旅・無駄歩き: 2006年8月アーカイブ

飯能夏祭りを歩く02

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 ここで南から来る県道二本木・飯能線と合流。この角に青果店の『かすや商店』がある。このやや古びた店舗の後ろに立派な蔵が見える。この曲がり角の左右にはすでにたくさんの屋台店が並んでいる。姫はまず手始めにかき氷を買って、自分で蜜をかけるのに戸惑っている。その屋台の前にあるのが『八百梅』というやきとり屋らしくない名のやきとり屋。ここでカシラと皮を一本ずつ買って生ビールをグビリ。

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 この店から見る祭の風景がなかなかいい。ここで飯能の夏祭のことを書く必要があるのだが、そのよるところはまったくわからない。また残念ながら祭が嫌いなのでそのものに関して調べる気になれない。
気になる方は「飯能すたいる」へ
http://blog.livedoor.jp/kurasinotanosimi/

 祭のなかに突入した途端に姫がわくわくし始める。「父ちゃん、300円」といってクジを買い、100円ショップでも売っていないようなつまらないものを引き当てて喜んでいる。子供はこのクジが大好きなのだけど、最低でも200円から300円もかかる。今時こんな高価な遊びは子供でも「浮かれない」と出来るものではない。子供を持つ身としては不愉快極まりない。でも昔から大人にとっては「そのようなものだったんだ」ろうな。
 祭というと大嫌いなのでこれだけでうんざりするのだが、飯能のよいところは商店街のほとんどが営業していることである。『八百梅』の先に『イチノ陶器』という陶器ガラス器を売る店がある。ここはかなりの老舗であるようで見ていると昭和30年代の陶器などの在庫もありそうに思える。こんどはじっくり見てみたい。また飯能では陶器を売る店は「瀬戸物屋」と呼ばれていたのかどうかも知りたいところだ。
 ここから「飯能大通り商店街」にはいる。もうここはまさしく祭が始まっている。姫は水の中を大小のボウルが流れているのに目を奪われている。ここでも300円を手にして信じられないほどつまらないものを手にして明らかに不満足なのだが、満たされないままにまた欲望をつのらせている。これを見て約40年前の我を思いだして切なくなる。
 この銀座通りと中央通りの交差するところが広小路。そこから西にかけてが大通り商店街と名を変える。ここはかつて近在からの産物を売るための市の立っていたところ。


 この通りにも魅力溢れる建物がいっぱいある。「銀河堂」、うだつの上がる「山に甚」店?。ここにも呉服店がある。飯能には呉服店が多い。明治期から飯能では機織りが盛んになり、今の見事な家並みも「織物の街」の面影なのかも知れない。

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残念ながら店を閉めていた古めかしい薬屋。ここで正露丸を買うなんていいだろうな

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これもなかなかいい趣の呉服店ではないか?

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アールデコーとでも言うのだろうか、「モダン」という文字がぴったりくる美しい建物。これを見て近代建築を調べたくなった

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これはいったい何を商う店であろうか? これは見事しかいいようのない外観。素晴らしい

 屋台店の奥には薬屋酒屋など個人商店が元気に営業している。11時を過ぎているのにクルマが通る。屋台店で興奮する姫は道をなんども横断するのだが、これが非常に危なっかしい。本町通を少し西に歩いた北側で姫がまたクジを引く。またまたハズレで、余計にまた引きたくなる。そんなとき小さな天ぷら屋さんを発見する。食堂ではないようでお持ち帰り専門の店のようだ。思わず入って天ぷらをいただく。かき揚げがうまい。

 そして祭の屋台がとぎれた左側に豆腐屋を見つける。この店の屋号が「問屋」というのだが、これはここで市場を経営していたためだという。飯能銀座の「とんき食品」、そして天ぷらを食べた「小川」もここから分家したのだという。そして「問屋」の豆腐が真四角。昔ここが都心や近在からの食料品を集めていたところだとしたら、小川家は飯能にあって重要な家である。

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「問屋」のお婆さん。とても優しい、そして気品のあるお婆ちゃんであった

 本町通を行き着くところまで行って、そこが図書館。こぢんまりした小さな建物だけど、川への眺望が素晴らしい。ここで姫のトイレを借りる。姫を待つ間、図書館の陳列台を見ていると打木村治という作家の本が展示されている。これに関しては後に『あるから』という飯能の地域小冊子で、そのおおよその人となりを知ることができた。そしてまた大通りを東に歩く。

 少しもどって前回来て気になっていた通りに入ってみる。ここは高麗横町というらしい。横町に入ってすぐ右手にあるのが「明治39年創業」とある「小槻時計店」。その先が「江州屋」という古い商家に入ってみる。ここは春に来たときに道に迷って見つけた。古い商家の建物、なかにL字がたにアールをえがく陳列棚を見つけて入ってみようとして前で駐車スペースを探そうとしていて後ろから大型トラックにクラクションをならされて断念した。どうしてこんな狭い道に大型トラックなんて無粋なものが通るのか、不思議でならない。さて、この店内に飾られてあったのが可成幸男さんのオブジェと陶器。じっくり見ていたかったのだが姫にだだをこねられて諦める。この「江州屋」は昔は醤油・味噌などを扱っていたようだ。その店先だった土間で見つけたのが「キッコーブ」の木のカンバン。

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「江州屋」の美しい陳列台

 大通りはクルマが入れなくなって、いちだんと祭らしくなってきている。ここでまた姫がクジを引く。これで3回ともハズレ。
 正面から屋台が引かれてくる。姫はこの屋台には目もくれない。ひたすら欲望の迷路を彷徨っているかのようだ。
 お昼となって「腹減ったな姫」と声をかけるがチョコバナナ、あんず飴、かき氷に焼き鳥を食べているので反応なし。そんなときに古風な食堂を見つけた。厨房のあるらしいあたりに「つけめん」の貼り紙があって。これはうどんではないらしい。お願いにお願いしてお昼ご飯に入る。この「住田食堂」の「つけめん」が面白かった。

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祭なので一様、こんな画像も載せるかな。

 ここから飯能銀座商店街に入ると向こうから神輿が来る。祭だ、祭だ! と浮かれてもいいようなものだが、こちらは親子してクール。これは血筋だろうか。それよりも「英国屋」という名のパン屋に引かれる。我が国へパンが入ってきたのは最初は幕府とフランスの関係から「フランスパン」、それが瓦解して薩長とイギリスとの関わりから「イギリスパン」へと変わったのだ。こんど入ってみたいものだ。

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ボクとしては街にこのようなパン屋があるとそれだけで「この街好きだな」と思う

 飯能という町、しかし見尽くせない魅力がある。商店街が好きで好きで堪らないのだが、我が隣町の八王子は商店街の破壊が進みすぎている。対するに飯能は見事としかいいようがない。さて、こんどはいつ参ろうか?

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