「大津屋」で煮物が専門であるようだ。

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 餃子屋、和菓子の「相州屋」。また惣菜の店があり、ここは揚げ物専門店。

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 左手に「砂場」があり、確かここは各地にある砂場の総本店であると記憶する。

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 そして兵之助刃物店。

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 そして鮮魚の「小川屋」。この店の刺身がうまそうであるが熱い時期で買って帰るわけにはいかない。

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 そして「パンのオオムラ」でイギリスパン(?)を2買う。ここのパンはとてもおいしい。

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 そこから少し歩いて魚屋を見つけるがすでに店仕舞いの最中。

 そのまま南千住駅に向かうべく東に向かうと「三ノ輪橋商店街」という暗い路地があり、そこに写真館がある。

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 またもっと暗い空間にお婆さんが新聞雑誌を売っている。ここまでくるとまるで昭和30年代に逆戻りしたような不思議な気分に陥る。

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 静岡県三島市は江戸に向かうと箱根越えの手前、天下の険を超える前に旅人が三島女郎衆を相手に遊山したところ。また伊豆、駿河湾からの産物は海から沼津に来て、それが三島に来る。その三島の沼津からの入り口にあたるのが広小路ではないかと思う。広小路とはいくつかの街道が交わり、分かれるところ、箱根からの東海道がここで幾筋にか分かれる。たぶんその昔、市が開かれ多くの人を集めであろうところだと思える。
 そして今でもこのあたりはずいぶん賑やかである。ファーストフード、チェーン店が軒を並べ、また三島広小路駅を利用する人、買い物客の流れがある。そんな広小路から路地をはいったすぐの所にあるのが広小路食堂である。この店、三島での魚屋巡りの途中、同じ広小路の『魚正』さんに教えて頂いた。
「ご飯食べるならいいところあるよ。ウチが納めてるんだけど、さばのみそ煮なんて最高だよ」
 こういって広小路食堂のだいたいの場所を教えてくれる。そして正午からだというので三島を回りに回って疲れ果ててたどり着いたのである。時刻は正午。

 でも残念ながら店は締まったまま。あまりに疲れたので「もうよろしいでしょうか」と引き戸を開けると、「あ、ごめんなさいね」といって招き入れてくれた。暖簾はまだ出ていない。
 店内は間口からすると広く、とても清潔である。品書きを見るとカレーライス、チャーハン、ラーメンなどがある、トンカツも、うどんもあり、「大衆食堂」の基本を最低限満たしている。でも不思議なのはそばがない。これは広小路食堂が「大衆食堂」になる前はうどん屋だったのだろうか?
 またこの店を特徴づけているのが刺身定食を始め魚のメニューが多いところ。よく品書きを見ると魚フライ、海老フライのとなりに「まぐろフライ」なる見慣れぬものがあるのだ。これを見るに沼津という駿河湾一の漁港の近さを感じる。

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 品書きには値段はやや高いものの、食べたいものがいっぱいある。あまりに空腹なのでカレーでもラーメンでも食べて、その上、一品というのもあるだろうし、トンカツもカツ丼も食べたい。でも「さばのみそ煮は最高よ」と魚正のオバサンが言ったんだたよな、と思い返してお願いする。
 店内ではここの娘さんだろうか、小さな男の子が絵本を開いている。その娘さんが「ゆっくりしていってください」と頭を下げて姿を消すと、定食が到来した。
 サバは残念ながら輸入ものであるようだが、煮方がとても上手なのだろう、ふっと口の中でとろけるようだ。切り身も大振り。こんなうまいさばのみそ煮も久しぶりである。添えられた冷や奴もうまいし、ししとうの天ぷらもいい。ご飯の盛りもたっぷりなのに少しもの足りない気がする。それだけ味がいいと言うことだろう。

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広小路食堂 静岡県三島市広小路町4-5

 日野市旭が丘は我が家からクルマで数分。ディスカウントショップも多くて交通量も激しい。その一角にあるのが「あさひ軒」なのである。真新しく清潔で広い店内、店員さんの対応はちょっと無機質だがこれ以上ない店造りなのである。
 そして出てくるのが醤油味の色の強いスープ、透明な油が浮かんでいる。そこにチャーシューとメンマ。海苔に肝心要の刻み玉ねぎ。ここまでは典型的な八王子ラーメンである。でもただひとつ違っているのが麺。細く縮れているのだ。まあそれでも八王子ラーメンとしておいても間違いはないだろう。
 さて、醤油で黒く染まっているものの濁りのないスープ、麺の茹で方もほどよく、トッピングされたチャーシュー、メンマとなかなか表面的には見事である。
 でも問題なのはスープ。明らかに旨味に欠ける。あっさりしているとか、上品だとかではなく欠如しているのだ+アルファともいうべきものが。どうもそれで細縮れ麺なのかも知れない。カツオ節だろうか? さば節だろうか? 鶏ガラに加わった香りが立ち上がっている。スープのバランスもこのままでいいし、後はひと味。
 この店、昼でも夕方でもそんなに混んでいるのを見ていない。その最大の欠点は旨味がほんの少し足らないためではないだろうか? 例えば醤油の選択とか大丈夫だろうか。この旨味コクが加わると八王子ラーメン特有のコクのあるスープになる。すると当然、やや太目のストレート麺が使えるはずだ。

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あさひ軒 東京都日野市旭が丘6-5-1
●詳しくは「さやぴぃのラーメンデータベース」へ
http://www.geocities.jp/sayapie3838/database.htm

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