市場の惣菜などを売る店は楽しいのだ。買い物をしなくてもついついのぞきたくなる。そこには明らかに古くからの定番的なお総菜があってそこに数々のドラマや歴史がある。「ケンちゃん餃子」もそのひとつ。
「今日はケンちゃん餃子ないの?」
不安そうに聞くと
「これ絶対売れるね。だから毎週持ってきてるわけよ。だから売り切れるのも早いんだ。欲しいんなら、予め取っておいてって言えよ。バカだな」
八王子綜合卸売センター「ユキ水産」のユキちゃんが、“うざったいオヤジだな”とでもいうような目つきで言うのだ。
バカは余分だが、残念ながらその日には焼いていない生しかなかったのである。
生でもいいのだけど我が家で購入するのは焼いたヤツ。これをほんの数分フライパンで焼き直すというのが手軽で便利。困ったときの「ケンちゃん」と言った感じだ。これが大きさのちょうど良くて、焼き加減も中身の味わいもいい。美味なのである。下手な中華料理屋より「ケンちゃん」の方が上だ、といっても過言ではない。
市場仲間でも「ケンちゃん」大好きというヤカラは多い。そのなかに「小学校の頃よく食ったよ」と言うオヤジがいた。おかしいなオイラよりも年上かと思っていたら。この「ケンちゃん餃子株式会社」の創立が1970年であって、年勘定が合わない。
「ひょっとしてアンタ30代だったりする」
と聞くと首を一生懸命に縦に振っている。お前老けすぎだ! こんなことで自分の年老いていくのを自覚させられたらたまったもんじゃない。でもそんなつまらないことなんてどうでもいい、とにかく昭島生まれの居酒屋のオヤジにとって子供の頃から慣れ親しんだ「味」なんであることだけは確かだ。
そして肝心のどうして「ケンちゃん」なのかと思ってホームページの「会社概要」を見てみると簡単にわかってしまった。そこに「ケンちゃん」がいたのである。「な〜んだ」なのである。知りたい方は勝手に見て欲しいホームページを。
ケンちゃん餃子
http://www.ken-chan.co.jp/kenchandownpage.html
八王子総合卸売協同組合「ユキ水産」に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html