しょうゆ・醤油・味噌図鑑: 2006年8月アーカイブ

 いまではあきる野市となってしまった五日市の醤油「キッコーゴ」。これが我が家の日常使うものである。キッコーゴというのは「亀甲五」のこと、野田のキッコーマンとの繋がりがあるのだろうか? この醸造元の由来もわからずあまりにコストパフォーマンスが高いので使っている。
 この醤油と出合ったのは15年ほど前。五日市から秋山村までの旅をしていて偶然渋滞に巻き揉まれたのが「近藤醸造」の前という奇縁からである。醤油を見つけたら絶対総て買ってしまうということで、思い切って1升瓶で持ち帰った。
 これが素晴らしいものだった。醸造過程で生み出された適度な甘み旨味が最初に来て、ほどよい塩分で辛すぎない、その上、味わいに切れがあるのだからすごい。また生でも熱を通しても味も風味もだれないというのがいい。よく高級な醤油で醸造香が高く、なめても旨味の強いものがあるが、じっくり味わってみると後口が悪かったり、また熱を通すとダメダメというのが見受けられる。そんなものからすると遙か上を行くのがキッコーゴなのだ。
 我が家では刺身にも、煮物にもこれななくして成り立たない状況にある。

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●多摩地区では取り扱っている店も少なくはない。また八王子総合卸売協同組合、十一屋ジャパンには、ぼうずコンニャクが頼み込んで置いてもらっている
近藤醸造 東京都あきる野市山田733
http://www.bekkoame.ne.jp/i/kondou/

 信濃大町の小さなスーパー「ヤマトヤ」で買ったもの。このような古くて個人の経営する食料品店にはおうおうにして地域で古くから食べられてきた食料品があるもの。そんな店の棚で見つけたのがコレである。
 これは黒大豆を材料としたひしお(麹と醤油を合わせたもの)である。米と大豆の麹に醤油を合わせて作る「ひしお」は日本全国で見られるもの。乾物である麹と加工されて保存性のある醤油を合わせることで旨味のあるおかずとなる「ひしお」は徳島では「しょいのみ(醤油の実)」と呼ぶ。それが長野でもまったく同様に「醤油の実」と呼ばれているのだが、善光寺平周辺では「しょうゆ豆」に呼び名が変わるようである。
 この古くからの「しょうゆ豆」を黒大豆で作り上げたのがこの「山治」のもの。口に入れると、塩辛さよりも旨味と甘みが程良く感じられて、次に醤油の風味が浮き上がる。この醤油がやや甘口なのだろう。この穏やかさのお陰で酒の肴にも、当然ご飯のおかずにもなる。なかなか優れた一品である。

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山治 平林醸造店 長野県筑摩郡明科町大字中川手3737-1

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