中華・および中華料理なのだの最近のブログ記事

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 いつの間にやら市場の軒先をツバメが飛び交っている。
 今年は滑り出しから息苦しい状況にあり、世間の方もろくなニュースがない。
 とくに不愉快だったのが千葉県知事に森田健作がなったこと。
 千葉県人は知的で良識人が多いと思っていたのだが、こんなろくでもない人物を選んでいいのだろうか、大丈夫か千葉県民といいたい。
 世の中には非常に危険で悪質な人間がいる。その典型は抽象的なことばかり言う人だ。
「よりよい未来を築きましょう」とか「夢と希望」とか「明るい未来」とか。
 その無機質意味不明なことだけしか語らぬヤツが大嫌いだし、その代表が森田健作であるように思う。言うなれば典型的な「えげつない野郎」ではないか!
 しかも今回は完全無所属なんて詐欺行為までやってのける。
 爽やかにやってるんだから「詐欺をしてもいいだろう」、そう言っているように思える。
 だいたい役者としても低級だった人物で、しかたなく目立ちたがり屋で政治家になったのだろうけど、自民党公明党の品性を疑うに足りるな。

 あんまり泥沼気分だったので、さっぱりしたものが食いたい。
 と、思ったら『さくら』に冷やし中華の文字がある。
 この『さくら』の冷やし中華の見事さには毎年驚かされる。
 しかもタレが甘くない、ほどよい酸味と後味の良さ。
 ボクは勝手に西東京一うまい冷やし中華だと思っている。
 店主のまささんは「もうからないし、手間がかかるのでいやなんだけどね」なんて言いながら、実は喜んで作っている。

 この豪華絢爛な冷やし中華を食べると、今年の夏もがんばるぞという気持ちになる。
 店を出てボクの頭上をかすめたツバメが青い空に向かって上昇中だ。

八王子市場案内
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/

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 ときどき閃くことがある。
「こんなものあったらうまいだろうなー」
 なんてね。
 最近専用の麺を打つようになって、『さくら』の焼きそばは並ではない。
 むしろ特上の、しかも値段からして最上の喜ばしいものとなっている。
 でもボクは焼きそば自体があんまり好きじゃない。
 『さくら』のはゆで麺を豚肉野菜などと「炒める」焼きそば。

 どんなにうまいものでも、焼きそばの持つ、ベトっとしたところがいやなのだ。
 それじゃ、焼きそばにラーメンスープをそそいだらどうだろう?
 このベトベト感(これが大好きという人がいっぱいいる)、もたもたしたところが解消されるではないか?

 まささんにお願いして、懇願して作って頂いた。
「そんな面倒くさいものやれって、手間がかかりすぎだよ」
 まささん、いやいやながら超太麺をゆで鍋に放り込む。
 まことに「いつもすまないねーーーー」。

 さて、超太麺で野菜には焦げ目が入っている。
 ラーメンスープの中で適度に麺がほぐれていて、もたもた感は明らかに解消されている。
 焼きそばをスープと一緒にすする。
「ああああああああああ、のあああ」
 官能的な旨さが、ボクの脳髄に突き上げてくる。
「うますぎる」
 ときどきあまりに幸福感が強いと「いけないことをしてしまった」ような罪悪感を感じる。

 どうしてこんなにうまいのだろう?
 たぶん塩味と胡麻油のからんだ焼きそばとラーメンスープが接触する。
 スープ自体もうまいのだけど、焼きそばの香ばしい風味・塩味と混合して新しい旨さを作り出しているのだ。
 焼きそばはいつも多すぎる、食べきれないなんて持てあますが、焼きそばラーメンは「もっともっと欲しいの。だめ? だめだめ??」なんて訴えてしまいそうだ。
「まささん、もういっぱい作ってくれ!!」
 スープの最後の一滴まで飲み干して、まだ食べたい。
 こまったこまった新メニュー(?)なのだ。

八王子の市場に関しては
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湯気で曇ってしまったが、この日は8種類のキノコが使われている

 世の中には困った夫婦がいて、その最たるものが八王子総合卸売センター『さくら』にいる。
 普通、夫婦ふたりいたら、どちらかが軌条を外しがちで、どちらかが修正するのが当たり前。

