市場・港でご飯: 2008年3月アーカイブ

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 境港にある市場は大きく、魚好きならほんまに面白く、そして興奮して、時の経つのを忘れてしまう。
 そこに置かれている魚貝類の多くが島根県の船があげたというのを確認して、またその多彩さにも満足して、歩き回った後に来るのが強い空腹感である。
 さて、「何処にうまいめし屋があるのか?」、こんなときには地元の方に聞くのが最善の策だ。JFしまね 境港支所の方達、場内で聞いて、すぐに挙がったのが、「競り場の前の道をあっちの方へ行ってください。右手にありますから」という名前のわからない食堂。
 競り場から歩くこと5分足らず。見たところ、どう見ても「うまそうな店」には思えない。まるで喫茶店かスナックを思わせる味気ない建物で、なんと屋号がどこにもみあたらない。
「本当にここなんでしょうか?」
 同行の、トーボさんに聞くと、
「方向はあってるでしょ……」(不思議な笑いつき)
 この方、このようなときの返事がいたって投げやりだ。たまには「きっとそうでしょう」なんてにこやかに答えて欲しいねー。
 さっさと入っていったのはヤマトシジミさんで、入り口近くの陳列ケースを指さしている。

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 そこあったのが、しめさば、さば刺、サワラ、スズキ、あじ(マアジ)、いわし(マイワシ)、コウイカ、ヤリイカ、たい(マダイ)、そして「あかべい」である。これがみな安いし、新鮮に見える。この一瞬の喜びは見知らぬ町を旅する人だけにわかるものだ。
 刺身とは別にカツ丼や揚げ物が並ぶカウンターがあり、ここにもおかずがたっぷり。
 刺身をふたつ選んで、この前で一瞬立ち止まっていると、ヤマトシジミさんから悪魔めいたささやきが聞こえてきた。
「ぼうずコンニャクさん、朝はカツ丼ですよね」
 まさか、ボクの場合、そんなに無分別な人間ではない。その隣のサバのみそ煮を手にとり、ふと宙に浮いた手が、ついついカツ煮に伸びる。これは私本体が悪いのではなく、手と胃袋が悪いのだ。ついでにつけ加えると、ボクの大人の抑制心をボロボロにうち砕く、「ヤマトシジミが悪ーーーい!」。

 このカフェテラス方式で選んだのが、あかべい(コナガニシ)の刺身、サワラのたたき、サバのみそ煮、飛ばして飛ばして、みそ汁とご飯。オマケについてきたカツ煮。
 なんとヤマトシジミさんはボクの倍ほどもトレイにとっている。まだ若いのにメタボリックなのは、この大食いがいけない。

 まずはカツ煮は甘すぎるけど、なんだか早朝に食べると「うまいなー」。当然だけど、サバのみそ煮はマサバを使って美味だし、サワラのたたきがうまいねー。

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これが問題の「あかべい」

 なかでも境港に来てよかったなーというのが「あかべい」。これはどう見てもナガニシ属に違いなく、競り場で見たコナガニシである可能性はほぼ100パーセント間違いない。競り場での高値から、卸値も安くはないはず。と、値段がヤリイカ、スズキが100円であるのに三倍の300円というのもうなずける。ヤリイカの三倍だから期待しつつ食べたら、甘味が感じられて、なんともうまいものであったのだ。
 さて、この豪華絢爛の朝ご飯、お値段は千円札を渡しておつりがきた。

 境港という日本有数の町で、これくらいのご飯が食べられたら最高だね、という「朝ご飯」であった。つきじろうさん、悔しかったら境港までおいで! 「春は境港で朝ごはん」というブログが書けるぞーーー。
注/『かいがん』という店名は後日、ヤマトシジミさんからお聞きした。

かいがん
http://www.kai-gan.com/
JFしまね
http://www.jf-shimane.or.jp/
境港市観光協会
http://www.sakaiminato.net/

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