洋食: 2015年5月アーカイブ

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 日本橋人形町、両隣に「快生軒」、「玉ひで」という老舗がある。二階建てなのか三階建てなのかわからないが、正面は看板建築。ということは隠れているのは二階建ての日本家屋なのだろう。

 白いのれんをくぐるとなかにはお年を召した女性がひとり。ボクを見ると奥に行き、なんと緑茶を運んできてくれる。お水でないところが、おもしろいな。

 細長いテーブルに白い布をかぶせたイス。机の上にはガラスのソース入れ、ステンレスのナプキン立てが懐かしい。


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 洋食屋に入ったらほぼ100パーセント揚げ物をお願いするのだけれど、店内の古めかし懐かしい雰囲気に、これまた懐かしいオムライスをお願いする。

 お願いするとご飯を炒める音とケチャップなのだろうかトマトの香りが漂ってくる。卵をかき回す音がして、ほどなくオムライスが出てきた。


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 ケチャップライスに鶏肉が入っているのがわかるので、いたって普通のチキンライスを卵焼きでくるんだ、典型的なオムライスだ。上から見ると円に近い形。普通、この卵焼きにケチャップかドミグラスソースがかかるはずが、なぜか甘いあんがかかっている。

 あんというが鰹節だしではなく、ソース、もしくはケチャップをスープで溶き、あんにしたようなもの。かなり甘い。

 このオムライスの上に甘いケチャップ風味のあんというのも、ここの創業者が修業した店のやり方なのであろう。とすると戦前、昭和期に入ってすぐから営業していた創世記の洋食屋のやり方を今に残していることになる。

 味的には取り立てて書くほどのこともないが、間違いなくときどき無性に食べたくなるであろう、味だ。

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