洋食: 2007年1月アーカイブ

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 下町には洋食屋が似合う。これはボクの勝手な思い込みかも知れないが、無駄歩きのついでに洋食とビールというのが本当に楽しいのだ。そう言えば何でもありの「食堂」というのにも“洋食系”と“中華系”があって、ボクは洋食メニューの多い方が好きだ。
 すでにあたりは暗闇となった錦糸町、駅がすぐそこという所にきて見つけたのが「洋食 斉藤」である。外見はなんとなく暗いイメージ。その店頭にあるご託宣の多さが少々気に掛かる。また値段は1000円前後と高めでもある。でも最近はほとんど昼食抜きなので、思わず入り口のドアを押してしまった。あまりの空腹に理性が失われているのである。
 入った店内が思わず後ずさりするほど整然としている。そして女将さんらしき人の雰囲気がやたらに硬く感じられるのだ。入って正面左に厨房とカウンター、右にテーブルがある。そしてこの店が外見からすると意外なくらいに奥行きがない、細長い。カウンター奥の席に着くと、厨房の店主らしき人がいかにも洋食屋然としている。なんだか神経質そうである。そして水を持ってきた女将さんがいきなりライスは別ですからと、とってつけたようなことを言うのだ。
 初めて入った店なので無難にメンチカツ950円とライス200円。注文を受けると、なにやら店主はメンチカツの中身をこねているような。そしてなかなか揚げようとしない。ボクの後に続くように一人二人とお客が入ってくる。気がかりなのはカウンターの出口あたりに巨大な女性が座ってしまって、どうも出られそうにない。その二人が注文したのが“ハンバーグシチュー”というもの。どうもこれがこの店の名物らしい。
 メンチカツはなかなか来ない。空腹感を我慢しながら厨房を見ると、店主が神経質そうにメンチを揚げ始める。そして刻んでいるのはキャベツだろうか? なんだか繊細な動きだな。
 そして女将さんがメンチを持ってきて、「ご飯は左ですよ」と言って置いていったのだ。これには驚いたなモー。この店、ひょっとして逆に置くとレッドカード退場なんてこともあるんだろうか?(レッドカードが退場だっけ、それともイエローカードが退場かも。間違ってたらご免の助)
 まあ、女将さんの態度は気にしないことにしてと、このメンチがこれ以上ないというほど端正なのである。つけ合わせの野菜も美しい。しかも、その見た目通りにメンチもうまい。ご飯もみそ汁もいい味で完璧ではないだろうか。
 でもその喜びはお隣に“ハンバーグシチュー”が来たことで総て消えてしまった。それがあまりにうまそうだったからだ。

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 我ながらつくずく勘の悪いヤツよと嘆く。それは今更、後悔しても後悔しきれるものでもない。仕方がない、改めてここに来るしかないのである。そして寂しく店を出ようとしたら、やはりカウンター出口の女性は大きすぎた。そのこには負けるが、ボクだって誰が見てもデブなんである。店から出るのに悪戦苦闘数分。まるで虎の穴から脱出するようだった。


洋食 斉藤 東京都墨田区錦糸2-5-7

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