徳島のうどんと、最近つとに有名な讃岐うどんはまったく別物だ。
実を言うと、例えば本来の香川のうどんは、徳島うどんとかわらない。
例えば今はなき宇高連絡船のうどん、高松駅のうどん、このあたりはなんら徳島のうどんと変わらないのだ。
むしろ近年持てはやされている、腰の強さを重視した讃岐うどんの方が異質。
異質だけど、うまいために急速に広がっている。
まさか貞光に讃岐うどんの店が出来るなんて、まさに驚嘆すべきことだ。
貞光と言っても最近つるぎ町の一部となった小さな町。
考えてみると、つるぎ町の人口がなんと一万人強。
なんだ一万人いるじゃないかと思われるかも知れない。
あにはからんや、この一万人は旧貞光町、半田町、一宇村が合併したもの。
もっと厳密にいうと、ボクがいうところの貞光には旧貞光町の太田、端山なども含まれていない。
ちいさなちいさな町としての貞光だ。
さて『のぶ』のある大須賀というところは、現在でこそバイパスができ、道の駅、警察署、住宅が建ち並ぶなど、それなりに賑やかだが、その昔竹藪だったところだ。
吉野川に沿い、それはそれは美しいモウソウチクの竹林となっていた。
そして、近くには焼き場、竹林の南側は「しま」と呼ばれる田園地帯。
竹林も、しまも幼なじみのツルノとよく走り回り、魚や昆虫を追いかけ回したところだ。
その道の駅の裏側、曲がりくねった奥に『のぶ』がある。
外観は「うどん屋」ではなく倉庫にしか見えない。
ここを紹介してくれたのが幼なじみのツチタニなのであるけど、
「あそこのうどんがいちばんうまいんじゃ」
とは、まさに思える店構えだ。
入ると、最近徳島でもよくみられる、丼をとり、麺を入れてもらい、汁を注ぎ、天ぷらなどをのせる形式だ。
これをセルフうどんというらしい。
まずはかけうどんに、卵の天ぷらをのせる。
半熟の卵を揚げてあるのだけど、これはあまりうまいものではない。
むしろだしの利いた汁がうまい。
うどんに適度の腰があり、旨味を感じる。
やはり、うどん自体にうまさがないと、ダメなんだな、なんてまさにうまいうどんを食いながら思う。
卵の天ぷらはじゃまだ。
値段はこれで300円台だったと思う。
もの足りなかったので、ぶっかけを食べたら、絶品だった。
明治橋の飯田食堂に加えて『のぶ』が出来たことで、我が故郷にも外食の喜びが増したように思える。
うどん屋のぶ 徳島県美馬郡つるぎ町貞光字大須賀
つるぎ町
http://www.town.tokushima-tsurugi.lg.jp/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
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