納豆図鑑: 2006年7月アーカイブ

 葛飾区立石の豆腐屋さんでみつけたもの。「○に永」の字以外これと言った特徴はないがよくできたパッケージだと思う。東向島と言えば、昔の「玉ノ井」である。今では当然なにもない下町でしかない。
 この納豆、非常に在り来たりなもの。またタレはついていない。ただ立石の豆腐やで見つけたのが旧玉ノ井の納豆屋さんというだけで終わってしまう。ただし東京の地納豆としては捨てがたい存在だ。

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いろは食品 東京都墨田区東向島3の22の4

 北千住の豆腐店「むさしや」で買ったもの。東京下町には地納豆がいっぱいありそうだが、その「地納豆は豆腐屋で探せ」のセオリー通りに見つけたもの。この「むさしや」、足立区にあって足立区の納豆を売るというのはやはりただ者ではない。
 さて「はと印」のハトがやたらに可愛らしくこのように個性的でありながら何気ないマークはたぶんかなり昔に作ったものだろう。毎朝、「はとの納豆を食べた」というイメージが生み出せて楽しそうだ。
 ただし中身はいたってありきたりな納豆。もっと上の高い納豆も作っているかもしれないが、これがいちばん庶民的なものなのだろう。タレは辛目で、辛子はたっぷり。納豆の香り、旨味ともほどほどで好感度大である。

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京北食品 東京都足立区江北3丁目39-2

 江東区森下町に「フジマート」という地味なスーパーがあって繁盛していた。そこの片隅に見つけたのが「四ツ目納豆」である。まずデザインが素晴らしい。このパッケージだけでも買う価値あり。
 そして、この「四ツ目納豆製造所」の裏側にある住所を見ていたら「毛利」という地名が書かれている。これは長州毛利家の下屋敷でもあったということか。また「四ツ目」とは東陽町から錦糸町を経て押上に向かう通りのこと。だいたいこの「四ツ目」という言葉自体曰くありげだ。そして、ますます「四ツ目納豆」を買うのが楽しくなるのだ。
 外見はともかく中身はいたって普通の納豆。小粒ながら、これといった特徴がない。でもきまじめに下町で手作り、しかも容器に入れるのも、紙のラベルを巻くのも家内でやってますという風情がいい。私、以降、下町で「四ツ目納豆」を見つけたら必ず買ってくることを誓うのだ。
 また、これは「四ツ目納豆」さんにお願い。無粋なバーコードはもっと端っこか裏側につけて欲しいな。

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四ツ目納豆製造所 東京都江東区毛利1の19の6

 まさか西新宿に納豆製造所があるなんて思いもよらなかった。しかもなかなか地納豆として「素朴」な作り。納豆名の「丸ひ」とはなんだろうと思わず考えさせられる。
 この納豆も地納豆らしく新宿区から近い中野区新井薬師前駅からの商店街にある新井薬師駅商店街でみつけた。とうぜん売っていたのは豆腐屋で、「地納豆は豆腐屋にあり」を証明している。
 小さな入れ物を開けるとやや大粒の納豆。表面ははっきり白く納豆菌のうまそうな色合い。何もつけないで食べると大豆そのものの味わいがある。また豆の持つコクもある。ついているのは辛子だけというのもいいな。

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高橋商店納豆製造所 新宿区西新宿4の24の6

 もうかれこれ30年以上前、お茶の水に通うようになって、授業が終わったり、また時間があくと神保町には下るが、聖橋を渡るなんてことは思いも寄らなかった。そこには「湯島聖堂」があり、また道を挟んで神田明神がある。こう書くと、なんだか江戸の情緒が感じられる地域だろうと思われるかも知れないが、回りには老舗の飲食店があるわけでもなく、また通りはクルマの往来の激しいところ。どう考えても観光客にはおすすめできないスポットである。あえて言えば落語の本などを読んでいるとたびたび登場する「神田川本店」だろうか、ただし敷居が高い。

 ある日、ゼミが終わって、誰からともなく「神田明神に行こう」と声があがった。神田明神といえば大川橋蔵の「神田明神下の銭形平次」しか浮かんでこない。聖橋を渡るとあっという間に神田明神に到着。ほんの100メートル先には鳥居が見える。鳥居の方に歩こうとして、「そっちじゃないよ」と入ったのが「天野屋」の茶店。そして二十歳前なのに訳知り顔にこの茶店で甘酒を飲んだのである。その後「有名な神社なのだからお詣りして行こうよ」と言うと東京出身のクラスメートが「入るとがっかりするぞ」と言う。それでも鳥居をくぐり、そのとおりにがっかりしたのだから神田明神がどんなところかわかると思う。そう言えば江戸の三大祭りでも神田祭は最大のものであったはずだが、今では浅草の三社祭に人気を奪われてしまっている。

 さて天野屋は神田明神の社から参道(非常に短い)に出て右手。地下に大規模な室を持っているので有名である。ここの名物は麹・甘酒なのだけれど、それ以上に惹かれるのが「芝崎納豆」である。大粒の納豆で豆の風味と言い、納豆菌の生み出した旨味と言い絶品である。またここで売るモノで密かにはまってしまっているのが納豆茶漬けである。ご飯にのせてお湯をそそぐと微かに納豆の風味が立ち上がり、フリーズドライの三つ葉の香りとともにいい味わいだ。

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正面が納豆などを売っている店舗、左が茶店。ここで気をつけなければいけないのが凶暴なオバチャン軍団である。だいたい売り場は狭く混み合っているのだが、オバチャンたちはじっくり選びながら店員を独占する。また当然、こちらが注文しようとしているのに割り込んでくる。恐るべし

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納豆1パックが300円以上というのは高いが中身はたっぷり通常のものの2パック分はある

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納豆好きには答えられないもやっとした香り。納豆嫌いにも堪えられない

納豆315円 納豆茶漬け126円
天野屋
http://www.clubneco.com/amanoya/

 八王子、日野などの豆腐店でもっともよく見かけるもの。豆腐を買うついでに、赤いパッケージの経木納豆を1つ2つというのが日常の光景である。
 取り立てて絶品というのでもないが、とても風味の良い大豆、納豆菌の造り出すうまみも充分ある。八王子の地納豆としては一方の雄といったところだ。
 またこの真っ赤な紙ラベルに大豆の絵柄。豆の部分がやたら大きいのだけれど、これがために一種キャラクターとして存在感がある。

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中文 東京都八王子市中野上町3丁目4-8

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