外見からして誰が見てもチェーン店。ここまであからさまに「らしい」ととても入る気にならない。でも中途半端な時間に仕事を終えて「伊峡」も「さぶちゃん」も閉店していたという状況で、あえてその拒否反応を抑えて入る。
店に入ると食券機。そこにあるいちばん安いのが「尾道らーめん」650円である。本来若い世代の街、神保町では一際高めの価格である。ボクなども懐の寂しいお父さんなので、「本当に650円の価値あるんだろうね」と食券を買ってからじっとりと思う。
そして目の前に、それほど待つこともなく、やって来たのが「尾道だから煮干し、そうだ煮干し出汁の醤油ラーメン」である。この出てきたものに迫力というか、「作ったぞ、さあ食べてみろ」という迫力はゼロ。こんなところが、やっぱりチェーン店の悲しさだ。
そしてひとすすりするに、これが意外にうまい。煮干し出汁の取り方も合格だし、麺が中太なのも、クチナシで黄色いのもいい。メンマとチャーシューはどうでもいいというさりげない代物ながら「ラーメンとしての完成度」は高い。
ではまた来店するかというと、「困ったときには入ってもいい」というレベルを1ミリも超えていない。だいたいスープの温度が低いし、味わいのバランスがとれている割に、それ以上もそれ以下の部分も存在しない。まったくつまらないラーメン、たぶん「誰が食べてもうまいもん」を目差してよくできた商品を開発したような味だ。ボクはこんなものはどうしても受け入れられない。
同系列のチェーン店にも良し悪しがでるだろう。当然、「柿岡や」にも優れた店がありそうだ。でもチェーン店でなにが嫌かといって「優等生前後の店」がいちばんつまらない。
柿岡や 東京都千代田区神田神保町2-14-9
株式会社 太魯閣
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