日本橋本町に一度入ってみたかった中華食堂があり、半蔵門線で三越前へ。かつお節の大和の手前を右に曲がって食堂の前に立つが5時を過ぎているのに準備中。仕方がなく和紙でも買って帰るべし、と昭和通に出ると立ち食いそば屋が出来ていた。そう言えば昭和通方面に来るのも何年ぶりだろう。決して新装開店ではなく、このそば屋適度に汚れている。
券売機に向かうと売り切れが多い。穴子天そば、竹輪天そば。ともに魅力的だが売り切れ。仕方なく天ぷらそば350円に決める。厨房の前に立つと穴子天ぷらは江戸前のものを使っているなどの札が下がっている。これは穴子に人気が集中するだろう。
奥に厨房がある。店内は思ったより混んでおり、食券を出すと茹で鍋にそばを入れる。そのかたわらにガスコンロ、鍋で1杯ずつつゆを温めている。これは元のつゆの風味が熱でとばないように、低温で置き、いちいち小分けに温めているのだろうか? 立ち食いそばでは珍しい光景。
出来てきたそばを持って席に座ると目の前の棚にかつお節の粉が置かれている。おかか飯用とあって、これはぜひ試してみたいと半ライスを追加注文する。席でじっくり店の能書きを読むと、かつお節問屋の直営店で、つゆには自信があるという。
確かに汁の味わいはかつお節の風味が生きていて、本格的なそば屋風。これがなかなかうまい。かき揚げは平凡なものでこれが唯一残念。また半ライスは充分に茶碗一杯の量があり、ただのライスとなるとどんぶり飯になるのだ。これにかつお節を削るときに出る粉を振り、生醤油をたらす。これは腹ぺこオヤジには最高のご馳走だ。
今を去ること30年近く前、大伝馬町でアルバイトをしていたとき、この店があったなら絶対に毎日通っていただろうな。当然、飯はどんぶり。大盛りにしても食えただろう。
日本橋にもう一軒立ち食いそばの名店を見つけて、今度は穴子天を食いたいと思いつつ名建築、三菱トランクルーム(正式なビルの名は知らない)のビルを抜ける。
●日本橋本町江戸橋近くにある
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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とてもうまい、神保町『そば通』天ぷらそば350円