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 でもこの夫婦だけは違っている。
 外したら、より大きくそれようと努力する。
 普通、中華そばなどを出す、中華料理屋といったら保守的なものだ。
 数十年相も変わらぬ、まことにガンコで一徹なもの。
 そこになにも発展はなく、当然、新しい魅力を生み出す可能性は皆無だろう。

 さて、この『さくら』には、その夫婦の努力の甲斐あって、まことに美味な物が目白押しだ。
 “ざる中華”、“とろみそば”、“味噌たんめん”、“さくらそば”、そしてレバニラ炒めなどもほんまに独特でうまい。

 そんな夫婦がこっそり賄いとして食べていたのが、「きのこそば」なのである。
 だいたいお客よりもうまいものを賄いで食べるというのが、料理人のやりがちなことなのだが、やはりやはり、今回もそれなのだ。
 その賄いを食べてビックリ、ちょっと怒りを感じて、
「これは夫婦だけで食べてはイカン、イカン(笠智衆風に読んでくれ)」
 それで店のメニューとあいなった。

 この“きのこそば”がうますぎる。
 先週の土日のこと。
 仲のいい夫婦が方や“ざる中華”、方や“きのこそば”を注文した。
 夫の“きのこそば”が先に来て、
「おい、ちょっと食べていいよ」
 それで妻の方が少し食べてみて、丼を手放せなくなった。
「あんたザルを食べてよ」
 なんて結局、夫婦分かれしそうなケンカを始める始末。
 そのときのケンカの後は壁に小さく血痕がのこっていて、今でもまざまざしい。

 明らかにメタボリックなマサさんも犠牲者のひとりだ。
 いっぱい食べても、もの足りなかったので2杯も食べた。
「これじゃ痩せないな」
 当たり前だ。

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まささんの横向きのショットはちょっと危険な雰囲気がするぞ

 ボクだって一日、いっぱいで我慢しているのだ。
「いっぱいで我慢しろー」

 しかし、まことに『さくら』夫婦は人騒がせな人類なのだ。
 あ、いかん、“きのこそば”の実態を説明していなかった。
 手打ち太麺に鶏ガラスープ、カツオ節だしのベース。
 ここにキノコたっぷり、野菜たっぷりの醤油味のあんがのるのだ。
 中華料理の店で、あまり季節を感じることもないと思うが、秋をたっぷり堪能できる。
 だめだ、解説していると食べた記憶が蘇る。
 また今日も食べてしまいそうだ。

八王子の市場に関しては
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 毎年神保町の『揚子江飯店』のものは特別として、冷やし中華を食べるのは年に1回だけと決めてしまっている。すなわち年に一度の冷やし中華なのだ。ところが、今年は異変ありの可能性が高くなってしまった。
 朝方帰宅して、それでも市場で魚を見てから、寝不足と風邪の熱のせいで少々疲れてしまって、おいしいお茶を飲みに八王子総合卸売センター『さくら』に立ち寄った。あくまで目的はうまいお茶なのだけど、まささんから「冷やし中華はじめました」と声がかかる。

 なんだか吹いてくる風の生温い日で、その中にツツジの甘い蜜の香りが感じられる。決して冷たいものがイヤだという気候ではない。
 ここでいろいろ思案。疲労困憊しているとき、何よりも暖かな中華そばはいいにしても、刺激的酸味を感じる冷やし中華を食べて大丈夫か?
 その上、ボクの平均的な冷やし中華食べ時期は6月下旬。それが5月1日となるのはいかがなものだろう。
 まささんの「冷やし中華を作るのが大変なのよ」というのに惹かれて、お願いしてみる。大変だ、大変だ、という割に、そんなに大変であることなんてあったためしがない。
 実際にお願いすると『さくら』夫婦がおたおたと、厨房の中で右往左往する。オマケにまささんなど外に飛び出す始末。あれれと思うこと4、5分、戻ってきた手に持っているのがトマトなのだ。

 なぜに厨房の中が慌ただしいのか? というのは冷やし中華が出てきてはじめてわかった。これは凄いでしょう。本当にこれ750円なの?
「まささん、これボクのために特別かな?」
「いえ、違いますよ」
 そのとき知り合いの飲食店主が入ってきたので、「冷やし中華をすすめる」。
 出てきたものは確かに同じものだけど、
「あれ、まささん、ボクには胡麻がかかってないよ」
「しまった」
 この騒ぎは毎年のことなのだ。

