生まれた家にはみそ蔵というものがあり、年に一度だけみそ造りをしていた。この日、子供の楽しみといったら、茹で上がったみそ豆をもらうこと。そんな昔ながらの、みそ作りも大阪万博の頃からやらなくなって、近所の食料品店で買ってくるようになってしまった。この中学の頃からの市販のみその味わいが、どうも私の嗜好となっているようである。
この徳島でもっとも目にするのが「かねこみそ」である。地元でいると何気なく使っているみそが、他の地方とまったく違っていると知ったのは、当たり前だが上京して来ての話だ。初めて近所のスーパーで買ったみそが塩辛くて困った。徳島のみその特徴は麹が多く甘いこと。面白いのは徳島の郷土料理「焼きみそ」である。これは焼きみそ用の小皿(これは今では絶滅状態。実を言うとこっそり買い占めて持っているのだ)にみそを塗って炭火で焼くだけの、料理とも言えないもの。甘口のみそだから焼くだけでおかずになったのだ。これが信州みそだと塩辛くてとても食べられない。
この徳島のみそを「御膳みそ」という。これは蜂須賀家の御膳に使うみそとして麹を贅沢に使って仕上げたもの。醸造元は多く値段もマチマチだが、庶民的、スーパーなどで簡単に手に入るのは「かねこみそ」のものだ。これが意外に東京でも手に入る。
1キロ600円前後の庶民的な価格でありながら、徳島独特のまったり穏やかなみその味わいが楽しめる。どの土地を旅しても地のみそを探すほどの、みそフリークなので冷蔵庫には常にどこかしらの地みそが入っている。それでも基本的なみそは絶対必要である。それが我が家では「かねこみそ」なのだ。
かねこみそ 徳島県板野郡藍住町奥野字乾81-2
http://www.kanekomiso.co.jp/index.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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東向島「興華楼」のラーメン