築地場内『かとう』で豪華絢爛朝ご飯01

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 築地場内で“飯を食う”となると「いかに素早く」、「簡単」に“腹を満たすだけ”というのに徹してきたつもり。だから座るとあっという間に出てきて、しかもおいしい『中栄』のインドカレーとか、大物競り場横売店の焼きそばパンとかがボクの朝ご飯の定番となっている。
 要するにボクにとって築地とは魚貝類を見に行くところであって“うまいものを食べに行くところ”ではなかったのだ。
 そこに築地でうまい朝飯を食うのに人生・命をかけている、つきじろうさんとの出会いがある。
 会って直ぐに、つきじろうさんの博識・大食いに度肝を抜かれる思いをする。そしてボクの勝手な造語であるが“築地でうまい朝ご飯をたべること”を“つきじろうする”と呼ぶことにしたのだ。

 今年最初の築地行が1月8日。場内巡り、荷受けで人と会う、長崎県漁連で魚を受け取る、といろいろやることはある。そこになんと、つきじろうさんの朝飯案内も加わることになった。
 2008年となって、年初めの「“つきじろうする”・その1」が場内の『かとう』である。
 時刻は8時を過ぎている。大急ぎで場内の食堂寿司屋などが並ぶ棟までくる。このあたりは早朝から一般客で混雑しているのだが、さすがに平日(火曜)のせいか人はまばらである。細長い棟が並んでいる茶屋側から入って、『高はし』、『やじ満』ときて『かとう』の前まで来た。
 そのハモニカ型の店舗は間口が狭くて一間半ほどしかない。サッシの引き戸前に、つきじろうさんが堂々と仁王立ちしていた。

 新年の挨拶も忘れるほど素早く店内に入る。築地通いも長くなったというのに、「この店に入る」と決めて入るのは今回が初めてだ。そんなボクだから場内食堂のある棟を歩いてみても過去に食べたことがある店かどうかが判然としない。でもこの『かとう』は間違いなく初めてのような気がする。入ると、奥が厨房、左右にカウンターがある。その左手には若い女性が4、5名。
 この娘達がおバカ、もしくはしつけが行き届かないのは「飯屋の長話」をやっているらしいことでわかる。正面右手にはやや強面のオババがいて、明らかに呆れて声が出ないという表情なのに、この場所柄をわきまえぬバカ娘達は無駄話に盛りあがる。ボクには子供が11人いるのだけど、この手のしつけはしっかりやっておきたいものだ。

 店の品書きはあまり多くない。

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「丼もの」はウニ丼1900円、まぐろ丼1700円、まぐろウニ丼2000円。
「季節季節の魚の刺身」は、盛り合わせ1350円、本まぐろ(クロマグロ)1700円、めじまぐろ(クロマグロの幼魚)1400円、ブリ1800円、ヒラマサ1350円、カンパチ1300円、そしてアオダイ1200円、ヒラメ1200、トリガイ950円、もんごういか(種はわからない)950円など。
「煮つけ」はカレイ(なめた ババガレイ)1300円、クロムツ1350円、キンメ1400円、それに加えてサバの味噌煮1300円。
「焼き物」はキンメ・ギンダラの西京焼きともに1350円、ブリの照り焼き1500円、ブリの塩焼き1500円、サバの塩焼き1300円、クロムツの塩焼き1350円。
 ここに特徴的だと思える「汁物」があり。あんこう煮1800円、たらどうふ1300円、かきどうふ1300円。
 ウニは輸入ものだろう。マグロは「本」とあればクロマグロなんだろう。銀だら(ギンダラ)は冷凍もの、もんごういか(コウイカ科のイカ)は冷凍の可能性あり。ブリは値段からすると天然だろう。
 品書きを見て感じることは鮮魚、天然ものを使うことにこだわっているのではないだろうか。
 値段は決して安くない。朝ご飯としてはむしろ贅沢な部類だ。

「お勧めなのはかきとうふです。それとアジフライは外せません。これはぜひとも食べて欲しい(つきじろうさんの口調は柔らかく洗練されている。西洋的な表現をすると“エレガント”)」
 つきじろうさんに進めていただいた「かきどうふ」であるが、これをお願いすると酒が欲しくなりそうだ。これから場内歩きと言うときに酒を飲むのはまずい。アジフライは魅力的だが品書きには見つからない。
「あのー、今日、アジフライありますか」
 すかさず、正面右奥のオババが
「アジフライはできる?」
 奥から「ないよ」と返事が返ってくる。
「ないって」
 このオババの声の低さはただものではない。しかもその立ち居振る舞い、言い草に微かに退廃的な気配がする。いまどきこれほど味わい深いオババというのも珍しい。

『かとう』で朝飯はこれからだ。

つきじろうの春は築地で朝ごはん
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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コメント(1)

おかげさまで楽しい朝ごはんでした!
・・・って、えーと「その1」って・・・(汗

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このページは、管理人が2008年1月14日 11:09に書いたブログ記事です。

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