 この豪華絢爛の冷やし中華がややすっぱい。でもうまいし、またまたすっぱい。なんだか止められないままに一気にすすりこむ。不思議な味だな。まささんが作り出した、まったく独自の『さくら特製』というやつ。
 実をいうと麺と具を食べ尽くしたときには、そんなにたいした冷やし中華ではないだろう、なんて思っていたのだ。確かに具はカニカマあり、メンマあり、ネギにトマトに錦糸卵に干しシイタケにと多彩につきる。しかし、それだけかな、やっぱり今年も年に一度の冷やし中華であるな、なんて思ったのである。
 ところが、皿にたっぷり残った汁をレンゲですくっている内に、この甘酸っぱい液体の虜になった。
 どんどん疲れがとれていくし、塩辛すぎないし、すっぱすぎない。

 まったく、まささんという中華料理人は不思議な人であるな。最初は取っつきづらい料理なのに、最後には夢中になっている。
 汁一滴も残さなかったのは高血圧のボクの失敗かもしれない。

八王子の市場に関しては
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 騒がしい街、お茶の水にあって唯一オヤジのくつろぎの場所として残っていたのが『味一番』であった。それがなくなってからもうどれくらいたつだろう。ボクが理想とするレバニラ炒めを出す店であり、ときにみそラーメンもうまかった。そのいかにも肩の張らない「街の中華料理屋」といった店は近年どんどんなくなっているような気がするのだ。
 それに店の入り口のレジからお客をしっかり見守っていてくれたお婆ちゃんとももう会えないな。残念でならないけどその山盛りレバニラ炒めとみそラーメンをここに掲載しておきたい。

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 埼玉県浦和といえば「さいたま市」になる前から得体のしれない街であると思っていた。時刻表や路全図を見るのが好きなのだが浦和だけは見ないことにしている。京浜東北線を山手線から外れて北上する。そこに登場するのが南浦和。そして路線図を見ると東西南北の「浦和」があって「中」があり、「武蔵」もある。そしてとどめがただ単に「浦和」である。これなどあっさりしすぎて立ち食いそばで「かけ」を注文するがごとくだ。訪れるよそ者には「浦和浦和浦和」で鬱陶しい、暑苦しい、としか言いようがない。この「浦和」の駅名を考えたヤツは明らかにバカだ。
 何気なく恋人同志が「浦和でデートしようね」と約束したら100年経っても会えやしない。さいたま市は間違いなく少子化を助長している。だいたい浦和を代表する繁華街、古い街並みってあるんだろうか? 例えば「●●街でお買い物しよう」なんて若い姉ちゃんが定番とするオヤジが大嫌いな場所や、黄昏時になぜか色彩をおびてくるオヤジ街、オバチャン軍団が塩大福を買いに並ぶ和菓子屋。これなど街を歩く基礎知識なのだ。
 さて肝心のうまい街の中華料理屋があった話を始めなくてはいけない。さて結局降りたのは「北浦和駅」。アルバイトでなんどか「浦和市内」を歩いているはずなのだが、まったく記憶にないのでこれが「初浦和」。ここに来た理由は抜かすとして、30分くらい駅周辺を無駄歩きした。残念ながら休日でほとんどの商店はしまり、また開いている店もなんら面白みを感じなかった。なんとなく入ったスーパーに地納豆も豆腐もなく、伊勢丹があって埼玉の地酒でもあったらいいなと思ったら今時のバカな日本酒マニアが選ぶような面白みに欠ける全国の銘酒ばかりが並ぶ。「日本酒というのは味にこだわってばかりいたらダメなんだよ、愚か者め」。ちょっとは埼玉の酒を置いたらどうなんだ。腹が立つと腹が減る。これは一種の反作用、条件反射とでも言えそうである。そんなとき目の前にあったのが「小島飯店」なのである。
 どうしてこの店に入ったかと言うと自家製の肉まん、餃子を店頭で売っている。それがなんだかうまそうだなと近寄ると、とたんに中華のいい香りが鼻に直撃。ここまで来れば入るしかないだろう。店の厨房が左手でその前がカウンター、そして左手にテーブルがある。品書きが並んでそこに「一人客はカウンターに座れ」と書いてあるのに少々むっとするが、店員さんはとても感じがいい。レバニラ炒めが食べたかったのだが「レバ野菜」しかない(後で品書きをひっくり返すとちゃんとあった)。そして最近「麻婆豆腐」を食べていないなと思い至ってお願いする。
 少々間があって出てきたのがかなりダサイ代物である。どうして麻婆豆腐の上に貝割れ菜がのっているんだと一瞬憤慨する。まさかと思うが「麻婆豆腐だけじゃビタミンが足りないわ」なんて親切心なのだろうか。そしてトロリとかかった地にくるりと巻きあがった白い物体があるのだ。どうもこれは鶏の皮を香ばしく炒めたものらしい。あとは大盛りと間違えそうなご飯、みそ汁、白菜の漬け物。みそ汁なのが「飯屋風」でいい。
 邪魔な貝割れ菜を脇にどけてレンゲでひとすくい。熱いのを我慢して食べてみる。これが巷の麻婆豆腐とはひと味違うものなのだがとてもうまい。クルクルまいた白い物体が香ばしい、そして山椒風味のぴりっと辛い味付け、そこにモツをを煮込んだときのような風味と旨味が残る。貝割れ菜があまりにも邪魔なのでさっさと片づけて、あっとは一気に食って、最後はご飯をどろどろにして平らげる。
 食っている最中に目の前を焼き上がった餃子が置かれてはテーブル席に運ばれていく。これが気になったのでお土産用の餃子を3パック、そして麻婆豆腐の支払までして1800円弱であった。定食は700円くらいだろうか? 数字に極めて無頓着なので私風に書くと「安くてうまい店」であったと明記したい。
 追記。帰り着いて夕食に焼いた餃子もとてもうまかった。そしてこんな街の中華料理店が残っているのに対して「浦和は少し偉い」と思うのだ。

