豆腐図鑑: 2006年7月アーカイブ

 新井薬師駅商店街を歩いていて見つけた店。何気なく覗いて、初めて見る納豆を買おうとして豆腐の船(豆腐を保存している水を満たした水槽)をのぞくとうまそうな豆腐が目に入った。
「納豆だけ買おうと思ったんですが、1時間くらい家までかかるんですが豆腐大丈夫でしょうか」
 聞くと、
「大丈夫。うちのはね昔のやりかたで作っているからね大丈夫」
 船から豆腐をとりだして端っこを三角に切って手のひらにのせてくれる。この豆腐の味わいがいいのだ。とても普通の豆腐屋の味なのだが少し置いて微かな苦みと甘味が浮かんでくる。
「ここ屋号なんて言うんですか」
「この下見てくれる船に屋号があるあから」
 そこに「新井屋」の文字がある。
 ボクは最近、スーパーなどで見かける特選豆腐というか高い豆腐に疑問を感じるのだ。どうも普段着の豆腐の味わいというか、毎日食べて飽きない味わいではなくなってしまっている。それからすると豆腐屋の豆腐は毎日朝夕食べても飽きが来ない。

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この佇まいは昭和30年代のもの

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よせ豆腐もうまそうである

新井屋 中野区上高田 3-37-7

 八王子は地下水の豊富なところであるが、意外なことにうまい豆腐屋は少ない。街歩きのついでに豆腐屋をみつけると必ず木綿豆腐を買っては失望する。これはどうも水と言うよりも豆腐造りの技術に劣るのではないかと思っている。そんな街歩きで唯一、うまい豆腐を作っているのが神山豆腐店である。陣馬山に向かうバイパスのひとつ裏路地にひっそりとある目立たない豆腐店なのだが、店は古いが店内はすこぶる清潔。大きな水槽には地下水が豊富にかけながされ、そこからひょいとすくって白いパックに入れてくれる。ボクはいつもここで後悔しきり、いつも鍋やタッパーを持ってこようとして忘れてしまうのだ。この一連の女将さん動作がとても美しい。
 ここで買うのが木綿豆腐。東京風の長方形、そしてやや柔らかめのものである。口の中で微かだが甘味が感じられて、またほどよく大豆臭いのが何とも言えずにいい。近年、スーパーなどで喧伝されている「濃厚に甘くて、そしてべっとりしたもの」とは違って、すっきり普通の豆腐で、湯豆腐にも冷や奴にも向いている。当然のことだが豆腐がうまいと厚揚げや油揚げもうまい。

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神山豆腐店 東京都八王子市元横山町3丁目11-8

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