柏魚市場で「場内の食堂でどこがうまいんですか」と聞くと、「どこもそんなにうまいとは言えないけどね」と幾人に聞いても味は期待薄に思える。
「最近じゃ、そこの寿司屋が人気でね。うまいらしいけど開店が遅いしね」
なかなか「これがいい」とは出てこないなか、
「そうだ、ここから見て“二八そば”ってあるでしょ、あそこが比較的うまいかな」
その“二八そば”というのが『幌市』だった。外見はまことに平凡だが、外にある看板がすごい。イクラ丼やら海鮮丼、天丼などの写真が派手派手しい。このような看板に辟易しているので、回りの店も見て回るが、どこも似たり寄ったりで決め手に欠ける。ここは初志貫徹で店の引き戸をあける。
店内は思った以上に普通の食堂にみえる。中心になるのはそばと丼、そこに日替わり定食があって650円ということは市場で働く人たちも食べていそうに思った。
この日替わり定食が、なかなかよかったのだ。中心にくるのが鶏肉の塩味のオイル焼き、つけ合わせのマカロニサラダ、キャベツのせん切り。隣に主役と見まごうカレイの煮つけがある。そしてたぶん市販の長芋の梅肉和え、青菜の漬物に、なめこのみそ汁。
これは言うことなしの朝ご飯である。
カレイはどうやらカラスガレイかアブラガレイで冷凍ものを使ったのだろうけど、味付けがいい。また冷凍物としてもいい材料を使っているように思える。鶏肉は平凡でも、なかなかこれだけ満ち足りた定食は少ないように感じる。
このような平凡であるけど、よくできた定食というのがいちばん市場飯としてはいい。これなら国産ものを使っているというアナゴの天ぷらなどもうまいに違いない。
柏市公設総合地方卸売市場
http://www.city.kashiwa.lg.jp/cityhall/sosiki/B_KEIZ/KEIZ_KOU/kashiwa_ichiba/Index.htm