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小島飯店 埼玉県さいたま市浦和区北浦和3-8-11

 あまりの衝撃に値段を忘れてしまったが650円だったかな「中華料理 やまだ」のレバニラ炒めは。どうして衝撃を受けたかと言うとレバニラ炒めなのにニラがほとんど入っていなかったのだ。しかもレバも野菜も炒めたと言うより急激に温めただけといった味わい。ここで味のことをとやかく言っても始まらないが、この「やまだ」は今を去ること30年以上前に来たことのある同じ場所にあった中華料理の店そのものだろうか?
 それは忘れもしない2年生のとき授業を終えて坂道を駅に向かう。途中で仲間と待ち合わせをしていた喫茶店でコーヒーと水ばかりを飲んでやたらに腹が減って入ったのが、まさに丸善裏角の中華料理店だったのだ。注文したのがタンメンであったか野菜炒めであったか忘れたが、空腹感を忘れる味わいであった。
 当然、我ら仲間で以後この店に入ったというものは皆無なのである。だいたい我々がちょっと贅沢をするとしたら生協脇にあったラーメンの「ぴか一(文字を思い出せない)」「キッチンカロリー」などであり、普段は生協のカレーかうどんを食べるのが関の山であった。そんなときに思い切って入ったのがこの角の店なのだ。
 でも歳をとってある程度余裕が出来てもニラの入っていない「レバニラ炒め」はイヤだな。

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 夕食を食べたいと思ってうまそうな店を探している。ここは亀戸駅前からほど近く。無駄歩きで亀戸天神まで行ってみるか? と駅を出ると驟雨沛然。これでは傘を差してもすぐにずぶ濡れである。今日は駅前だけ散策するかと、遅い昼ご飯を食べるべく駅から続く路地に入り込んだのだ。そんな矢先、白地に赤い字で「ぎょうざ」の文字を発見したのだ。あまりの空腹感にいきなり店に入ろうとしたら引き戸のところに数人がとりついているではないか。そのボクを中にいた白衣のオバサンが目ざとく見つけて「ひとりね。それじゃなんとかなるわ」と入り口近くの席を指さした。年の頃60あまり、この年頃のオカンには弱いので、ずるずると言われるままに席に着く。そしていきなり大量の辛子が塗りたくった小皿が飛んできて、「飲み物は?」と聞かれた。考えてみるとこの間10秒と経過していない。
 とても品書きなど見る余裕はない。でも間髪入れずに聞かれたので「とりあえずビール」をお願いすると、なんと久しぶりに見る大瓶である。やっと落ち着いて周りを見る。すると驚いたことにはご飯もライスもなく、カウンターの上は餃子、そしてときどきビールくらい。皆が一様に餃子を食っているというのは意外に不思議な光景なんだと思った。
 店内に入って楕円形のカウンター、それがほとんど満席で、外を見ると席が空くのを待って行列が出来ている。それが皆、数人のグループであり、そんなときに一人客のボクがするすると店内に横滑りしてしまったようだ。
 待つほどのこともなく餃子が5つ乗せられた皿がくる。その餃子がどれもあらぬ方向に投げ出された馬券のように見える(競馬はやらないが)。その餃子の底に部分がしっかり焦げている。思わず何もつけないで食いつくと、その焦げているところがさくっととても香ばし〜い。そしてしっかりした焦げ板の上にはたぶん野菜と豚の脂が作り出す甘味を持った具、そして上部の蒸し上げられた皮が軟らかい。餃子はいくらでも食えるがビールの大瓶を持てあます。ボクは不思議なことに日本酒ならかなり飲める口だが、ビールはコップ3杯でもう辛いのである。これがために最初の5つで、かなり満腹になってしまっている。それでも餃子はうまい。

