旅・無駄歩き: 2006年10月アーカイブ

埼玉県「入間の旅」

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 ぽつんと時間があいたときに、ほんの数時間の旅に出る。出来れば6時間以内、間違っても半日にならない旅。それで今日はなにもないと決まったら地図を見ることから始めるのだ。近年、通っているのが埼玉西部。我が家から1時間ほどでたどり着けて、あまり大きすぎない街。そんな条件で探し当てたのが埼玉県入間市。でも入間市の中心は入間駅周辺でいいんだろうか? この市は思った以上に広い。まあ市役所もあるし、市街地を示す色合いの地域も西武入間駅周辺にしか見あたらない。とにかく入間市役所を目差す。
 国道16号、11時を過ぎて右に見ているのはアメリカ空軍基地。昭島市を抜けるのに1時間以上かかったことになる。16号の反対側は雑貨店や格好いい飲食店が並んでいて違法駐車の多い地域だがさすがに道路交通法の改正のせいかクルマはまばら。

 入間市役所には正午過ぎに到着した。駐車場にクルマを入れて、4階の観光課で地図やパンフレットをもらう。使いづらいが飲食店の地図、観光ガイドなどが揃っている。ここで見つけた『71市町村のうまいもの ごちそう埼玉』は思わぬ拾いもの。お役所とJRが作った割に良くできている。
 ここで観光課の女性に「市役所の駐車場に2時間ほど止めさせていただけませんか?」という我が儘なお願いをする。「あの、駐車場は市役所を利用する方のために出来れば開けておきたいのですが」と奥に消えて上司らしき方と協議。止めてもいいとありがたいお言葉。お礼というわけではないが、入間市役所でもらってきた観光案内も、また教えてもらった情報も地方公共団体としては「上」の部類に入る。
 観光課のやさしくて可愛いお姉さんに教えてもらった古い商店街「町屋街道」に青い稲妻号を走らせる。ここもシャッター通りかと思ったらどうも水曜日が定休日であるようだ。ここでうまそうな洋食屋とコロッケの幟を立てた肉屋を発見。また古い街並みを撮影する。そして入間駅に向かう交差点に、驚いたことにお香の専門店を発見する。でも敷居は高そうだ。

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さかぐち屋は町屋通りと駅前の無味乾燥地帯との境の交差点に建つ。おもわず入ってみたいと思ったがボクのようなオヤジが入るには敷居が高い。香の店 さかぐち屋へhttp://sakaguchiya.jp/

 無味乾燥な駅周辺を抜けて長い下り道。国道16号を超えようとしたら横断歩道がない。その上、歩道橋には自転車用の平らな測板もないので階段を自転車を抱えて越える。そのまま小さな流れにかかる橋を過ぎて、正面に見えてきたのが「キッコーブ」繁田醤油である。この醸造所、門の横に大釜が置かれていて数年前大里村へ向かう途中で見つけていた。その広い敷地に入るが中は無人。やっと事務所を見つけて醤油と「なめもの(金山寺味噌)」を買う。この事務所の方に「近くにお昼ご飯を食べられるところはありませんか?」と聞くとわざわざ、近くのうどん屋さんまで案内してくれた。繁田醤油の方には感謝。

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入り口は長屋門、その脇に大釜、「キッコーブ」の文字は右から書かれている。このホーローカンバンいいな

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暗い倉庫の中で見た「キッコーブ」の一升瓶。なかなかデザインがいいのだ。今時のへたくそなラベルには絶対変えないで欲しい

 この住宅街にひっそりとある「つきじ」のうどんはうまかった。

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この店、有名なんだろうか? こんな住宅街にうまいうどん屋があるなんて

 ここからまた16号を超えて坂を上って入間駅まで行く。西武線なので駅にはペペがあり、見た目は非常に硬質。そこからマルヒロ百貨店、アイポットというマックが聞いたら怒りそうなビルまである。この街の特徴は露面店のないこと。あったとしても今時どこにでもあるチェーン店ばかり。非常にセンスのない街造りでこんなところで生活していたら子供の心も殺伐とするだろう。当然大人も癒されない。このようないかにも無味乾燥な街作りをする傾向は明らかにビルなどの設計士の能力欠如もあるだろうが、地方公共団体がなんら方向性をもっていないからだろう。駅前に古い家屋がぽつんと孤立。

入間駅前で見るべき物はこの寂しい仕舞た屋だけだった

 この硬質な場所にも和菓子屋があり、なんと飯能で見たのと同じ「焼きまんじゅう」があった。
 水曜日のためかマルヒロ百貨店は休み、「エイムス」というスーパーに入って埼玉らしい食品を探すが皆無である。醤油も遠路はるばる流通してきたもの。納豆も大手のものですくいようがない。つまらない。いかにスーパーがものを動かすだけの流通業だとされていても少しは血の通った仕入れをして欲しい。

 また町屋通りを扇町へもどる。やはりお香の専門店は敷居が高い。家人が好きであるのはわかっているが通り過ぎる。この街の中ほどで見つけた洋食屋に入ってみる。さっきうどんを食べたばかりだが、さすがに炭水化物が主体で消化が早い。我がでかすぎる胃は隙間だらけだ。『手づくりハンバーグの店 タジマ』という店で、席に着くと可愛らしい女性がメニューを運んできてくれる。ボクはテーブルにメニューを置きっぱなしにするか、必要なときだけ持ってきてくれるか、このどちらも好きなのだけれど洋食屋さんの場合は後者の方が好きだ。ここでいちばんスタンダードなハンバーグ600円を注文。これにはご飯とみそ汁、もしくはスープが付いている。このハンバーグとても美味だ。『タジマ』の隣が肉屋の『まるしょう』。ここにコロッケの幟がはためいていて、すなおにコロッケ65円を5つ買うとハムカツをひとつオマケしてくれる。『まるしょう』さん、ありがとう。ちなみにこのコロッケもうまかった。

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『タジマ』のハンバーグは安くてうまい。しかもこのカンバンのイラスト、コックさんかな、顔がどことなく藤村有弘に似ている。またこの顔がなかったら『タジマ』の魅力は外見的には半減する

 無駄歩きは2時半過ぎまで、考えてみれば2時間近く自転車をこいでいたことになる。しかも入間は坂が多いのだ。町屋通りから裏通りに入って、坂道を市役所に向かうがペダルが重い。
 この裏通りにお茶の製造所・問屋が何軒か軒を並べている。後でわかったことだが、狭山茶の中心地は入間であり、本来の「狭山」というのは現在の入間市にあたる地域。隣の狭山市があるのが本来の「入間」の地だと言うから非常にややこしい。また狭山茶の本場はほとんどの人が狭山市が本場だと思うはずで、歴史的なことだとしても当時の「狭山市」を市政した人のなんといかがわしいことよ。まあ、狭山茶の本場は入間市なんだとわかったのも収穫だ。
 3時近くまで入間にいて、帰路16号は空いていて帰宅は4時過ぎ。思ったよりも収穫多い入間の旅であった。
●これは「お魚三昧日記」から移動したものです

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