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 ちなみにここの餃子はニンニクを使ったいたって在り来たりなものだが、いたってできのいいものだと思える。それを出色のものに代えているのは入り口正面にいる餃子焼きマシンのお兄さんであるようだ。このお兄さんが餃子鍋3つと凄まじい格闘をしている。そして焼き上がった餃子にハイエナのように店のお姉さんがた3人が群がり取り合う。これは明らかに弱肉強食の争いであり、ボクの前の、ボクのために餃子を取るかかりのお姉さんが、この3人の中ではいちばん遅い。それでなかなかもう一枚が来ないのだ。

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 もう一皿がやっと来て、焼き上がった餃子のお運びが終わった隙を見て、店のシステムを聞いてみる。すると
「店にはいるとね餃子は2皿以上から、後は飲み物ね。餃子は1皿250円だから2皿で500円(当たり前だ)」
 ご飯のことを聞こうとしたら、また忙しい波がきてしまった。店の隅から隅まで見て、食べ物は餃子しかないこと、と言うわけで席に着くと、とにもかくにも餃子が2皿間をあけてくる。追加は自由。後は飲み物でビール、五加皮、紹興酒など。驚いたことにこの店ではただただ餃子を食うというわけだ。
 この店にはまた、ときどき立ち寄りたいものである。暇を見つけては江戸時代から昭和までを感じることが出来る場所を散策しているので亀戸天神巡りをしたら、ここで餃子を4皿くらいに紹興酒というのがいいかも。

亀戸餃子 東京都江東区亀戸5-3-3

 この店には学生の時にはあまり縁がなく初めてはいったのは大学卒業を前にした頃である。それでも25年以上前になる。お茶の水・神保町で昼ご飯を食べるというと店は決まっていて、その基準はただただ値段であった。
 お茶の水駅から駿河台を下ってきて明大を通り過ぎて斜め右手の通りにはいる。そして住友銀行をすぎて靖国通りを渡ると神保町の古本屋街となる。この横断歩道を渡ったところに画材屋がありとても目を引く人物像が飾ってあった。そのバストアップの絵が今では思い出せない。そこからすずらん通りに抜けるのだが、三省堂は当時は確か3階建ての古めかしい建物で中にはいると迷路のようであった。

 そのすずらん通りに「ス井ート ポーヅ」が開店したのはいつの頃なのだろう。神保町界隈で生まれた友に聞くと「戦前、中国から引き上げてきて、たぶん戦後すぐからここにあったんじゃないかな」と言う。昭和30年代くらいまでは白山通りを隔てた、さくら通りには東洋キネマがあり(この建物はバブル期までは確かに残っていたのだ)、今で言うところの新宿のような賑わいが神保町界隈にあったようだ。そこに満州から引き上げてきて餃子(ポーヅ)の店を開店した。これも調べてみると面白そうだ。

 1970年代後半、すずらん通りに出ると、そこはまさに古色をおびた古本屋、楽器店、画材屋、紙屋などが並んでいた。そこを白山通りに向かい左手にひっそりとあるのが「ス井ート ポーヅ」なのだ。記憶からしても店はまったく当時と変わらない。でも昔はサッシではなく、木のガラス扉だったろうか。
 ここでは苦い経験がある。友人に「ここは神保町でも有名な店だから卒業前に入ろうよ」と誘われた。そして優柔不断に注文して出てきたのが今で言う「餃子定食」。それはなかなかうまいものではあったが、値段が貧乏極まりない卒業前の身には応えたのだ。
 それが仕事で神保町に通うようになると、年に4,5回は食べに行くようになる。ここには餃子小皿8個483円(税込みだから細かい)、中皿12個724円、大皿16個966円というのがあり大方の客はこれを定食にするかビールを飲む。ほかに水餃子10個840円、店の由来になった天津包子5個787円もある。残念ながらここで注文するのはいつも中皿定食ばかり。これで1007円だから今でも決して安くない。
 さて、この店の餃子の形は変わっている。見たところ春巻きの巻きの不完全なもの、その底が平たく焦げ目がついている。といった風情。でもこの皮の味わいは明らかに小麦粉の甘味を感じるもので、うまいのか、うまくないのか、いつも答えが出ない。そして具は白菜なのだろうか豚の挽肉に混ぜ込んであり、ほんの少しだけニラが入っている。これを醤油と酢、そして練り辛子をつけて食べる。ボクとしてはなんだかもの足りない味わいなのだが、店はいつも満席に近く、我が神保町仲間にも通う人多しなのだ。
 ここに赤みそ仕立てのワカメにみそ汁、ご飯、キャベツの細かく切った漬け物がつく。このみそ汁も漬物もぜんぜんうまいものではなく、次回からは定食ではなく餃子ライスでいいのではと思いながら、また忘れて定食を注文しそうだ。

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ス井ート ポーヅ 千代田区神田神保町1の13

 年に一度だけしか外食で食べないのが冷やし中華である。ただし神保町暮らしの身にはすずらん通りに『揚子江菜館』というのがあって、会食のときには必ず食べるのだけれど、これは所謂冷やし中華ではない。どうもこの『揚子江菜館』が冷やし中華を初めて作った店とされているが、食べるに麺は茹でていない(たぶん蒸しているのだ)、また具材が明らかに本格中華料理の前菜にあたるものである、などで「冷やし中華」とは別物といった感がある。また宮城県にある中華料理店で作られたという説もあるらしいが、これは「食べてない」ので置いておく。
 さて、冷やし中華はラーメンの鹹水たっぷりの麺を茹でて、水で洗い冷たくして、水切り。たぶん冷やし中華用の皿(河童橋でよく見かける)に麺を乗せる。そこにチャーシューかハム、キュウリ(これがなくては始まらない)、錦糸卵を乗せて甘酢をかけ回して辛子を添えたもの。ここに、ある店では茹でたもやしをのせたり、また蒲鉾がのっていたり、また茹でたキャベツと遭遇したことまである。この茹でたキャベツというのは宮城県の『龍亭』が初めて創作した冷やし中華にものっているというので、それなりに理由というか「キャベツをのせる」中華料理店の流派があるのかも知れない。
 ただしボクが好きなのは錦糸卵、キュウリ、ハムがたっぷりのったものだ。このハムをのせる冷やし中華はそば屋で出てくるものに多く、そば屋の冷やし中華にチャーシューがのっているとがっかりして無性に暴れてしまいたい衝動に駆られる。

 今年の冷やし中華初めは7月1日、八王子総合卸売協同組合『光陽』で。ここはいたって普通のもの。タレも市販のものだし、気取りがない。ただし『光陽』のお母さんの工夫はなるとをせん切りにして彩りに加えたこと。また麺は八王子市横山町の岩本製麺のものだからまずくなるわけがないのだ。

 でも冷やし中華を年に一回しか食べない最大の理由が、「食った気がしない」からだ。大盛りを食っても昼飯としてはもの足りない。これは酢を使っているせいなのか、冷たいためなのか。またラーメンが500円だとして冷やし中華が750円というのも理由である。食堂の料理の値段は材料費と手間で決まるのだが、冷やし中華はともにかかる。たぶん作る側としては最低でも850円欲しいなと思っていても750円でしかない。『光陽』なんて650円なのだからもっともっと偉いな。
 さあ、まだセミも鳴いていないのだけれど今年も梅雨明け近い。これからは我が家の昼ご飯は冷やし中華というのが多くなる。

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